次期アップデートでWeb攻撃対策を強化
「Microsoft Edge」が“究極の安全ブラウザ”に一歩近づくセキュリティ新機能とは?
Microsoftは「Microsoft Edge」の次期アップデートで、クロスサイトスクリプティングやコンテンツインジェクションといったWebベースの攻撃への対策を強化する。
Microsoftは「Windows 10」導入企業をWebベースの攻撃から守るべく、Webブラウザ「Microsoft Edge」(以下、Edge)のセキュリティを強化する。
IT部門が最も懸念するセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性は、エンドユーザーの存在だろう。改ざんされたWebサイトへアクセスする、クライアントPCの悪意あるコンテンツを潜り込ませようとするリンクをクリックするといった、エンドユーザーの危険な行為に対する懸念は高まる一方だ。
Windows 10の次期メジャーアップデート「Windows 10 Creators Update」に搭載されるEdgeは、こうしたWebベースの攻撃の検出と阻止に役立つセキュリティ仕様「Content Security Policy Level 2」(CSP2)を実装する。
併せて読みたいお薦め記事
「Microsoft Edge」の安全性を検証する
- “危険なIE”にさようなら 新ブラウザ「Microsoft Edge」は“究極の安全”実現か
- 「Microsoft Edge」からパスワードを盗む攻撃手法が判明、対策はほぼなし?
- 「Microsoft Edge」に保存したパスワードはどうなるのか?
「安全なWebブラウザ」の条件
Webベースの攻撃から守る「CSP2」
実際にWindows 10を利用する非営利団体Tri-Counties Regional Centerの最高情報責任者(CIO)、ドミニク・ナムナス氏は、昨今セキュリティのリスクは増大しつつあると説明する。「Webサイトの脆弱性とエンドユーザーの脆弱性が盛んに悪用されている。できる限りの対策を施すべきだ。IT部門にとってユーザーはセキュリティ上の最大の弱点だ」(ナムナス氏)
Webベースの攻撃の1つに「コンテンツインジェクション」がある。信頼できるWebサイトの本来のコンテンツを悪意あるコンテンツで置き換える攻撃だ。Webアプリケーションの脆弱性を利用する同様の攻撃に、Webサイトに任意のスクリプトを混入させる「クロスサイトスクリプティング」(XSS)がある。
CSP2は、許可したコンテンツしか読み込まないようWebブラウザを制限することで、Webベースの攻撃を阻止する。その方法は「nonce」という値をWebページのコードに埋め込み、Webブラウザの認証トークンとして使用するというもの。Webページのコンテンツに正当なnonceが埋め込まれていれば、Webブラウザはそのページを読み込むが、そうでない場合は改ざんされているとみなし、ページを読み込まない。
このセキュリティ機能によって、Edgeは本人の知らないうちに、Webベースの攻撃の脅威にさられているエンドユーザーを保護できる。
ITコンサルティング会社Five Nines IT Solutionsの社長兼CEO、ダグ・グロスフィールド氏によれば、セキュリティ侵害は大抵、社内のエンドユーザーが何かを実行したことが原因で起きる。「社外のリソースとのやりとりの大半は、Webブラウザを介する。そのためMicrosoftにとっては、Webブラウザセキュリティの強化が重要となる」とグロスフィールド氏は語る。
多層のセキュリティ対策が鍵に
Webベースの攻撃はますます深刻さを増し、高度化し、回避しづらくなっている。Microsoftのパートナー企業であるHillSouthの創業者兼CEO、ロビー・ヒル氏によれば「ベンダーが各自、自社のWebブラウザに対策を組み込むことが重要」だという。全ての企業やエンドユーザーが、適切なセキュリティソフトウェアを自身で用意するとは限らないからだ。「メールであれWebブラウザであれ、従業員が使うツールのセキュリティ強化が肝要だ」とヒル氏は語る。
調査会社ZK Researchの創業者兼主任アナリスト、ゼウス・ケラバラ氏も同じ意見だ。「Edgeを企業向けの定番ブラウザにしたいMicrosoftにとって、こうしてEdgeのセキュリティを強化することは実に理にかなっている」とケラバラ氏は語る。さらにIT担当者は、社内で最もだまされやすいエンドユーザーも、Webブラウザとメールを使っていることを意識する必要がある。
Five Nines IT Solutionsのグロスフィールド氏は、IT部門はセキュリティ対策を多層的に組み合わせることで責任を全うできるとの考えだ。「1つの方法に全てを賭けるべきではない。適切なパッチを適用したり、ペリメータ(境界)とエンドポイントのセキュリティ対策を講じたり、適切なポリシーを設定したりなど、多層的なアプローチが必要だ」(同氏)
Microsoftは現在、CSP2を実装するEdgeの新バージョンをプレビュー版として提供している。対象者はWindowsの品質改善プログラム「Windows Insider Program」の参加者で、更新タイミングを「Fast Ring」に設定しているエンドユーザーだ。2017年4月には、Windows 10 Creators Updateで一般提供する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー