今こそ未来に備えるとき
Fordが自動車開発に活用 急拡大するAR/VRビジネスに必要なスキルとは(3/3 ページ)
今すぐ検討すべきAR/VRのスキル
アリベルティ氏と同様、バロン氏は次のように語っている。「FordはVR事業に取り組むため、技術に関する一連のスキル向上を図って、インフラを新しく構築する必要があった。またVRプラットフォームの開発に必要なゲーム開発の知識を持つエンジニアやソフトウェア開発者、アーティストを雇用している」(バロン氏)
「人間の介入には“通常の”ソフトウェア開発では重要と見なされない懸念事項が多数存在する。また環境の視覚的な認知を取り込まなければならないという社会科学的な要素もある」とバロン氏は補足する。エクスペリエンスの品質が低ければ、エンドユーザーの気分が悪くなる恐れがあると同氏は説明する。同氏はこれを“シミュレーター酔い”と呼んでいるが、“VR酔い”や“サイバー病”とも呼ばれている。
ヒューズ氏は「企業がAR/VR技術の応用に踏み出すために必要なソフトウェアとハードウェアについて、さまざまな技術企業が連携できる」と話す。ただし、既成の選択肢が増えて、製品が今よりも成熟して洗練されたとしても、企業のIT部門が対応しなければならないことがある。それはこれらのシステムに提供するコンテンツを開発して、エクスペリエンスに関連性と価値をもたらすデータを提供するためのバックエンドシステムと統合することだ。
「必要なのは適切な情報を特定して、適切な情報を表示するための知識を持っていることだ。現在、エンジニアと開発者は多くのツールキットを利用することができる」とヒューズ氏は語る。このようなツールキットには、オープンソースの「ARToolKit」やPTCの「Vuforia」、グレープシティの「Wikitude」などがある。「これらのツールキットはVR開発の技術面を担っているが、これらはプログラマーのためのツールだ。プログラマーによってゲーム業界向けに構築されたものであるため非常に便利だ」と同氏は述べる。
Black & Veatchのハーディン氏は、IT部門がビジネスにおけるAR/VR事例を理解することに関してヒューズ氏と同じように考えている。この新興分野では、ユーザーエクスペリエンスを理解し、適切なコンテンツを提供して、そのコンテンツをエンドユーザーにとって意味のある形で表示できる技術者が求められる。「AR環境には、モバイル版のアプリケーションを使用した方がよいことが判明している。コンテンツが既に小さな画面で直感的に操作できるように設計されているからだ」とハーディン氏は語る。
ハーディン氏はHoloLensについて「自己完結型のデバイスであり、視覚化が内部で処理されるため、他のデバイス管理と大差はない」と語る。AR/VR技術には、記録すべき映像とそうでない映像の判別方法など、セキュリティに関する問題が付随している。
AR/VR技術の企業向けツールが機械学習や人工知能といった他の新たな技術を集約するにつれ、将来的により高度なスキルが求められるようになるとハーディン氏は予測する。例えば同氏は、溶接工がVR技術を使用して現場で実際に作業するロボットを誘導する未来を描く。「キーボードやマウスを使わない未来は手の届くところにある。言語やジェスチャーに基づいて直感的に理解することが可能になる未来を描いている」(同氏)
これが現実のものとなるのは先のことかもしれない。だがハーディン氏は「今こそ未来に備えるときだ」と断言する。
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