年間4900万リットルを浪費するという報道も
サーバの水冷却方式に“不都合な真実”、水不足で批判相次ぐ(1/2 ページ)
人口増加と気候変動によって、世界では水の需要がさらに増している。この水不足問題には解決の兆しが見えない。そんな中、データセンターの水冷処理を見直す動きがある。
干ばつによってデジタル経済は干上がるのだろうか。水不足の問題が切迫している中、大規模なデータセンターは冷却に使用する水について見直しを進めている。
現在、米カリフォルニア州の深刻な干ばつにメディアの関心が集まっているが、その注目の多くは住居や農業での用途に寄せられている。今のところ、データセンターのように工業で水を使用している事例には、ほとんど目が向けられていない。
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ここ数十年間、米国西部全域が長期に渡る干ばつに見舞われている。米国農林省など複数の機関が協同で作成した地図「米干ばつモニター」によると、現在はカリフォルニア州の70%超が「極度の」干ばつ状態で、州の半分近くが「尋常ではない」干ばつ状態にあるという。
人口増加と気候変動によって、世界では水の需要がさらに増している。この水不足問題には解決の兆しが見えない。
米Dow Jonesの「Wall Street Journal」は最近データセンター業界を非難する記事を掲載し、その中で次のように主張している。中規模のデータセンター1カ所で年間4900万リットルもの水を消費している。これは、40万平方メートル分のアーモンドの木、病棟3棟または18ホールのゴルフコース2コースで消費される量に相当する。
Wall Street Journalが想定する「中規模」のデータセンター(15Mワット)は、現状と大きく懸け離れている。米Uptime Instituteの調査データによれば、平均的なデータセンターで使用される電力は約1Mワットで、水の年間消費量は26~30リットル程度だという。それでもまだ2万4000平方メートル分のアーモンドの木、ゴルフコース5ホールまたは1病棟の3分の1にやや満たないくらいの水を消費している。
Wall Street Journalの主張の信ぴょう性はさておき、同紙はデータセンターで使用されている「水」に着目している。本稿では、データセンターにおける水の使用方法、水の使用を抑制できる設計の選択肢、この問題に対するIT業界の認識と対処する意欲について考察したい。
データセンターにおける水の使用方法
データセンターで消費される水の主な用途は「熱遮断」、つまりIT機器の冷却だ。
従来方法でデータセンターを冷却する場合には、水冷式冷却システムを使用する。この水冷式冷却システムでは、冷水がコンピュータルームの冷却設備に配水される。ファンからの送風が冷却水コイルを経由し、冷却された風がIT機器に送られる。その後、使用済みの水は冷却機に戻され、再び冷却される。
水冷式冷却システムは、冷却塔を利用してシステムの熱を遮断している。大きな箱のような形をした冷却塔は、冷却機から排出された温水(凝縮水)を冷やすための設備だ。冷却処理は、側面から外気を取り込み、湿った熱風を冷却塔の上部からファンで外部に押し出すことで実現している。冷却された凝縮水は冷却機に戻され、排熱処理に再利用される。
この冷却塔が、従来型のデータセンター設計における水の消費問題の主な原因となっている。
1Mワット規模のデータセンターで、1分間に3700リットルの凝縮水が送り出されて冷却塔を通過しているとしよう。冷却塔では、凝縮水の1~2%が蒸発して失われる。水が細かい霧状になってファンや風によって吹き飛ばされるのだ。
このプロセスでは年間約2500万リットルの水が消費されている。
突然の破裂や交換周期によって、さらに年間490万リットルの水が失われる。凝縮水は繰り返し蒸発して大気に晒されるため、鉱物質やほこりなどの汚染物質が混入する。汚染物質を含んだ水は定期的な浄水処理や排水が必要になる。
従来型の冷却方式を採用している1Mワットのデータセンターでは合計で年間約3000万リットルの水を消費している。
冷却機を使用しない代替手段
今日、多くのデータセンターが新しい冷却方式を採用している。新しい冷却方式は、従来の冷却機と冷却塔の組み合わせよりもエネルギー効率が良く、使用する水の量も少ない。蒸発冷却テクノロジーと外気を活用する「エコノマイザー」を組み合わせて使用し、年間の水消費量を減らしている。世界中のデータセンターを認証評価しているUptime Instituteによれば、新たに建設されたデータセンターの約3分の1では、従来の冷却方式とは異なる何らかの冷却システムが採用されているという。
直接的な空冷を使用しているデータセンターもある。その手法は、窓を開けて、あらゆる繊細なIT機器に向けて空気を流し込むだけだ。米Microsoftでデータセンターサービスのゼネラルマネジャーを務めるクリスチャン・ベラディ氏は、この直接外気冷却が現実的な選択肢であることを証明した。具体的には、テントの中で長期に渡ってサーバを運用したのだ。この一風変わったアプローチには気候的な制約がある。さらに重要なこととして、IT機器で障害が発生するリスクを企業が積極的に受け入れなければならない。こうした障害の原因となるのは、空気中の粒子による汚染や気温の変動だ。この方法を採用している企業の多くは、他の冷却方式と併用している。
直接蒸発冷却方式では、水を含ませた媒体や霧を通して外気を送り込み、蒸発によって外気を冷却する。こうして冷却した空気を送風機で循環させて、サーバを冷却する。直接外気冷却より普及しているがIT機器へのリスクは依然として存在する。その原因となるのは、森林火災や砂嵐、農業活動、建設活動などの外部の事象によって生じる屋外の汚染物質だ。こうしたリスクによってサーバの信頼性は損なわれる恐れがある。外部の事象による汚染物質をろ過することは可能だが、汚染リスクを容認しない企業は少なくない。
間接蒸発冷却と呼ばれる方法を用いるデータセンターもある。間接蒸発冷却では2種類の気流が利用される。1つはIT機器に対して利用する閉鎖空間で循環する気流。もう1つは閉鎖空間の気流を冷却するための外気の気流だ。この外気の(清掃)気流は直接蒸発冷却によって冷却される。冷却された2つ目の気流は熱交換器を通過し、そこで1つ目の気流を冷却する。冷却された1つ目の気流は、ファンによって循環され、サーバを冷却する。
水が不要なシステムも存在する。ドライクーラーは、水を蒸発させるのではなく、冷却材を送り込むことで給気を冷却する。また空冷式の冷却水システムもある。このようなシステムでは、蒸発冷却塔を使用せずに熱遮断を行う。
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