「データセンター省エネ特別セミナー」リポート(前)
グリーン・グリッドが認めたデータセンター省エネ化策
グリーン・グリッド日本支部が8月25日に開催した「データセンター省エネ特別セミナー」では、データセンターの電力削減や効率改善の取り組み事例が紹介された。
経済産業省が2011年7月に発動した、東京電力・東北電力管内における大口需要家(契約電力500キロワット以上)への電気の使用制限。データセンターは「安定的な経済活動・社会生活に不可欠である一方、電力の使用形態から制限の一律適用が困難」として、その制限が緩和されている。しかし、データセンター需要が増している現状を考えると、さらなる省エネ対策を推進する必要がある。
データセンター/IT機器のエネルギー効率改善を推進する団体「グリーン・グリッド日本支部」が2011年8月25日に開催した「データセンター省エネ特別セミナー」では、日米のデータセンターにおける電力削減や効率改善の取り組みが紹介された(関連記事:データセンターのさらなる省電力対策が注目されたグリーンIT&省エネEXPO)。
グリーン・グリッドと英DatacenterDynamicsは2010年に「グリーン・グリッド データセンター・アワード2010」を設立した。このアワードは、日本国内でデータセンターを運用する団体・企業のエネルギー効率改善に向けた取り組みやそれらの改善活動を表彰するというものだ。最優秀賞を受賞した日立製作所の情報・通信システム社 ITサービス事業部データセンタ本部 郷 博氏が、これまでの活動内容と今後の展開などを発表した。
日立製作所が推進するデータセンターの省エネ対策
現在、日立製作所グループは2025年度までに年間1億トンのCO2排出抑制を目標とする「日立の環境ビジョン2025」を掲げ、その実現に向けた3つのプロジェクトを推進している。その中のデータセンター省電力化プロジェクト「CoolCenter50」では、2012年度末までにデータセンターの消費電力量を2007年度比で最大50%削減する取り組みを行っている。
CoolCenter50におけるデータセンター省電力化の取り組みについて、郷氏は「最優秀賞を受賞したものの、実際には現場レベルの取り組みによって電力消費を地道に改善してきた」と語る。日立製作所では、省電力対策として「可視化」「評価/分析」「改善/最適化」の3つのアプローチが有効であるとし、それらを継続的に実施したという。
現場レベルからの継続的な改善
まずは、国内20カ所のデータセンターについて、各データセンターの消費電力量を詳細に把握することから始めた。全ての分電盤に電力計を設置して、温湿度や電力量などを計測して、稼働状況や環境に異常がないかを日常巡視した。また、同社のビル管理システム「BUILMAX」によってネットワーク経由で全ての計測データを収集し、データセンターの現場の担当者の意見を基にその問題点や因果関係の解明を行った。さらに研究所や有識者と協力して計測データを定期的に評価/分析し、それらの改善策を実施したという。
例えば、床下からの風量不足を改善するために「床下ケーブルの整理」「仕切り板設置」「フリーアクセスパネルの配置見直し」「ファン付きグリル配置」などを実施したり、暖気と冷気の混合を改善するために「ブランクパネルの設置」「グリル位置の見直し」「稼働空調機の切り替え」などを実施した。こうした施策によって、ラック上部において最大2度の温度低下などの効果があったという。
IT・設備連携システムや外気冷房方式なども開発
CoolCenter50では、IT機器の消費電力を30%、設備の消費電力を20%削減することでデータセンター全体の消費電力50%の削減を目指している。現在日立製作所では、さらなるデータセンター省電力化に向けて「IT・設備連係システム」や「外気冷房による空調電力の削減」などに関する技術開発や実証実験を実施している。
IT・設備連係システムでは、サーバやストレージなどのIT機器を管理・制御するシステムと、空調やUPS、変圧器などの設備機器を管理・制御するシステムを連携する技術を開発。郷氏によると、IT機器では「SNMP」、設備機器では「LonWorks」や「BACnet」などの異なるプロトコルで稼働状況が監視されており、従来はそれらを連携することが難しかったという。
IT・設備連携システムは、IT機器管理システムが保有するCPUの負荷予測や稼働情報と、設備管理システムが保有する各機器の温度・電力などの情報を連携させて、状況に合わせた最適な稼働制御を行う。
具体的には、複数のサーバが稼働する仮想環境において、ある物理サーバに仮想マシンを片寄せして別のサーバの電源を停止した際、IT機器管理システムの稼働情報と温湿度や電力量などの情報を基にシミュレーションを行う。その結果に基づいた最適な空調制御を自動的に実施する。2010年秋にはSAP ERPや電子メールシステムなどの業務システム環境における実証実験を行い、50%の省電力効果が得られたという。
また、同社の横浜第3センターにおいて、外気冷房による空調電力の削減に関する技術開発や実証実験を実施。冬など外気温度が低い時期に空調を運転せずに、その外気を建物内に導入する「直接フリークーリング方式」を採用し、気温変動が大きい春や秋などには除湿冷房や全外気冷房などに自動で冷却方式を切り替えることが可能な仕組みを開発した。2010年10月と2011年2月に実施した実証実験では、通常稼働時と比べて消費電力を30%および60%削減できたという。
次回は米ドイツ銀行のフリークーリング事例を紹介する。
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