電力、冷却、設備などの具体的な改善策を紹介
ユーザーも知りたい「データセンターの寿命を10年延ばすコツ」
多くの企業が自社で保有するデータセンターの見直しを進める時期にある。コストや労力を多く必要とするこの巨大な資産をどう取り扱っていけばよいのだろうか。
多くの企業が既存のデータセンターを少なくとも後5年ほど使用するだろう。場合によっては、その期間が10年になるかもしれない。その際、空間や電力、冷却、設備の改善により、データセンターを延命できる。また、適切に対応すればコストを抑えることも可能だ。
企業の業務部門はIT部門に対して、より強力なサーバと大きなネットワークを提供するようプレッシャーを掛けている。予算は厳しく、データセンターの改善要請は正当化しなければならない。特に経営陣が「サイトの移行を計画しているか」「イニシアチブを外部委託しようとしていて、なるべく追加の費用を掛けずに既存の施設でやっていきたいと考えている」場合は、これが当てはまる。
短期間で既存設備の空間、電力、冷却の効率アップを図る上で価値のあることは何だろうか。具体的に何をすれば、データセンターの現状が改善されるのだろうか。また、何の改善ももたらさないか、問題を悪化させることは何だろうか。
最後の砦となる「空間」
ITや施設の予算を浪費することなく、データセンターを改善することは可能だ。それは、基本に従って、実装前にアップグレードの選択肢を精査して、何かを追加する前に既存のものを最大限に活用することである。
データセンターの床面積が変わることは恐らくない。そのため、既存のものを最大限有効に活用する必要がある。
使用していないものは破棄する。耐用年数が近づきつつある多くのデータセンターでは、使用していないサーバの電源が投入された状態でラックに配置されている。これらのサーバが何に使われているかを把握している人は誰もいない。だが、運用チームは、そのようなサーバの電源を切ることに恐れをなしている。サーバの電源を切って、誰が悲鳴を上げるか見てみてほしい。恐らく誰も悲鳴を上げることはないだろう。サーバに何か有益なデータがあるなら、別のデバイスに移行すればよい。このようなサーバを破棄することは、電源や冷却に関する問題解決の一助となる。
仮想化を使用すれば、ワークロードは簡単に移行できる。だが、短期的に既存のデータセンターを改善することが保証されるわけではない。仮想化は、高価な新しいハードウェアが必要になる大規模な取り組みであり、電源や冷却に関する問題を増大させる可能性がある。仮想化を既に導入している場合は、サポートしている施設のインフラが許す範囲で可能な限り統合を継続されたい。
多くの古いデータセンターは「物置」と化しているが、運用中の施設についても同じことがいえる。ストレージのクレートとボックスから出るちりやほこり、つまずく危険は、環境上問題がある。また、非常に特殊で価値のある空間を無駄に使用していることにもなる。不要なものは破棄するのが肝要だ。保管庫にあるアイテムを削減し、価値のあるストレージを保管庫に移動されたい。データセンターの床面積は非常に貴重なものだ。収納庫とコールドアイルに掛かるコストの違いを経営陣に示すことをお勧めする。
高価な書き直しが必要になったり、移動が難しかったりしない限りは、データの保管庫と機器の配置を見直して、利用可能な空間を有効活用すべきだろう。
欠損タイルや古いカットアウト(回線を遮断できる安全装置)がある場合は、フリーアクセス床を修理されたい。床を修理すると、使用可能な空間が増える。また、無駄な空気を排出する穴を防ぐことで冷却の問題解決に役立つことがある。物格好なタイルには数年耐えられるが、利用可能な空間と冷却はなくてはならないものだ。
既存の「電源」を活用せよ
電源は高価である。古いサーバの電源を切ることは電源節約に役立つ。だが、高性能なハードウェアでは、サーバの停止で節約できる電源より多くの電源が必要になる。投資期間が短い場合、新しい給電線やUPS(無停電電源装置)、分散インフラは高価な最終手段だ。
施設内の余剰電源を探すことをお勧めする。データセンターをセグメント化して、個別の給電とUPSサービスを活用されたい。発電機には、適切な予備電源が用意されていないことがあるからだ。ITハードウェアの配置を見直して、既存のハードウェアを最大限に活用するべきだ。そのためには、優先順位が高いシステムは、信頼性が高い電力供給サービスに接続する必要がある。何がどの給電線に接続されているかが明確になるようにデータの保管庫を配置することが望ましい。それから、レンタルしている発電機の外部接続ポイントを考慮して、優先順位の低いシステムの可用性を高い状態で維持することも重要だ。
データセンターにあるものは全て3相交流発電機から来ている。これは、データの保管庫で3相交流発電機を運用しているかどうかは関係ない。計測装置を使用するか、専門家のサポートを得てITの負荷が3つの相で分散されているかどうかを特定するのが良いだろう。チェックしたポイントで10%以上の不均衡が見られる場合は、利用可能な電源を浪費していることになる。だが、これはごくありふれた状況だ。不均衡を特定して、3つの相で負荷がほぼ均等になるように機器を再配置した方がいいだろう。
