EvernoteがDropboxより進化している理由
「データを認識できるストレージ」が企業システムを“勝手に”最適化する(1/2 ページ)
ストレージシステムが自分に保存しているデータの詳細を把握できるようになったとき、アプリケーションも相性に合わせた最適な使い方を自ら選べるようになるという。
従来、ストレージアレイはデータセンターの奥にあり、そこに格納しているデータについて詳しく知らなくても管理できた。ストレージ管理者は「高いパフォーマンスと確実なバックアップが欠かせない重要なアプリケーションのデータベースデータ」と把握していたかもしれない。だが、全データの詳細を管理していたのは、データベース管理者だった。
現在、データに関する情報とそのデータを格納するストレージを区分する人為的な壁が急速に変化しつつある。
格納データに関する詳細情報の把握は、縦割り型インフラの溝を埋めるだけではない。「ストレージのバックエンドにおける永続化」と「格納したデータが実際に意味するものとそのフロントエンドでの用途」の間にある距離も縮める。ストレージはもはやデータセンターの奥深くでビットパターンを格納して保護しているだけでは足りない。ストレージは、直接ビジネス運営を促進する方法で管理する必要がある。
現在のITシステムにとって、データのライフサイクル全体にわたって永続化のあらゆるレベルや階層でデータを活用することは、組織の競争力を維持し競争相手に対して優位になるために必要不可欠になろうとしている。これはIT担当者にとって朗報だ。それは、新たなストレージとして登場した「データ認識ストレージ」はITを主要なビジネスプロセスの最前線に押し上げようとしているからだ。
スマートストレージシステムを支えるのは「多数のCPUとコア」「安価なフラッシュメモリ」「機敏なSoftware Defined Storage機能」「ビッグデータ分析界から学んだ教訓」だ。スマートストレージシステムは、内部で容量とパフォーマンスを適切に最適化できる。その具体的な手法は「スマートな重複排除と圧縮のスキーム」「アプリケーションに沿ったキャッシュと階層化」「ポリシーで定義可能なQuality of Service(QoS)とデータ保護スキーム」になる。外部では、内部のデータに関する新しい種類のメタデータを作成して提供し、管理とガバナンス、アプリケーションのQoSレポート、調整を強化できる。直接的なビジネス価値の創出もサポートできる。
データ認識のルーツ
データ認識ストレージの始まりは、以前から存在するアーカイブ用の「コンテンツアドレスストレージ」アーキテクチャまでさかのぼる。これは、初期のオブジェクトベースアーカイブで、厳密に保持要件を管理する、または、法的証拠開示に役立てるために追加のメタデータ(データの内容を定義する“ラベル”のようなもの)を保持する。多くの場合、システムはこのメタデータをインデックス化し、コンテンツの外からアクセスできるようにしている。最終的にはコンテンツもインデックス化して検索可能になり、eディスカバリー(電子的証拠開示)処理に使えるようになる。だが、この仕組みを使うユーザーはほとんどいなかった。それは、この仕組みがアーカイブ用のコールドストレージに適していたのでオフラインの後処理工程で作成し、アーカイブ済みの静的なデータセットにしか適用していなかったためだ。
10年前に出現したビッグデータアプローチが示したのは、非常に多様で構造化していない大量のライブデータが多大なビジネス価値をもたらすことだった。一般的にオブジェクトストレージを使って巨大なWeb規模のクラウドを構築し、運用環境のWebやモバイルアプリケーションを動かすのに使用していた。だが、今ではあらゆる種類のメタデータを格納することが珍しくなくなっている。事実、これらのストレージはユーザー定義のメタデータをサポートする。また、このメタデータは、高度なアプリケーション固有のタグ付けやデータラベリングを実行するように開発者が自由に拡張可能だ。高度なファイルシステムの中には、データ採集にコンテンツのインデックス化を直接組み込み、エンドユーザーがプライマリーストレージで特定の単語やフレーズを含むコンテンツを検索できるようにしているものもある。
このような進化の一例として、「Dropbox」および「Evernote」という2つのオンラインファイル共有サービスの違いについて考えてみよう。いずれのサービスも、デバイス間で各種ファイルを格納および同期して、複数のユーザー間でファイルを共有できる。Dropboxはオンラインでのファイル共有とコラボレーションを定義する標準だった。一方Evernoteは、利用場面に制限があるものの、Dropboxより進化している。「完全なコンテンツ検索」「一般的な種類のファイルで使用可能なインラインビュワーとエディター」「追加のメタデータ」(利用可能な場合はURLソースや参照先、ユーザーのタグ付けなど)「類似コンテンツをお勧めする機能」という特徴により、本質的にコンテンツ認識型のサービスとなっている。どちらも毎日使用しているユーザーにとって、Dropboxは単なるファイル共有ツールの1つだが、Evernoteは仕事に欠かせない。
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