SANの寿命と性能の向上にも威力を発揮
SSD、オールフラッシュは超高速なのに低コスト HDDを置き換えて“新定番”に(1/2 ページ)
最近のIT部門の導入成功事例の中で、オールフラッシュアレイは急速に存在感を増している。コストへの影響を最小限に抑えながら、SANの寿命と性能を向上させることができるからだ。
フラッシュストレージは極めて高速なパフォーマンスが注目されている。それは当然だ。「オールフラッシュアレイ」はランダムIOPS(1秒当たりのI/O)が100万以上に達するが、同様のサイズのHDDは1万にすぎない。
オールフラッシュアレイを利用すれば、既存機器の追加や交換を行わなくても「SAN(Storage Area Network)」の寿命とパフォーマンスを伸ばし、サーバファームをサポートしていくことができる。さらに、オールフラッシュアレイの高いIOPSのおかげで、高効率の仮想デスクトップインフラ(VDI)向けなど、SANに新しい用途が開ける。
こうしたオールフラッシュアレイの一般的な使い方は、プライマリストレージの一部だけをフラッシュに置き換え、アクティブデータ用の高速層として使うというものだ。ほとんどのユーザーの場合、現行HDDのプライマリ層にあるデータのうち、アクティブデータは50%に満たず、それ以外はウォームデータ(アクセス頻度の低いデータ)だ。
小容量ながらも非常に高速なフラッシュ層を導入することで、利用可能なIOPSに大きなゆとりができる。フラッシュアレイはそれを利用して、より低速なセカンダリディスク層にダウングレードされるデータに対して圧縮や重複排除を行う。圧縮されたデータは容量が大幅に小さくなるが、その圧縮率は、ユースケースやデータの種類にある程度左右される。圧縮や重複排除でディスク使用量が最大80%減少するのが一般的で、これによってセカンダリ層のコストが大きく削減される。
オールフラッシュアレイのパフォーマンスおよびコスト要因
フラッシュ層の導入によってもう1つの要因も働く。圧縮データは通常、生のデータよりはるかに高速に取り出しや展開が行うことができ、ネットワークで伝送される際の使用帯域幅も少なくなる。高速な取り出しと使用帯域幅の低減は、圧縮されたセカンダリストレージ層の大幅な高速化につながる。こうした階層化と圧縮により、置き換え前のオールHDDアレイ構成と比べて、全体的なストレージコストが削減できる。
フラッシュ層として導入されるオールフラッシュアレイは小規模な構成となることから、調達コストを下げられるだけでなく、省電力や省スペースが可能な上、より高い信頼性も期待できる。これらの要因は全て、こうしたオールフラッシュアレイの導入コストの大幅な抑制につながる。
では、こうした数百万規模のIOPSがデータセンターに与える全体的な影響について見てみよう。われわれのほとんどはクラウドや仮想クラスタの観点から考えるが、コンテナの台頭を受けて、将来の方向について多くの議論が交わされている。コンテナを使うと、どのサーバでも仮想インスタンスの数が3倍程度に増える。これは、特定のワークロードに必要なサーバ台数が大幅に減少するということだ。
このことは資金力の弱い企業にとって恩恵となりそうだが、こうしたコンテナがストレージI/Oを必要とするという点がネックになる。サーバ内のインスタンスが3倍に増えて、IOPSが変わらなければ、うまくいかない。従来のHDDベースのアレイでは、IOPSがほぼ必ず足りなくなってしまう。だが、オールフラッシュアレイの導入により、ネットワーク接続されたフラッシュストレージのパフォーマンスを向上させ、IOPSを100倍以上に増やせば、仮想サーバファームが威力を発揮することになる。インスタンスが3倍に増えても、インスタンス当たりのIOPSも少なくとも30倍に増えるからだ。
同様に、こうしてストレージのI/O性能が上がれば、サーバもはるかに効率良く動作する。すなわち、ジョブがより短いインスタンス時間で処理されるので、インスタンス数を大幅に減らすことを選択できるようになる。同じ作業をより少数のサーバやコンテナでこなせれば、ハイパーバイザーのライセンス料や管理コスト、ネットワーキングコストを確実に節約できる。サーバの追加購入が不要な上に、こうした節約ができるというわけだ。
実際、HDDストレージの必要性の縮小や、特定のワークロード処理に必要なサーバ台数の減少、ネットワーク機器コストの節約、そしてソフトウェアライセンス料など業務コストの削減が実現されれば、オールフラッシュアレイに掛かる費用の元が取れる。
こうした投資回収の具体的な方法を幾つか見てみよう。これまでより大きなワークロードを、サーバを追加購入せずに処理していくことがその1つだ。それによって数年間、設備投資を大幅に抑えられる。また、データセンターから古く、遅いマシンを一掃すれば、現在の機能を維持しながら、業務コストを削減できる。古い機器を売却し、使用するライセンスを減らすことも、オールフラッシュアレイのコストを回収する方法になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
なぜワンキャリアは障害復旧を3時間から1時間以内に短縮できたのか -
製品資料
自社のDevSecOpsはどこまで進んでいる? 進捗を測る指針“成熟度モデル”とは -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
事例
三菱ケミカルが脆弱性への迅速な対応フローを実現した方法とは? -
技術文書・技術解説
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
2
契約作成からKYCまでAIが完結 独金融大手が3000人を削減してまで狙う破壊的効率化
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
管理職542人に聞いた AIやデジタル化でなくしたい主な事務作業第1位は?
-
7
「業務改善とツール活用」に関するアンケート
-
8
ただで使い「12時間以内の復旧」を迫る 無償OSSを商用扱いする日本企業の末路
-
9
SAPのAI、全社展開はわずか1割 「PoCの次」に進めない本当の壁
-
10
【漫画付き】"RAG導入失敗3例"と処方箋 「入れても使われない」を終わらせる
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
6
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
7
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
8
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
9
動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
-
10
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー