大手HDDメーカーもフラッシュに本腰
SSDは「2020年までには100TB超え」、HDD置き換えが予想以上に進むか
SSD(ソリッドステートドライブ)はHDDよりもはるかに高速なのが魅力だが、ここにきて容量でもHDDを追い越そうとしている。
2016年8月中旬に開かれたイベント「Flash Memory Summit」(FMS)では、Seagateが60TBの3.5インチSASドライブを披露した。一方、Samsung Electronicsは32TBの2.5インチSASドライブを2017年に投入し、100TB超のSSDを2020年までにリリースすると発表した。
現在、企業向けのSSDで最も容量が大きいのはSamsungの16TBドライブだ。このSSDは最近、NetAppのオールフラッシュアレイおよびHewlett-Packard Enterpriseの「3PAR」アレイでの採用が始まった。
Samsungの大容量ドライブは、同社の512GビットのV-NANDチップをベースとする。Samsungは、このV-NANDチップを16層に重ねて1TBのパッケージを構成し、これらの1TBパッケージを32個組み合わせて32TBのSSDを実現している。同社によると、この32TBドライブはSeagateの60TB SSDよりも高密度な実装が可能だという。12台の3.5インチSSDを組み込むスペースに24台の2.5インチドライブを組み込めるからだ。
Samsungの32TBドライブが登場する前にSeagateが60TB SSDをリリースできれば、同社は当分の間、実装密度の競争をリードすることになる。
Seagateで製品管理担当シニアディレクターを務めるケント・スミス氏は「60TBドライブは1年以内にリリースできる見込みだ」と話す。このドライブはアクティブ/アクティブ型アーカイブが可能だという。「例えば、多数の写真が含まれるソーシャルメディアサイトでも、ユーザーが素早くアクセスできる必要がある。ユーザーは待つのが嫌いだ。このドライブは、大容量と同時に素早いレスポンスが要求される用途に向いている」と同氏は説明する。
SSDの普及に伴い、既に1万5000rpmのHDDの人気が衰える一方で、1万rpmのドライブはサーバ用に追いやられつつある。今後、大容量のSSDが登場すれば、これまでHDDが活躍してきた大量ワークロードの分野にもSSDが進出する可能性がある。
「データセンターのスペースに制約があるところでは、大量データ用のフラッシュドライブが魅力的になる」と話すのはDeepStorageのコンサルタントを務めるハワード・マークス氏だ。
大手HDDメーカーのSeagateは、SSDに本腰を入れていることをアピールしている。HDD分野で同社の最大のライバルであるWestern Digitalもフラッシュ技術に大規模な投資を行っており、2016年にはSanDiskを170億ドルで買収する手続きを完了した。Seagateが特に力を入れているのがサーバサイドフラッシュで、FMSでは新しい「Nytro NVMe」カードも発表した。だが同社は、エンタープライズSSD分野への進出には出遅れた。
FMSでフラッシュ市場の最新情報の発表を聞いたObjective Analysisのアナリスト、ジム・ハンディ氏は「SeagateがHDD市場での優位性をSSD市場に持ち込めなかったのは驚きだ」と語った。
Samsungは大容量SSD以外の製品の計画も明らかにした。同社は2017年、超低遅延の「Z-SSD」をリリースする他、1TBのボールグリッドアレイ(BGA)を発表する予定だ。超薄型BGAはノートPCおよびタブレット用だが、Z-SSDはリアルタイム分析などのアプリケーションが動作するエンタープライズシステム向けだ。SamsungのSSD担当シニアプロダクトマネジャーのライアン・スミス氏によると、最初のZ-SSD製品は1TBだが、さらに大容量の製品も計画しているという。
1個のNANDセルに4ビットを格納するクアッドレベルセル(QLC)型SSDの分野については、Samsungは一番乗りを目指して急いでいるわけではない。他のベンダーは2017年ないし2018年にQLC製品を提供する予定だとしているが、Samsungのスミス氏は「トリプルレベルセル(TLC)フラッシュの次を急ぐ理由はない」と話す。
「TLCこそが正しい戦略だと確信している。QLCから何が得られるのだろうか。われわれが現在提供しているものがベストな選択だと判断した」(同氏)
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