データセンターのファンレス化を実現する液浸冷却の実際電力/コスト削減に加えより環境配慮型にシフト

企業の中で最も電力を消費する存在であるデータセンター。IT機器を冷却するためのファンが使用する電力も軽視できない。そうした状況を改善できる環境配慮型のデータセンター冷却技術が注目されている。

2011年11月15日 09時00分 公開
[Lisa Martinek,TechTarget]

 サーバの大規模化に伴う電力コストの増大は、組織の収益に影響を与えかねない。データセンターは通常、企業の中で最も電力を消費する存在だ。演算処理だけでなく、サーバやラックを冷却するのにも電力が必要だからだ。だが環境に配慮した方法でデータセンターを冷却するための取り組みも各種進められており、中でも、オイルバスを使ったソリューションには期待できそうだ(関連記事:環境配慮型のデータセンター冷却システムを導入したドイツ証券)。

 米テキサス大学のテキサス先端計算センター(TACC)の副所長であるダン・スタンツィオーネ氏は2010年、Green Revolution Cooling(GRC)が開発した液浸冷却技術を実装した。液浸技術とは、ファンを外し、ディスクドライブを密閉した状態で、サーバをミネラルオイルなどの絶縁液体に浸すというものだ。オイルは導電性でないため、空気流を利用した従来の冷却方法よりもはるかに高い温度で安全にサーバを保管でき、データセンター冷却コストの大幅な節約が可能だ。同様の技術が3MとHardcore Computerからも提供されている。

環境配慮型データセンター冷却技術の利点

 「今でもラック内冷却やラックトップクーラーなど、高度な冷却技術は各種提供されているが、その多くはかなりのカスタムエンジニアリングを必要とする。私がこの液浸技術について気に入っている点の1つは、オイルにどのメーカーの機器でも浸せる点だ。15分もあれば、この環境で動作するようサーバを改造できる」とスタンツィオーネ氏。

 流浸技術の他にも、環境配慮型のデータセンター冷却技術にはさまざまなものがある。仏Schneider Electricの「Uniflair」システムは、冷水を冷却コイルに注入し、そのコイルを経由して新たに冷却された空気をファンがデータセンターに供給するというもの。Uniflairの電子整流ファンは熱負荷によって制御されるため、電力消費を抑えられる。さらにSchneiderがリリースした密結合型空調装置は、冷却システムを熱源のさらに近くに配置し、冷却剤と水を入れ替えることで、効率を高められる。

関連ホワイトペーパー

データセンター | 環境保護 | サーバ | グリーンIT | TCO


ITmedia マーケティング新着記事

news148.jpg

天候と位置情報を活用 ルグランとジオロジックが新たな広告サービスを共同開発
ルグランとジオロジックが新たな「天気連動型広告」を共同開発した。ルグランが気象デー...

news130.jpg

“AI美女”を広告に起用しない ユニリーバ「Dove」はなぜそう決めたのか
Unilever傘下の美容ケアブランド「Dove」は、「Real Beauty」の20周年を機に、生成AIツー...

news099.png

有料動画サービス 34歳以下では過半数が利用経験、4割は1日1回以上利用
「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2024」を基に、テレビ画面での動...