スマートホーム分野で大ヒット
「Amazon Echo」の成功を裏付けたIoT UXデザイン、3つの特徴(2/2 ページ)
IoT UXデザインの教訓2:連携性とエコシステム主導
また、Amazon Echoは、コネクテッドデバイスの最も重要な成功要件を満たしている。それは他のデバイス、組織、ユーザー、プロトコル、機能などとの相互連携が可能なことだ。Echoは幅広いスマート家電(サーモスタット、扇風機、電球など)やスマートホームオートメーションハブ(「SmartThings」や「Insteon」のような)と統合されている。
Amazonの統合エコシステムには他の企業やサービス、プラットフォームも加わっている。例えば、ユーザーはEchoに話しかけて、Domino'sにピザを注文したり、LyftやUberに配車を頼んだり、1-800-Flowersに花を注文したり、Honeywellのサーモスタットの温度設定を下げたり、PhilipsのLED電球「Philips hue」を点灯したりできる。さらに、EchoのIoT UXには、WikipediaやBingを使って情報を検索したり、パーソナライズされた形でNPRやBBCのニュースのまとめを聞いたりといったことも含まれる。
EchoはAmazonのパートナーにとっては、顧客サービスやサポートのユースケースの方が興味深い。Amazonは、IoTプラットフォームを手掛けるZonoffや、地元のサービス技術者、水道工事業者、電気工事業者などを探せるオンライン市場を運営するHomeAdvisorと提携している。これらの提携により、ユーザーはEchoを使って、Amazonから商品やサービスを購入したり、音楽を聴いたりするだけでなく、さまざまな問題を解決できる。ユーザーが商品やサービスの購入以外のこともできれば、Echoの統合は複合的な価値をもたらすようになり、問題解決や作業の達成が可能になれば、統合は大きな変化につながっていく。また、Amazonは顧客の生活の中で、より中心的な位置を占めることになる。
もちろん、相互連携や統合は、センサーや通信プロトコルにだけ関わっているのではなく、それらがもたらす価値も、企業提携のみによって実現されるわけではない。Echoのオープン性を最もユニークに表しているのが、Amazonが「Alexa Voice Service」と「Alexa Skills Kit」という2種類の開発キットをコミュニティーに公開していることだろう。
Alexa Voice Serviceにより、ハードウェアメーカーや開発者は、数行のコードを作成するだけで、Echoを支えるAlexaを自社のデバイスやアプリケーションに統合でき、ユーザーはEchoを使うように、それらのデバイスを音声で操作できるようになる。また、Alexa Skills Kitが提供するさまざまなAPIを利用して、開発者はAlexa対応の新しい音声機能やアプリケーション(“スキル”と呼ばれる)を構築または追加できる。
Amazonによると、1万人以上の開発者が製品へのAlexaの統合を登録している。Alexaのスキルは既に1600以上に増えており(2016年1月時点では130)、毎週、ユーザーに新しいスキルが通知されている。拡大が進むEchoやAlexaのオープンなエコシステムや連携は、ユーザーが購入してすぐに体験できるエクスペリエンスを向上させるだけでなく、長期にわたってユースケース、ユーザー、価値の幅を広げる。
- Amazon Echoの連携性
- Amazonデバイスとの連携
- 他の数十種類のコネクテッドデバイスとの連携
- 他のプロバイダーの数十種類のサービスとのAPIを介した連携
- オープンSDKがあらゆる組織や人(企業、スタートップ、DIY)による開発成果との統合を可能に
- 機械学習機能により、関係者がユーザーの導入傾向や使い方の好みを観察可能
IoT UXデザインの教訓3:長期にわたる価値付加(減価ではなく)
多くの製品は、購入した日から価値が下がり始める。アナログの世界では、この事実が製品中心のビジネスモデルのよりどころとなっている。だが、センサーやソフトウェア、データが、このパラダイムを転換させる。ネットワークに接続された世界では、成功をもたらすビジネスモデルは、製品の売上高、販売数量、利益率だけを価値の源泉として捉えることはしない。コネクテッド製品の本当の価値は、製品とその統合が実現するデータ主導でサービス中心のビジネスモデルにあるからだ。
Amazon Echoの物理デザインとデジタルデザインはこのことを前提にしている。そのビジネスモデルは、まさにデザインに織り込まれている。Amazon Echoは、表面に触れることができる物理的な製品であり、十数個のセンサーが埋め込まれているが、何よりもまずプラットフォームとして機能する。
Amazonのデバイス担当シニアバイスプレジデントを務めるデーブ・リンプ氏は、Fortuneの取材に対してこのデバイス戦略を明確に説明し、こう語った。「われわれがやろうとしているのは、われわれの製品を(ハードウェアとしては)実質的に原価で販売するビジネスモデルを構築することだ。この場合、“安かろう悪かろう”でEchoのような製品を作ると、顧客が買って家に持って帰っても、気に入らなくてどこかにしまい込んでしまうということになりやすいだろう。そうなれば、われわれとしては利益が得られない」
「そこでわれわれは、担当チームとして、ビジネスモデルと製品の両方を良いものにしなければならないと考えている。そうして顧客がある期間、製品を使ってくれれば、顧客が買い物をするたびに薄利を稼げるだろう。それはオーディブルブックかもしれないし、Kindleブックかもしれないが、いずれにしても、寿命が来るまで製品を使い、買い物をしてもらえるようにしたい」(リンプ氏)
もちろん、Amazonは個々のトランザクションで利益を得るだけでなく、ユーザーの操作、ユーザーの選好と人口属性ごとの違い、世帯、連携サービスの選好、開発者の傾向など、大量のデータを収集している。Amazonは、ユーザーのあらゆる操作から学習できるようにデバイスを設計しており、こうした学習を利用して、インテリジェンスや音声認識、速度、サービス、新しいスキル、パートナーのサービス、そして顧客エクスペリエンス全体を向上させることで、常にIoT UXを進化させようとしている。
デザインの観点からは、フロントエンドは、ユーザーがシームレスに操作を進められるように設計されており、バックエンドは、時間とともに応答機能が常に改良されていくように設計されている。Echo自体は、自らを含む大きなエコシステム全体にわたって、価値創造の触媒となる。
- Amazon Echoの価値付加
- デバイスが時間とともにユーザー行動を学習(個々のユーザーとユーザー全体について)
- ユーザーが時間とともにより多くの機能を享受
- センサーとソフトウェアが機能改良や意思決定に役立つ情報を収集
- デバイスが連携機能によってユースケースの拡大をサポート
- 新たなパートナーシップによるAmazonの新たな収益源獲得をサポート
- パートナーの顧客プログラムの新しいチャネル(家庭向け)をサポート
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