2017年ストレージベンダーの現状と展望【前編】
変化に対応した企業にチャンス、Dell EMC、Nutanixなど主要ベンダーはどう動く?(2/2 ページ)
Nutanix
DellやEMCと同様に、Nutanixも2016年のかなりの期間、企業としての体制が過渡期にあった。2015年12月に新規株式公開(IPO)を申請した後、ハイパーコンバージドインフラ製品のパイオニアであるNutanixは、市場環境が整うのを待って2016年9月下旬にIPOを実施した。
NutanixはIPOまでの間も、事業展開の手を緩めなかった。ソフトウェアスタックを強化し、クラウド市場でAmazon Web Services(AWS)に、仮想化市場でVMwareに挑む計画を打ち出した。これらの計画から、Nutanixは大企業と戦うことを恐れないことがはっきりした。同社はネットワークおよびサーバ大手のCiscoも敵に回している。Ciscoを通さずにVAR(付加価値再販業者)との間で、Ciscoサーバへの搭載用にNutanixソフトウェアを販売する契約を結んだからだ。
2017年を迎え、ハイパーコンバージドインフラ分野におけるNutanixの優位は、決して盤石ではない。Dell EMCのある部門はNutanixソフトウェアを再販しているが、別の部門は、Nutanixのハイパーコンバージドインフラ市場におけるリーダーの座を狙っている。Dell EMCと同じくDell Technologies傘下であるVMwareのユーザーの間では、VMwareのハイパーコンバージドインフラソフトウェア「VMware vSAN」のユーザーがNutanixソフトウェアユーザーより多く、VMwareは大手ハードウェアベンダーにvSANを提供している。
また、サーバベンダーのCisco Systems、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Lenovoもハイパーコンバージドインフラ市場に進出している。このうちLenovoはNutanixと組む一方で競合もしている。Pivot3、Scale Computing、SimpliVityといった小規模なハイパーコンバージドインフラベンダーも、Nutanixが創造した市場で同社のシェアを奪って利益を得ようとしている。
Nutanixは「当社の技術は当初のハイパーコンバージドインフラの考え方を超えて進化している」と主張し、自社を「エンタープライズプライベートクラウドプラットフォームベンダー」と訴求しようとしており、「データセンターのインフラ全体をシンプル化する」を目標に掲げている。今ではNutanixのソフトウェアスタックには、ハイパーバイザーとネットワーク管理のコンポーネントが含まれるようになっている。だが、ハイパーコンバージドインフラのルーツを超えた機能拡張は、機会とともに課題ももたらす。成功すれば、NutanixはIT業界の次のビッグネームになるかもしれない。だが、自ら戦線を広げたことで、Nutanixが競争についていけなくなる可能性もある。
注目ポイント 最大のポイントは損益だ。Nutanixは上場企業となったので、財務状況が開示されている。同社は四半期利益を計上したことが一度もない。NutanixのIPO前の累計損失は4億4200万ドルに達しており、このうち1億6850万ドルが直近の4四半期の損失だ。同社は、今後もマーケティングと研究に十分な資金を投入してDell EMCの追撃をかわしながら、損失を減らしていけるだろうか。
エンタープライズストレージベンダーによる最近のIPOはあまり成功していなかった。Fusion-io、Nimble Storage、Violin Memoryは、いずれも株式市場で荒波にさらされてきた。NutanixはPure Storageと同様に、こうした流れに立ち向かい、奮闘している。
Pure Storage
ハイパーコンバージドインフラにおけるNutanixのように、Pure Storageは、2007~2012年ごろに数多く登場してきたオールフラッシュアレイを手掛けるスタートアップの中で、最も頭角を現した。同社はフラッシュアレイの開発に当たって、パフォーマンスに注力するだけでなく、企業が求めるストレージ機能の搭載に配慮した。そのおかげで、早くから営業してきたフラッシュスタートアップがほぼ全て、買収されたか倒産したのに対し、Pure Storageは上場し、急成長中のオールフラッシュ市場で大手の一角としての地位を固めた。
その地位を獲得するのは困難だったが、維持するのも大変そうだ。規模で勝るストレージアレイベンダーはしばしば、Pure Storageの「FlashArray」に対抗して、すぐに値下げする。また、ほとんどのフラッシュベンダーがPure Storageに追随し、保証の延長やコントローラーの無償アップグレードを行っている。Pure Storageの幹部は、既存のエンタープライズストレージベンダーは、Pure Storageのフラッシュ設計にキャッチアップできないだろうと豪語しているが、Dell EMC、NetApp、IBMのような大手ベンダーは現在、フラッシュ用に設計されたプラットフォームを持っている。
Pure Storageは、2017年以降のフラッシュアレイ市場における重要な差別化要因としてNVMe(Non-Volatile Memory Express)を挙げており、2017年からNVMeのアレイへの実装を積極的に進める計画だ。また、非構造化データ用のスケールアウトシステム「FlashBlade」で製品ラインアップを広げようとしている。
注目ポイント Pure StorageのCEOを務めるスコット・ディーツェン氏は、2017年末までにキャッシュフローを黒字にすると約束している。Pure StorageもNutanixのように、製品開発とマーケティングへの資金投入を続けながら、損益を改善するという綱渡りを強いられている。また、Pure StorageはFlashBladeによって単品経営から脱却するが、FlashBladeはDell EMCの「Isilon」シリーズの新しいオールフラッシュスケールアウトNASアレイと競合している。
Veritas Technologies
2015年10月にSymantecから分社化されたVeritas Technologiesは、「単なるバックアップベンダーではない」というアピールを展開している。これまでと同様に「NetBackup」が主力製品だが、Veritasはこの製品を、アーカイビング、分散ファイルシステム、ファイル分類、SDS、コピーデータ管理、非構造化データ可視化といった分野の製品と組み合わせ、包括的なストレージ管理プラットフォームを構築し、これら全てをクラウドに統合しようとしている。
Veritasの課題は、これら全ての製品(多くは社内で開発したのではなく、買収で入手)を一貫したプラットフォームとしてまとめることだ。一部の分野では、小規模なライバル企業が優位に立っている。例えば、Commvaultは、クラウドを包含するプラットフォームにデータ保護製品を既に組み込んでいる。Veeam Softwareは、Veritasより急ピッチでデータ保護資産の拡充を進めている。ActifioやCatalogicなどは、既にコピーデータ管理製品を持っている。
Veritasはアプライアンス「Velocity」を同社のラインアップにおけるコピーデータ管理製品として位置付けようとしているが、これはまだβ段階だ。顧客は2017年には、「Veritasは個々の要素をまとめたプラットフォームの構築にコミットしており、その方法は分かっている」という確たる証拠の提示をVeritasに求めそうだ。
注目ポイント Veritasがビジョンを実現するのにどれだけの時間がかかるだろうか。重要な要素の一部はまだ試験段階だ。その1つとして「Information Map」がある。Information Mapは、NetBackupカタログのメタデータを利用して、ユーザーがデータとその扱い方をより良く理解できるように支援する。Information Mapの正式版をリリースすれば、Veritasはミッションの実現に大きく一歩近づく。またVeritasは、VelocityとNetBackupをフルに統合し、パブリッククラウドサポートを拡大する必要もある。
後編では、NetApp、HPE、Hitachi Data Systems、IBMなどの動向をお伝えする。
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