ユーザー企業にも結果的にメリット
MicrosoftのLinux Foundation加入に驚きの声、OSS開発への貢献を加速か(2/2 ページ)
MicrosoftとLinux:予想外の展開
Microsoftの元CEOスティーブ・バルマー氏はかつて、Linuxをがんのようなものだと形容した。オープンソースを取り入れたMicrosoftの姿勢は、そうした過去とは懸け離れている。そのような背景があったためにMicrosoftがLinux Foundationに加入したというニュースは興味深い展開と受け止められた。
「バルマー氏の過去の発言から考えて、とても驚いた」。レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute:RPI)の情報サービス・技術担当副社長兼CIOのジョン・コルブ氏は、そう打ち明けた。Microsoftがオープンソース技術に対して真っ向から敵対しないまでも、熱意を見せてこなかった過去を考えると「控えめに言っても、ある意味で興味深い」と話す。
コルブ氏によると、RPIはWindowsとLinuxの両方を使い、両方の分野でノウハウを培っている。MicrosoftのLinux Foundation加入でそうしたコミュニティーが接近する可能性もある。Microsoft製品とオープンソースツールの親和性が向上することも同氏は望んでいるという。
RPIのような学校では、そうした連係がどこで実現するのか、どのような優先順位になるのかという質問が学生から出るかもしれない、とコルブ氏は言う。RPIの学生は、例えば同校のRensselaer Center for Open Sourceでオープンソースプロジェクトを追求している。
「RPIのような場が輩出する優秀な人材の中には、オープンソースに深く踏み込んでスキルを身に付けている人材もいる。それが彼らの文化だ。従って、もしMicrosoftがそうした優秀な人材に質問の答えを出させ、その質問に沿わせたいのであれば、オープンソースの世界に身を置く必要があると思う」(コルブ氏)
総合的に見れば、MicrosoftがLinux Foundationに貢献することは、オープンソースコミュニティーにとって良いことだと同氏は指摘した。Microsoftの具体的な貢献についてLinux Foundationのエグゼクティブディレクター、ジム・ゼムリン氏は、「Microsoftは既にLinuxカーネルに大きく貢献している。現在はLinux Foundationのプロジェクト多数にも貢献している」と話す。
そうしたプロジェクトには、下記が挙げられる。
- Node.js Foundation
- OpenDaylight
- Open Container Initiative
- R Consortium
- Open API Initiative
- TODO Group
MicrosoftとLinuxのコラボレーションは拡大しそうな様子だ。「Microsoftはいずれ、さらに幅広いLinux Foundationプロジェクトへの関与を深める」とゼムリン氏は言う。
同社の参加によってオープンソース開発が加速し、ひいてはCIOにもメリットがあるかもしれない。
「長期的に、Microsoftは引き続きオープンソースコミュニティーへの関与を深めるだろう。その大規模開発コミュニティーのおかげで、同社が重点を置くプロジェクトは技術的進展の加速が見込める」とゼムリン氏は語った。
クラウドのメリット
Microsoftのオープン性が高まることは、クラウドにとっても朗報だ。2016年に開かれた同社のパートナー会議で発表をした担当者によれば、Microsoftのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」で運用されているワークロードの3分の2は、オープンソースワークロードを含む非Microsoftアプリケーションが占める。オープンソースワークロードは残る均衡に貢献する。
Microsoftのクラウドインフラは非Microsoftのワークロードを運用できることで一層魅力的になっているとロス氏は言う。
「もし自分が今使っていないMicrosoftの製品群を使うことを強いられるのなら、Microsoftのインフラを使う気にはならないだろう。そのオープン性があるために私はMicrosoftをインフラベンダーとして利用している。そしてVMwareやLinuxを使い続けられることでMicrosoftは一層魅力的になっている」(ロス氏)
ロサンゼルス市は、Azureと「Amazon Web Services」(AWS)および「AWS GovCloud」をクラウドコンピューティングリソースとして使っているという。
ゼムリン氏によると、MicrosoftがAzureでLinuxを提供するようになったのはしばらく前のことだった。2016年に入ってMicrosoftとLinux Foundationは、AzureのLinux認定制度を打ち出した。同制度は、Azureの機能を活用した「複雑なクラウド対応のLinuxソリューション」の設計と実装、メンテナンスができる能力を実証した個人を認定しているという。
一方、ロス氏とコルブ氏両氏とも、Microsoftのオープンソースに対する姿勢には、2014年に同社CEOに就任したサトヤ・ナデラ氏の影響があると見る。「『全てを学ぶ』文化は『全てを知る』思考に勝る」というナデラCEOの言葉を引き合いに、同CEOがMicrosoftの新しい展望を準備しているとロス氏はいう。Microsoftのオープンソース関連の動きについて「間違いなくナデラ氏がMicrosoftに自身の足跡を残すための方法」だと指摘した。
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