ストレージテクノロジーの2017年話題のトレンド【前編】
コンテナ“一強”時代に変化の兆し、 SSDは高密度競争へ(1/3 ページ)
本稿では、データストレージテクノロジーのトレンドの中から、2017年に盛り上がりそうなものを取り上げる。前編ではクラウド間バックアップ、コンテナ、大容量SSDがテーマだ。
この記事では2017年のストレージ業界に非常に大きな影響を及ぼすデータストレージテクノロジーのトレンドを紹介し、その概要と技術進化において何が革新的なのか、そのポイントを解説したい。
なお、現在開発中で業界関係者が大きな期待を寄せているような試作テクノロジーや、構想段階でまだ実現するための製造技術のめどが立っていないのにそのメリットについて技術者が訴求している非現実なテクノロジーは取り上げていない。
あくまでも実用性が証明されている新しいストレージテクノロジーに限定して取り上げる。そのため、ここで示すストレージテクノロジーのトレンド一覧は、ストレージ業界が提供する最高かつ最強のテクノロジーかつ現在購入および導入できるものだけを取り上げている。
クラウドからクラウドへのバックアップ
データをクラウドに置くだけでは適切に保護していることにはならない。その保護の役割を果たすのが「クラウドからクラウドへのバックアップ」(クラウド間バックアップ)だ。この技術を導入すれば、クラウドサービスに格納しているデータを別のクラウドにコピーできるようになる。2017年に飛躍しそうなストレージテクノロジートレンドの中でも、特にクラウド間バックアップのベンダーは絶えず機能を追加している。このサービスに対するユーザーの関心が高まっているためだ。
ストレージ専門家のブライアン・ポージー氏は、クラウド間バックアップが2018年までには標準になる可能性が高いと考えている。同氏は、このテクノロジーが普及する根拠を2つ挙げている。1つは、バックアップテクノロジーがようやくパブリッククラウドに取り入れられ始めていることだ。そのため、クラウド間バックアップがより実用的になっている。もう1つが経済的要因だ。根拠としてはこちらが有力だ。
低コストを理由にデータをパブリッククラウドに移動している企業にとって、別のクラウドプロバイダーにバックアップすることには経済的効果があり、オフサイトにバックアップするメリットもある。
ポージー氏は、ローカルバックアップやローカルストレージにもまだ存在意義があるものの、ローカルストレージの必要性は今後数年で減少していく可能性が高いという。
ストレージ専門家兼コンサルタントのクリス・エバンス氏は、次のような意見を述べている。「ユーザーエラーのような問題をリストアするためのスナップショットは、オンプレミスに保持することになる。それでも、クラウドバックアップがデファクトスタンダードになる可能性がある。ユーザーはバックアップソフトウェアのベンダーにクラウドバックアップの採用が求めるようになるだろう。いや、既に要求しているユーザーもいる。その結果、バックアップアプライアンスが最も大きな影響を受けるはずだ」
プライベートクラウドからパブリッククラウドへのバックアップでは、アプリケーションをパブリッククラウドにバックアップとリストアするツールがある。それによりコストを削減し、運用が改善するとエバンス氏は付け加えている。また、SaaSのアプリケーションとデータもバックアップが必要だが、これはクラウドを利用して行うのが最も簡単だと指摘する。
インターネットベースのソフトウェア配信モデルとしてSaaSを主要オプションにしている企業もある。そのような企業は、メール、コラボレーション、CRMなど、さまざまなITサービスそのものを提供するときのオーバーヘッドを解消しようとしている。そのため、SaaSが拡大し、業務が本格的にクラウドへ移行するに伴って、さらに多くの企業がクラウド間バックアップの価値を認識する状況になりつつある。そう話すのはストレージコンサルタントのジム・オライリー氏だ。
「クラウド内のデータを全体的に保護する場合、データを社内のデータセンターに戻すのではなく、経済効果と運用効率の点からクラウドデータを別のクラウド空間に正式な業務フローとしてバックアップするのが最適なメカニズムになる。バックアップするデータがSaaSによるものであれアプリケーションによるものであれ同じことだ。重要なアプリケーションを実行する場所としてクラウドの快適さは向上しており、SaaSの利用も増えている。そのため、大規模IT運用ではクラウド間バックアップが2017年以降の必須アプローチになるだろう」(オライリー氏)
SaaS指向のクラウド間バックアップの主要サービスとしては、Asigraの「Asigra Cloud Backup」、Barracuda Networksの「Barracuda Cloud-to-Cloud Backup」、Dattoの「Datto Backupify」、Dell EMCの「Spanning」などある。2016年にクラウドベンダー各社はクラウド間バックアップのプラットフォームを強化してきた。中でもBarracuda Networksは、ホステッドバージョンのMicrosoftアプリケーションの増分バックアップの完了にかかる時間を短縮している。
SaaSアプリケーションが作成したデータを保護する場合はクラウド間バックアップが不可欠だ。2016年5月に発生したSalesforceの停電では、ユーザーが自身のデータに数時間アクセスできなくなった。この事実から分かるのは、SaaSベンダーが独自に実行しているバックアップは、ベンダー自身を保護するものでしかないことだ。例えば、SaaSユーザーが誤って何らかのデータを削除し、自身はバックアップコピーを用意していなかったとしよう。その場合、Salesforceにデータのリストアを有償で依頼しなければならなくなる。その場合、1万ドル以上のコストが発生する。
クラウド間バックアップやSaaSバックアップのプランを考えている管理者に向けて、エバンス氏は次のようにアドバイスする。「バックアップとリストアのプロセスに適用する標準は、オンプレミスでの導入に適用するのと同じ標準にすべきだ。そのためには、例えばだが、クラウド間バックアップサービスを使って目標復旧時間と目標復旧ポイントをどの程度満たせるかをテストすることだ」
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