2017年のフラッシュストレージの行方【前編】
2017年は「NVMe over Fabrics」が本格始動、専門家が語るフラッシュの未来とは(2/2 ページ)
実現間近のNVMeとNVMe over Fabrics(NVMe-oF)
コッブ氏 2017年にはNVMeとNVMe-oFのうわさ話をするのではなく、NVMeとNVMe-oFが実際に販売されるようになるだろう。ストレージに長年居座ってきたSerial Attached SCSI(SAS)プロトコルに、ようやくNVMeドライブのリッチなエコシステムが肩を並べるようになったのだ。NVMe-oFは、ストレージとの対話をホストする新しい方法を提示するだろう。NVMe-oFが業界で大量販売されることはないだろうが、かなりの線まで増えることを予想する。可能な限り遅延が少ないか、可能な限り高いスループットに価値を見いだすユースケースも出てくるだろう。このようなユースケースは、外部ストレージやサーバの内部ストレージ、DAS(直接接続型ストレージ)、ハイパーコンバージドインフラに広がる可能性がある。
マット・キックスモーラー氏(Pure Storage、製品部門バイスプレジデント) この主要なフラッシュテクノロジーは、SATAドライブやSASドライブからNVMeドライブへの変更を促し、パフォーマンスと効率の新境地を切り開くだろう。現在、デュアルポート対応のNVMeドライブは、エンタープライズオールフラッシュアレイで使えるようになりつつある。これはオールフラッシュアレイのアーキテクチャにおける大変革になる。だがこれは簡単に組み込めるものではない。NVMeを最大限活用するには、ハードウェア設計とソフトウェアアーキテクチャの両方で革新が必要になる。最初の波は、NVMeデバイスとオールフラッシュアレイで、NVMeを使用することになるだろう。
次の波は、NVMe-oFへの移行だ。NVMe-oFへの移行によってDASストレージとSAN(Storage Area Network)ストレージの関係が変わり始めるため、かなり楽しみにしている。多くの新世代のアプリケーションは、サーバのDASストレージモデルを中心に構成している。このようなアプリケーションは、「Hadoop」や「Apache Spark」「Apache Cassandra」、あらゆる「NoSQL」データベースなどが含まれる。通常、このようなアプリケーションは、フラッシュストレージがローカルに接続しているか、HDDを搭載しているホワイトボックスサーバに導入している。NVMeによって、ネットワークストレージは、ローカルのDASに匹敵するパフォーマンスを発揮できるようになるための障壁が取り除かれる可能性がある。
ジェイ・メッツ氏(Cisco Systems、CTOオフィスのストレージネットワークとソリューションを担当する研究開発エンジニア) NVMeデバイスやNVMe-oFデバイスの誕生が、ストレージアーキテクチャを一新することはないと考えている。初回の導入では、パフォーマンスのメリットを享受するために既存の機能が置き換えられるだろう。だが状況が大きく変わることはなく、2018年に入ってしばらくするまでは、真に創造的なソリューションが大衆の心をつかむことはないだろう。しかし、早期にNVMeを導入した企業は、2017年にスタートアップ企業が提供する興味深いプロプライエタリなソリューションを目にするだろう。
※メッツ氏の予測は個人的なもので、Ciscoの上層部の意見を表すものではない。
マーティン・スカゲン氏(Brocade Communications Systems、データセンターインフラ部門CTO) オールフラッシュアレイは1千万IOPSの壁を破り、NVMeはその進化の立役者となるだろう。NVMeは、まさに次世代のフラッシュストレージだ。何年も前に当社がフラッシュストレージを導入したとき、フラッシュストレージは1種類しかなかった。メーカーによるパフォーマンスの違いはあまり見られなかったが、うまく機能させるためには多くの作業が必要だった。その後、フラッシュストレージの商品化が進み、オールフラッシュアレイ市場を力強くけん引することになったのは周知のことだ。
NVMeは、適切な種類のアーキテクチャを使用していれば、既存のフラッシュストレージに比べて飛躍的にパフォーマンスを高められる点で革新的だ。これは単に既存のSATAフラッシュとNVMeフラッシュを入れ替えるということではない。特に制御装置は、フラッシュストレージ自体の扱い方にさまざまな影響がある。1~2社の昔ながらのベンダーはある程度の取り組みによって対応できるかもしれないが、ソフトウェアとハードウェアの両方の観点で費用のかさむ取り組みになる。これは一から始めることになる小規模なスタートアップ企業の方が実現できる可能性は高いだろう。なぜなら、スタートアップ企業は、準拠しなければならない既存のアーキテクチャを保持しておらず、導入基盤も非常に小さいからだ。
NVMeは、フラッシュストレージの低価格化を実現する可能性を秘めている。大量のフラッシュストレージを購入する場合は、フラッシュアレイを購入しているベンダーからフラッシュストレージを購入しないことが有利に働く場合がある。NVMeはかなり標準化されたチップセットなので、差し込むだけで使える「プラグアンドプレイ」の利便性を享受できる。
スウ氏 フラッシュストレージに付随するパフォーマンスのメリットを活用する新しいプロトコルに注目が集まるだろう。将来的には、複数のプロトコルとインタフェースが存在するようになることが予想される。1つのテクノロジーは全てのワークロードに対応できなくなるからだ。2017年は、NVMeが大きく勢力を伸ばし、ゆくゆくは業界がNVMe-oFに投資するだろう。IBMが発表したオープンなコネクター仕様「OpenCAPI」は、遅延を抑えるためのより良い最適化を実現している。IBMの「IBM Power Systems」は何年も前にコネクター仕様「CAPI」(Coherent Accelerator Processor Interface)を生み出し、IBMはそれをオープン規格にしている。この規格により、PCIeバスとプロセッサで一貫性が確保される。そして、ストレージ層は大量の命令を削減して、遅延を大幅に少なくしている。IBMによると、OpenCAPIのパフォーマンスは、PCIeインタフェースの10倍ということだ。
後編「20年ぶりの新メモリ技術『3D XPoint』が真に革新的な理由」では、引き続き大手ストレージメーカーのCTOが、2017年にNVMeや新しいメモリメディアはどうなっていくと考えているのか紹介する。
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