IoT、DCIM、オープン標準サーバなど
「液冷方式」普及も――2016年データセンターを変える8つのトレンド(1/2 ページ)
データセンター施設は巨大な変化の波にさらされており、オープン標準やDCIM(データセンターインフラ管理)といったトレンドが流行する一方で、各種の新技術が機器密度と電力の限界を押し上げている。
ほとんどのデータセンターは、今後5年間で物理スペースを少なくとも30%削減できるだろう。これは2020年まで続くと予想されるデータセンターの新たなトレンドの1つだ。
米調査会社Gartnerでリサーチディレクターを務めるエンリケ・チェッキ氏によると、機器の高密度化や仮想化、コロケーション施設への移転、クラウドコンピューティングといったトレンドはいずれも、データセンターの運用に影響を及ぼしているという。
データセンター管理者は現状に甘んじることなく、高密度化およびそれが電力、冷却、スペースに及ぼす影響について考えなければならない。さらに、セキュリティも絶えず考慮に入れる必要がある。
また、データセンター管理者は、より良いインフラプランを考案し、「IoT(モノのインターネット)」の潜在的影響を理解するとともに、IoTの広範な普及に備える必要がある。
「こうした変化にもかかわらず、データセンター施設は今後何年にもわたって存在し続けるだろう」。2015年12月に米ラスベガスで開かれたイベント「Gartner Data Center, Infrastructure and Operations Management Conference」でチェッキ氏はそう語った。この見通しを前提として、同氏はデータセンター施設に影響を与える8つの新たなトレンドについて述べた。
1.次世代のデータセンターデザイン
今日のデータセンターでは、1ラック当たり、あるいは単位面積当たりの電力消費量(キロワット)がかつてなく多くなっている。例えば、数年前のデータセンターは1ラック当たりの消費電力が4~5キロワットに設計されていたのに対し、現在では1ラック当たり8~12キロワット以上というのが一般的だ。
「単位面積当たりのコンピューティング能力はかつてなく高い」とチェッキ氏は語る。
ハイパーコンバージド(超垂直統合型)インフラやマイクロサービス、コンテナといった新技術は、単位面積当たりでより多くのエネルギーを必要とし、これに伴って新しい構成と設計が必要となる。
チェッキ氏によると、2011年以降は温度と湿度に関する新たなガイドラインがデータセンターのデザインを見直す際の参考になった。そのため、従来とは異なる制限に基づいて設計できるようになったという。その結果、過大な規模を避けることができるモジュラー設計のデータセンターが増えた。
このトレンドは、米医療ITプロバイダーのITディレクターを務めるジェフ・ディットマー氏の仕事にも大きく影響しているようだ。同氏の会社は12カ所にデータセンターを所有しているが、機器の高密度化に伴い、各ラックに追加電力が必要になってきたという。
「当社ではビッグデータとデータアナリティクス、さらにコンバージド(垂直統合型)インフラや統合システムといった新技術の導入を進めているが、設置スペースよりも電力が足りなくなってきた。これは容易に解決できる問題ではない」とディットマー氏は語る。
これは同氏にとってかつてない難題であるようだ。同氏が管理するデータセンターの中には、1ラック当たり平均17キロワットを優に超えるものもあるという。
「われわれはサーバを詰め込める限りラックに詰め込んでいる」と同氏は話す。
施設管理担当チームからは「電源がダウンしてしまう」と苦情が来ているが、他の従業員は同氏の取り組みを高く評価しているようだ。
Gartnerのチェッキ氏によると、電力の制約を避けるにはきちんとした計画を立てることが大切だという。だがデータセンターを新規に建設するには1年近くかかるため、将来の電力需要を予測するのが困難なこともある。
2.セキュリティの懸念
チェッキ氏によると、IoTやクラウドコンピューティング、ソフトウェア定義型(Software-Defined)インフラはいずれも、セキュリティの懸念を増大させるという。
産業界および政府は、特に銀行と金融の分野で規制と監視の強化に乗り出している。
「ネットワークの境界部の防護だけでは不十分だ。新たなタイプのセキュリティ脅威が存在するからだ」とチェッキ氏は話す。
「全体のプロセスの中にセキュリティを組み込まなければならない。セキュリティをプロセス全体の一部とするには、DevOpsの代わりに『DevSecOps(Developer Security Operations)』といった用語を使う必要がある」(同氏)
3.IoT
IoTからの外的インパクトは、データセンターに新たな要求を生み出している。Gartnerの予想によると、2020年までに250億個のデバイスがインターネットに接続され、ストレージおよびデータセンターとの通信に対する外部からの需要が拡大する見込みだ。
チェッキ氏によると、IoTは外部からの需要を生み出すだけではなく、データセンター内でも運用管理に不可欠な存在になるという。例えば、温度や物理セキュリティの監視にセンサーを使って資産管理を行うといった利用形態が考えられる。
「データセンター内ではこのトレンドが拡大中であり、今後はさらに普及が進むだろう」とチェッキ氏は語る。
4.オープン標準
米Facebookが立ち上げた「Open Compute Project(OCP)」は、巨大な規模のデータセンターで運用コストを削減する目的で配備されている。チェッキ氏によると、各種の革新的技術を導入するデータセンターが増えると予想されるという。
チェッキ氏は、「データセンターは非常に保守的であり、同じものを使おうとする傾向が強い」と述べる一方で、OCPが標準に影響を与え始めていると指摘した。大企業のデータセンターでは、運用コストの削減のためにOCPを導入する動きが広がっているという。
「この動きはさらに加速するだろう」と同氏は語る。ODM(Original Design Manufacturer:製品の設計から生産までを行う企業)製サーバの市場シェアは、数年前まで0%だったのが、今では6~7%に達している。
チェッキ氏によると、ネットワーキングとストレージに関連したオープン標準は、たとえ複数の標準が存在する状況になった場合でも、データセンター施設に対するITプロフェッショナルの考え方を変えるという。
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