HDDは全てSSDに置き換えられる
2020年データセンター「完全仮想化」への旅、技術進化から未来を予想する
未来のデータセンターではソフトウェア定義型インフラが一般的になっているかもしれない。ネットワーク、サーバ、ストレージの進歩の延長線上にある、2020年のデータセンターの姿を予想してみよう。
5年後、データセンターはどんな姿になっているのだろうか。この問いに答えるのは容易ではない。IT業界のほぼ全ての分野で日々、技術革新が起きているのだから。
2015年から2020年の間に、あらゆる分野で、かつてないほど猛烈な勢いの変化が生じるだろう。時代遅れの巨大システムは消滅し、ネットワーク、サーバ、ストレージの基盤を構成するシステムの多くが姿を消すと予想される。
将来を予想するに当たっては、まず中核技術に目を向ける必要がある。この部分での変化がネットワーク、サーバ、ストレージの意味を再定義するからだ。
現在のトレンド(一時的流行かもしれないが)は、サーバとストレージを1つにまとめてしまう「コンバージェンス(垂直統合)」あるいは「ハイパーコンバージェンス(超垂直統合)」だ。このトレンドに拍車を掛けているのが、超高速の「Non-Volatile Memory Express(NVMe)」ベースのSSDの登場だ。NVMe対応のSSDはたった6台でホストシステムの処理能力の限界に達する。これはサーバボックスにとっては十分なストレージ容量だ。だから、これらのドライブをサーバに組み込むだけにして、別個のネットワーク接続ストレージボックスを使用しないという方法も理にかなっているようだ。
米VMwareの「Virtual Storage Area Network(vSAN)」などのソフトウェアはパフォーマンスが不十分だ。恐らくこれは、I/Oパスが十分に最適化されていないことに由来する。マザーボードの追加などによるサーバの最適化や、将来のデータセンターにおけるLAN接続性の向上など、改善の余地が残されている。後者の問題は2年以内におのずと解消するだろう。イーサネットのパフォーマンスが飛躍的に向上する一方で、RDMA(RemoteDirect Memory Access)機能が追加されつつあるからだ。
サーバのマザーボードも大きな変化を迎えようとしている。DRAM(Dynamic Random Access Memory)とCPUとの緊密な結合やリアルタイムメモリ圧縮など、数々の新技術がめじろ押しだ。パーシステントメモリはDRAMの性能に近づきつつある。米Intelはレイテンシ(遅延)がDRAMの約2.5倍の「3D XPoint DIMM」ベースの製品を計画する一方で、3D XPointをNVMe NANDドライブの代替として使っている。NVMe NANDドライブも高速だが、3D XPointはそれよりも約10倍も高速だという。価格が現実的なレベルであれば、3D XPointはハイエンドサーバの構造を大きく変えるだろう。DIMMベースの3D XPointはDRAMの拡張として動作する一方で、この拡張メモリは非常に高いストレージ帯域を提供するだろう。
将来のデータセンターでは、サーバが何千もの「Docker」コンテナインスタンスを実行するようになり(現在は数百インスタンス)、サーバの台数と設置スペースが大幅に減少するだろう。これらの新しいサーバは実質的に数十TバイトのDRAMを搭載し、その結果、全てのデータベースシステムがインメモリ方式に移行する。
ストレージは猛烈な勢いで進化し、将来のデータセンターのニーズに対応しようとしている。2020年までにオールSSDストレージ製品がTier 2(第2層)の大容量HDDをリプレースする一方で、何らかの形態のPCIeドライブまたはvSANがプライマリストレージを提供するようになると予想される。バックアップとアーカイブ用のストレージはパブリッククラウドに移行するだろう。また、米ClearSky Dataなどのベンダーがパブリッククラウドストレージのレイテンシ問題を解決するのに伴い、セカンダリストレージの一部もパブリッククラウドに移行する可能性が高い。
データセンターにおける最も重要な変化は、こうした新技術に基づくソフトウェアおよびデータセンターの位置付けのパラダイムシフトだ。2020年には、ソフトウェア定義型(Software-Defined)のインフラが普及するだろう。これには、サーバオーケストレーションを管理するために既に導入されている手法と同じものが使われると思われる。ユーザーによるコントロールがオンデマンド型の仮想インフラ/サービスにまで拡張するのに伴い、設定と構成の管理という管理者の従来の業務は過去の遺物になるだろう。
2020年までには、データセンターの管理者に求められるスキルセットは、現実のIT機器の設定ではなく、ポリシーと手順を設定することが中心になるだろう。ハイパーコンバージドシステムは事前にパッケージされた既製品として提供される。ただし、個々のコンポーネントを購入するのと比べて割高になるのは仕方がない。こうしたパッケージ製品の利点は、インフラのプールに合わせて自動的に構成されるので、すぐに使えることにある。
クラウドプロバイダー向けに大量生産を行うODM(Original Design Manufacturer:製品の設計から生産までを行う企業)のホワイトボックスが大量に出回り、ハイパーコンバージド製品の価格が低下するかもしれない。それよりも、ODM各社が独自にコンバージド/ハイパーコンバージドシステムを提供する可能性の方が高そうだ。いずれにせよ、結果としてハードウェアの低価格化が進む一方で、ベンダーロックインが弱まり、企業のIT部門にとって煩わしく感じられるベンダーとのなれ合い関係は解消されるだろう。
将来のデータセンターは非常に先進的なものになるため、レガシーな製品/サービスは大きなプレッシャーに直面するだろう。2020年までには、われわれはこうした旧来型アプローチから移行し、その際にはソフトウェア管理の分野でかなりの作業が発生すると予想される。とはいえ、この状況がプログラマーにとって好機になるわけではない。市販の製品/サービスを利用すべきというプレッシャーが強いからだ。しかしレガシーな製品/サービスに代わるこれらの標準ソフトウェアやSaaS(Software as a Service)はビジネスプロセスの大幅なデザイン変更を必要とするため、ソフトウェア管理者およびシステムアナリストにとっては恩恵となるに違いない。
大局的に見ると、自己オーケストレーション型インフラは、ユーザーがプライベート/ハイブリッドクラウドの配備に対する仮想的コントロールを行使する環境の出現を加速するだろう。この場合、ユーザー自身が仮想インフラとソフトウェアの組み合わせを定義することになる。将来のIT部門は、この作業を支援するとともに、ユーザーが期待するスピード感を実現するために、彼らの顧客であるビジネス部門にスタッフを派遣する必要があるだろう。
2020年までに、IT部門は情報配信をめぐる大規模な革命の苦しみを味わうことになるだろう。データセンターの縮小とクラウドの成長、そして本格的なオーケストレーションは、中心に位置するIT部門の役割を根本的に変化させる。その結果、さまざまな職種が様変わりするか、消滅するのかもしれない。
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