ITインフラは無停止が常識に
2020年には“オフライン”が死語になる――IoT時代を予測する
あらゆる電子機器がインターネットにつながるIoTの時代。「データセンターには、発電所と同じぐらいの信頼性が要求されるようになる」と未来学者は予測する。それが現実的な要求となる日は、間もなく到来する。
2020年代の経済において、データセンターの稼働率は最優先課題になる。そのころには、インターネットに接続したデバイスやデータは、電気と同じくらい重要なものになっているだろう。
「『データセンターは完璧でなければならない』という考え方は、必ずしも非現実的なものではなくなる」。2015年10月に開催された米Dell主催のイベント「Dell World 2015」において、実用未来学者のマイケル・ロジャーズ氏はITプロフェッショナルたちを前にして、そう語った。
ITプロフェッショナルやデータセンター管理者は、2020年代初頭の経済環境が自分たちに何を要求するか、今、考えなければならない。「将来に向けて、今日の全ての意思決定を行う必要がある」とロジャーズ氏。
今から9年後の未来、2024年の無停止データセンター稼働に求められるテクノロジーとは。 感覚を磨くために、これまでの9年間を振り返ってみよう。
2006年、そこに「iPhone」は存在しなかった。「Facebook」の参加者は、「.edu」アドレスの教育機関関係者5万人だけだった。「YouTube」は開始されたものの、ハリウッドのスタジオから訴訟を起こされて長くは続かないだろう、とアナリストたちは予想していた。そして24インチLCDテレビの価格は3000ドルだった。
インターネットに接続されたデバイスやモノを通じて、1日24時間、インターネットに接続する従業員と顧客からの要求により、データセンター需要は増大する。そのように接続されたモノは、かってないほど強力なものになる。例えば、2022年のiPhoneには、今日の中規模ビジネスサーバに匹敵するコンピューティングパワーが詰まっているはずだ、とロジャーズ氏は予想する。
Dellサービスソリューショングループ、エグゼクティブディレクターのジム・ルース氏は、「データセンターの稼働を維持するために、『予測型サポート』がカギになる」と話す。同氏によると、そうした技術は既にDellのPCサポート部門で実用化されており、ノートPCに搭載されたHDDの故障を事前に予測するといったことに活用されているという。
表示装置の増加もデータセンターの負担になるだろう。例えば、コンビニエンスストアで試験的に導入されている装置がある。レジの横に、顔と服装を認識できる機能を搭載したスクリーンを置き、顧客が5つのカテゴリのいずれに分類されるか判断して、広告をカスタマイズして表示するものだ。
「2020年代初頭までに、あらゆる場所にスクリーンが置かれるようになるだろう」とロジャーズ氏は語る。
過去の米連邦ハイウェイシステムの構築や地方への電力供給と同じくらい、高速インターネットの整備が重要だと政府が認識するようになれば、データセンターの完全稼働を求めるようになるはずだ。
2022年までに、高速ブロードバンドアクセスは「あらゆる場所、あらゆる時間」に利用可能になる。2020年代初頭、親は子どもたちに、オフラインとはどういう意味かを教えなければならなくなるだろう。
「子どもたちにとって、インターネット接続を失うことは、電気を失うことよりも深刻な事態になる」とロジャーズ氏は述べ、「そのころになると多くのモノがバッテリーを搭載するようになる」と言い添えた。
スマートホーム市場とそれに伴う予測アナリティクスの拡大によって「モノのインターネット(IoT)」アプリケーションが普及し、データセンターの需要はさらに増大する。
「それらは全てデータセンターの未来を形作るものだ」とロジャーズ氏。
現在は見過ごされているが、将来のデータセンターにとって最大の脅威とは何か。それは電磁パルスだ。「強力な電磁パルスがどのような影響をもたらすか、誰も知らない」とロジャーズ氏は言う。
もっとも、電磁パルスが武器としてデータセンターへの攻撃に用いられる可能性は「非常に小さい」(ロジャーズ氏)。それよりも、電磁パルスの現実的な問題は、セキュリティの面で稼働率にリスクをもたらし続けることだ。
一方、データセンター需要は、伝統的なマンパワー集約型労働から全自動化へのシフト、ホワイトカラーの作業を含む労働環境の変化によっても生じてくる。例えば、弁護士は将来、電子情報開示(e-Discovery)ソフトウェアを使って法廷に提出する証拠の探索を行うことが可能になるだろう。それは何人もの弁護士事務所のスタッフが書類をひっくり返し、数週間も探し回る作業に代わるものだ。
「この種のインテリジェンスはあらゆるビジネスに組み込まれ、データセンターの機能を圧迫するようになる」とロジャーズ氏。
高度に自動化された作業は、IT部門のスタッフそのものにも影響を及ぼす。「しかし、データセンターにいるITスタッフは当面、自分たちの仕事がなくなることを心配する必要はない」とロジャーズ氏は語る。その前に、彼らがすべきことは山ほどあるからだ。
「データセンター内の基本的な業務がいくらか自動化されれば、ITスタッフにも他の仕事に着手できる余裕が生まれるだろう」とロジャーズ氏は語る。
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