リモコンは素晴らしいが……
徹底レビュー:GoogleのVRヘッドセット「Daydream View」を使って分かった“可能性と疑問点”(2/2 ページ)
Daydream Viewのリモコン
Daydream ViewリモコンこそがDaydream Viewを選ぶ理由である。基本的には任天堂の「Wiiリモコン」を小型化したようなものだ。クリックできるタッチパッドと、2つのボタン、音量ボタンが配置されている。接続にはBluetooth、充電にはUSB Type-Cを利用する。また、VRの利用中にリモコンを部屋の反対側に放り投げてしまうことを心配するユーザーのために、小さなリストストラップが同梱されている。
Daydream Viewリモコンは小さくて持ちやすい。寸法は101.6×20.32×6.35ミリメートルで、重量は42.52グラムだ。細部まで入念に設計されており、スマートフォンを格納するDaydream Viewのフタの内側にぴったり収まる。奇妙なことに、電源ケーブルは同梱されていない。そのため、Pixel XLに付属する充電器やその他の適切なType-C充電器を使用する必要がある。これは適切な対応とは言い難い。Googleが販売しているUSB Type-C電源アダプターが35ドルであることを考えるとなおのことだ。
上述の点を除けばDaydream Viewリモコンについて不満はない。他のVRヘッドセットでは、本体に配置されたタッチパッドや外付けのゲームパッドを利用したり、単純にユーザーが特定の領域に目を向けたりすることで操作する。だが、こうした要素は全てVR体験を損なうものだ。つまり、Daydream Viewリモコンによって、さらに高いレベルの操作性が実現されている。WiiリモコンのようにDaydream Viewリモコンは幅広い用途に対応している。まず、ポイントしてクリックできる。これは、Daydreamとアプリをヘッドセットの中央に戻す上で非常に役立つことが分かった。また、タッチパッドをスワイプすると、移動できる。それから、リモコンを横向きにすればハンドルとして使える。テスト中の負荷が特別高くならない使い方なら、1回のフル充電でバッテリーは問題なく2週間持続した。Pixel XLへの接続は素早く確立され、接続時にBluetoothで不具合が生じることはなく、接続状態が適切に維持された。
左利きのユーザーに朗報がある。それは設定で、「利き手」をデフォルトの右手から変更できることだ。
Daydreamアプリ
Daydreamプラットフォームのリリース時に、数十個のアプリがリリースされている。そのほとんどはVR体験やシンプルなゲームを中心としたものだ。Daydreamをお披露目するための無料アプリが多数提供されているが、有料アプリは3~10ドルと比較的高額だ。
繰り返しになるが、Daydreamの原動力はスマートフォンである。そのため、アプリの限界はスマートフォンによって決まる。Dow Jones & Companyの「Wall Street Journal」アプリやUSA TODAYの「USA TODAY」アプリなど、ほとんどの体験型アプリには、異国の地やイベントをきめの粗い360度の動画で体験できる機能が備わっている。Googleの「YouTube VR」についても同様だ。こうした動画パッケージは非常に興味深い内容で完成度も高い。だが、動画の品質が原因でユーザーはVR体験に没入できないのが実情だ。
VRは仮想的にセッティングされた平面スクリーンで映画を鑑賞することに限定されるが、Googleの「Google Play」の映画の方が表示はずっときれいだ。飛行機で移動中の旅行者にとっては、目を凝らして小さな画面を見る代わりにVRを使用するのは魅力的な選択肢になるかもしれない。だが、Daydream Viewを2時間使い続けるとかなり目が疲れるだろう。
大半のゲームは固定砲台型、プラットフォーム系(注1)、タワーディフェンス系、ラン&ジャンプ系のものだ。また、少数だがスポーツタイトルもリリースされている。目玉となるのは革新的なマルチプレイヤーゲームのSteel Crate Gamesの「Keep Talking & Nobody Explodes」だが、ほとんどのゲームは想像力に乏しいと言わざるを得ない。また、本稿執筆時点ではラインアップが非常に限られている。手痛いのはMicrosoftの「Minecraft」がないことだ。それから、White Door Gamesの「Dreadhalls」、ZeroTransformの「Proton Pulse」、CCP Gamesの「Eve Gunjack」、スクウェア・エニックスの「Hitman GO: VR Edition」もない。Gear VRでは、この全てのゲームが提供されている。ただし、一部のゲームはGoogle Cardboardで利用できる。そのため、希望的観測だが、これらのゲームがDaydreamで利用できるようになるのは時間の問題だろう。
※注1:キャラクターをジャンプさせて足場から足場に跳び移ったり、障害物を跳び越えたりして進むゲームジャンル。
Googleが提供している「Arts & Culture」アプリは実に素晴らしい。これは有名な芸術作品を巡るアプリで、音声解説と分析が併せて提供される。これは、教育分野におけるVRの将来性を示す好例だ。また、映画「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のタイアップも良い出来栄えだ。10分程度のデモコンテンツにすぎないが、洗練されており、没入感が高い。「ハリー・ポッター」のファンにとっては、たまらないだろう。
結論
まず、良い面から取り上げよう。Daydream Viewリモコンは素晴しく、VR体験の底上げに大きく貢献している。それから、Daydreamアプリは可能性を秘めている。Daydreamのオープンな性質は、将来大物になることを予感させる。
悪い面を指摘すると、光漏れと視野角の狭さがVR体験を台無しにしている。これほど深刻な設計上の欠陥があっては、Daydream Viewの購入は避けるように忠告するしかないだろう。
優秀なモバイルVRが欲しいなら、Gear VRの購入をお勧めする。リモコンがなくても、ヘッドセットとしてはGear VRの方が格段に優れている。プラットフォームもDaydream Viewより成熟しており、優れたアプリやゲームが提供されている。または、次のDaydream Viewがリリースされるのを待つべきだ。GoogleがDaydream Viewの大きな欠陥を修正すれば、はるかに魅力的な製品になるであろう。
長所
- 非常に素晴らしいDaydream Viewリモコン
- シンプルで使いやすい
短所
- 光漏れという大きな問題
- 視野角の狭さ
- 装着中にずり落ちやすいヘッドセット
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
AI時代のITインフラ戦略とは? 販売代理店が知っておきたい最新トレンド
-
8
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
9
人間のせいでAIエージェントの生産性が上がらない
-
10
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー