Oracleユーザー向け「SQL Server」無料化なども発表
Linux版「Exchange」の開発はあるか、「SQL Server on Linux」登場で高まる期待(1/2 ページ)
「SQL Server」のLinux版を発表し、「Oracle Database」からの乗り換え客にライセンスを無償提供する。“奇策”にも見えるMicrosoftのこうした取り組みは、同社が起こそうとしている変化の序章にすぎない。
Microsoftは2016年3月、IT業界に衝撃を与えた。データベース管理システム(DBMS)の主力製品「SQL Server」のLinux版となる「SQL Server on Linux」を2017年にリリースすると発表したからだ。またOracleのDBMS「Oracle Database」からSQL Serverへ乗り換える顧客に、SQL Serverの必要なライセンスを無料で提供することも発表している。
SQL Server on Linuxは、2016年出荷予定の「SQL Server 2016」をベースに開発される。Red HatやUbuntuのLinuxディストリビューションが動作の保証対象となることが予想される。デモ版は「Ubuntu 15.10」で動作していた。
Linux版SQL Serverは始まりにすぎない
Microsoftは同じく2016年3月に、Linuxディストリビューション「Debian GNU/Linux」ベースのネットワークスイッチソフトウェア「Software for Open Networking in the Cloud(SONiC)」のソースコードを公開した。SONiCは、Microsoftがパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」で使用しているLinuxベースのネットワークOS「Azure Cloud Switch」(ACS)の強化を目的としている。特にSDN(Software Defined Networking)関連アプリケーションの活用のために、スイッチをはじめとするネットワークハードウェアを制御する。
ほとんどのシステム管理者は、Microsoftの社内で一体何が起こっているのか不思議に思っているはずだ。ネットワークハードウェア、Linux、無料のSQL Server。これらは全て、企業が使用するOSよりも、ワークロード(稼働させるシステム)や成果達成に目を向ける新生Microsoftならではの取り組みだ。
Linuxに関連するこうした一連の発表は、サーバOSの「Windows Server」とはどのような関係があるのだろうか。Microsoftが“Windows Server for Linux”といったものを提供することはないだろうが、Windows Serverのワークロードやネイティブ機能の一部は、Linuxに移植される有力候補かもしれない。既知の情報から考えると、そうしたワークロードには以下が含まれる可能性がある。
Active Directoryの一部
Microsoftは既に、ディレクトリサービス「Active Directory」のクラウド版ともいえる「Azure Active Directory」をパブリッククラウドで運用することで、Active DirectoryをWindows Serverから切り離している。パブリッククラウド「Windows Azure」の大部分はWindows Serverで構築されているが、MicrosoftはOSとディレクトリサービスの関係をうまく抽象化している。また「Azure AD Connect」といったActive DirectoryとAzure Active Directoryの同期ツールも持っている。
恐らく、LDAPベースのディレクトリサービス「Active Directory Application Mode(ADAM)」のモジュールがLinuxに移植されるのではないか。そうなれば、困難なActive Directoryのスキーマ(データ定義)調整を必要とする特定のアプリケーションに役立ちそうだ。ただし全てのドメインコントローラー(端末やユーザーの集中管理に利用するサーバ)をLinuxへ移行可能になるわけではないことに注意していただきたい。それでも、一部の支社やアプリケーションでは、LinuxでADAMモジュールを使用することは、一部のドメインコントローラーをLinuxへ置き換える良い方法になりそうだ。
Azureとの接続
オンプレミス環境とAzureの同期ポイントやコネクターとして機能する、Linuxベースの“小型Azureハイブリッドアプライアンス”があったら、どうなるだろうか。SDNが進化している状況を踏まえると、こうしたアプライアンスはトラフィックの優先順位付けに利用されたり、インターネットを介さずにAzureと直接接続する「ExpressRoute」の要素を取り込んだり、ディレクトリの同期やディザスタリカバリー/フェイルオーバーの実現、バックアップサービス「Azure Backup」のエージェントの実行などに使用される可能性がある。
ネットワーク、DirectAccess、VPNなど
MicrosoftがSONiCを公開したことから、MicrosoftのネットワークサーバスタックがLinuxで動くようになると予想するのは難しくない。とはいえLinuxは、一般的にトラフィックのルーティングに優れており、大規模環境向けのファイアウォールや侵入防止システム(IPS)のパッケージも幾つかある。長年にわたるネットワーク技術の蓄積もある。そのためMicrosoftのLinux対応によるネットワーク分野への貢献は、VPNが不要なリモートアクセス技術の「DirectAccess」や優れたSSL VPNサービスなどを通じて行われるだろう。
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