“デジタル中立国”を目指すべきと主張
Microsoftは「国家によるサイバー攻撃」にどう対処しているのか
国家間のサイバー攻撃が企業活動や市民生活に与える影響とは何か。企業や政府はどう対処すべきなのか。Microsoftでプレジデント兼最高法務責任者を務めるブラッド・スミス氏が語る。
サイバーセキュリティに影響を及ぼす問題や複雑な要因は多数ある。しかしMicrosoftのプレジデント兼最高法務責任者ブラッド・スミス氏は、他の全てをしのぐ問題が1つあるとの認識だ。
「ある1つの事については、われわれが結集し、知恵を絞る必要があると考える」。スミス氏は2017年2月14日、年次セキュリティカンファレンス「RSA Conference 2017」の基調講演でそう語った。「明らかに状況を困難にさせていることが1つある。それが国家によるサイバー攻撃への参入増加だ」(同氏)
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社会問題化するサイバー攻撃
戦場になったサイバー空間
講演のテーマは「Protecting and Defending against Cyberthreats in Uncertain Times」(不確実な時代のサイバー脅威に対する防衛)。スミス氏は国家によるサイバー攻撃とハッキングにスポットを当てた。このテーマは、今回のカンファレンスで何度も取り上げられた。
スミス氏は国家によるサイバー攻撃の近年の事例として、欧州の電力網に対する攻撃やSony Pictures Entertainmentに対するハッキングを挙げる。その上でこうした事件が、民間企業や市民も国家間サイバー攻撃の被害に遭う可能性があることを示す「転機」になったと指摘する。
こうした攻撃が相次いでニュースとして配信され、論議を呼んでいるとスミス氏は説明する。さらに米大統領選に関連して起きた、民主党のヒラリー・クリントン陣営責任者ジョン・ポデスタ氏に対するフィッシング攻撃に言及し「サイバー空間が新たな戦場になっている現実に向き合わなければならない」と訴える。
「この状況はわれわれの立場を変えさせた」とスミス氏は語る。「われわれは“戦闘機”であり、“初動部隊”でもある。国家による攻撃に対して他の国家が応戦する代わりに、われわれが対峙している」(同氏)
国家によるサイバー攻撃が民間企業や市民を標的としていることを受けてスミス氏は、サイバー攻撃のためのジュネーブ条約(戦時下における民間人や捕虜の保護に関する国際条約)のような態勢の確立を提唱する。「これまで世界の政府は、戦時中の民間人保護のために尽力してきた。だがサイバー攻撃に関する限り、国家によるハッキングは平時の民間人に対する攻撃へと発展している」と同氏は説明する。
スミス氏によると、Microsoftは国家によるサイバー攻撃をかわす取り組みとして、国家の支援するハッキング集団が登録した偽ドメインの差し押さえなどを進めている。だがこの問題では、世界の政府や業界指導者が結集して解決策を見つける必要があると同氏は訴える。その目的に向けて、政府機関とIT業界の英知を結集した官民のコンソーシアムを結成し、増大する国家サイバー攻撃の脅威に対処することを提唱する。「この問題に効果的に対処しようと思うのであれば、さらに結束を強める必要がある」(スミス氏)
スミス氏はまた、解決のためにはIT業界が一丸となって公正かつ公平に行動することで「世界の信頼をつなぎ留める必要がある」と述べ、意図を持った政府機関の延長とみられることがあってはならないと語る。
「国家主義が台頭する時代にあっても、われわれはデジタルの“中立国”でなければならない。われわれが守るべき一定の原則があることをはっきりさせる必要がある」とスミス氏は強調する。「どこにいても顧客を守り助ける姿勢を明確にしなければならない。どこの国の出であろうと、それがわれわれのすべきことだ。どこにいても顧客に対する攻撃には加担しないと明言する必要がある。たとえ政府がわれわれに対してそれを要求してきたとしてもだ」(同氏)
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