監視デバイスにも投資することをお勧めする。例えば、高性能な配電装置や基本的なデータセンターのインフラを監視/管理するシステムなどだ。前者の呼称はメーカーによって異なるが、「ePDU」「iPDU」「CDU」などと呼ばれる。これらのデバイスは、データセンターを改善するために高額な設備投資なく、各相のバランスを保つのに役立つ。
「冷却効果」を改善せよ
データセンターの冷却は、施設を運用する上で最も難しい改善事項となることが多い。
データの保管庫内、またはその間から漏れる空気は依然としてよく見られる問題だ。穴をふさげば、無料で冷却効果を高めることができる。
フリーアクセス床と通気孔のどちらを使用している場合も、空気の流れのバランスを取り戻すことで冷却効果を改善できる。適切なデータセンターの監査は、短期的な更新という観点では最適な投資になるかもしれない。オンサイトの測定や数値流体力学(CFD)モデルも含まれる。また、不要なCRAC(精密空調装置)を追加で設置したり、CRACを不適切な場所に配置するのは、浪費以外の何者でもない。不要な場所に空調装置を追加すると、冷却効果にマイナスの影響を及ぼす。CFDモデルによって、単にハードウェアを移動して余剰な冷却能力を活用すれば良いことが判明する場合もある。
それから、既存のITの負荷に必要な冷却温度を監査すべきだ。米暖房冷凍空調学会「ASHRAE」が定める最新のガイドラインに従って、空気の温度を上げることでCRACからより多くの冷却能力を引き出すことができる。だが、この処置はやみくもに行うべきではない。開始温度と使用中のハードウェアを考慮するのが肝要だ。
床下のケーブルは、空気の流れを悪くする。古いケーブルを一掃して実用的なケーブルを整備する作業は、決して楽しい作業ではない。だが、大規模な冷却システムのアップグレードよりもずっと安価に行える。
「封じ込め」も冷却効果を改善できる別のコスト効率のよい方法だ。クールアイルの封じ込めは、設備を改善する最も簡単な方法になることが多い。多くの調査では、ホットアイルの封じ込めの方が基本的に管理が簡単で、エネルギー効率も若干高いことが判明している。大きな障害となるのは、全米防火協会「NFPA」が策定している「NFPA 75」と「NFPA 76」で規定されている防火対策である。そのため、空気関門は、スプリンクラーやガス警報機から離すことが重要だ。封じ込めのスキームを実装するときには、防火エンジニアに相談するとよいだろう。火災警報器が最適な状態で設置されていなくても、部分的な封じ込めが適切に設計されていれば効果があり、かつ安全だ。データセンターのCFDモデルを使用して、潜在的な封じ込めのスキームの綿密な計画を立てることをお勧めする。
追加の冷却が必要な場合は、局所的なアプローチが設備のCRACを補完することになるだろう。「InRow冷却ユニット」(IRC)は床面積を占有する。だが、冷却が必要な場所をピンポイントで冷却できるというメリットがある。データセンターの一角に高密度なハードウェアを集中させ、IRCを設置して封じ込めを行うことで、データセンターの境界に追加のCRACを導入した場合よりもコストを節約して、冷却効果を上げることが可能だ。また、後部ドアの熱交換機は、最小限の床面積で非常に高密度なデータの保管庫に対応する。だが、IRCよりも多くの配管と制御デバイスが必要になる場合がある。機器の熱問題は、集中冷却によって解決できるかもしれない。
成功に向けて「設備」を整えよ
短期的なデータセンターの改善を行うときには、機器のリースについて検討されたい。ベンダーに働きかけて、機器を移行するときに新しいリースとリースの延長期限が切れるようにするのが良いだろう。さらに、既存の導入と重複する形で新しい設備に新しい機器を設置してもらうように交渉することも可能だ。そうすれば、移行前にシステムの構成とテストを行うことができる。
ベンダーは、このような要請に対して協力的な態度を取るだろう。というのも、リースは、顧客がベンダーの製品の継続利用を保証するものだからだ。
目前に迫る“ストレージ危機一髪”、データ管理は「どうすりゃ委員会」開催!
TechTargetジャパンは4月21日、データ管理や活用に積極的に取り組む読者を対象にしたLIVEオンラインセミナーを開催します。タレントの伊藤えみさんを司会に業界の識者が集合。ストレージ関するあなたの課題を解決します。
視聴者プレゼント
LIVE オンラインセミナーをご覧いただいた方の中から抽選で1名の方に、Windowsタブレット「Dell Venue 8 Pro」をプレゼント致します。ぜひお申し込みください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー