非構造化データ時代が求めるストレージ
Amazonの影響も無視できない「オブジェクトストレージ」導入が急増する事情
スケーラビリティ、パフォーマンス、低価格は、企業がオブジェクトストレージを導入する大きな動議になるとベンダーは説明する。だが、企業がオブジェクトストレージを選ぶ理由はこれだけではない。
オブジェクトストレージの導入が、これまでにないほど急速に進んでいる。
コンプライアンスの要件からスケーラビリティの問題や予算の制約に至るまで、オブジェクトストレージは、従来のファイルストレージに取って代わる効率的なテクノロジーと評価する関係者は多い。
本稿では、このように多くの企業がオブジェクトストレージテクノロジーの採用を決める9つの理由を紹介する。
理由1:非構造化データの増加
IDCによると非構造化データは、約62%の年間成長率を遂げているという。オブジェクト指向ストレージの細かいアプローチにより、オブジェクトストレージは大容量の非構造化データに対処する貴重なリソースとなっている。
理由2:スケーラビリティ
オブジェクトストレージは、数十~数百EB(エクサバイト)の容量に拡張できる。また、オブジェクトストレージがZB(ゼタバイト)やYB(ヨタバイト)に拡張することについて技術的に不可能という理由もない。オブジェクトストレージは、最高密度のストレージを利用しているが、それはHDDとSSDのどちらでも、または混合でも構わない。
理由3:移行不要
オブジェクトストレージは、何も共有していないスケールアウトシステムだ。そのため、従来のようにテクノロジーの更新は必要ない。ハードウェアの更新で必要になる作業は、標準的なイーサネットネットワークに接続したシステムに新しいオブジェクトストレージノードを追加するだけだ。その後は、古いノードを1つずつシステムから削除すればいい。データの移行作業は不要だ。自己修復アルゴリズムとイレージャーコーディング(ストレージを複数のフラグメントに分割して保存データを保護する手法)またはマルチコピーミラーリングによって、新しいノード上に必要なデータを再作成する。容量が増えるにつれて、全オブジェクトストレージノードでデータの均一化を自動的に行うようになる。
理由4:HadoopおよびNoSQLとの互換性
ベンダーにもよるが、オブジェクトストレージは、HadoopやNoSQLに適したストレージとなることが多い。CaringoやCloudianなど一部のベンダーは、オブジェクトストレージ自体に分析機能を組み込んでいる。
理由5:これまで使ってきたファイルストレージの代替
オブジェクトストレージの導入が加速しているもう1つの理由は、多くのユーザー企業や技術者がオブジェクトストレージを次世代のファイルストレージとして認めていることだ。現在利用可能なオブジェクトストレージシステムの大半には、ファイル形式としてNFSを、通信プロトコルとしてSMBを、そして、インタフェースとしてiSCSIをサポートしている。また、(設置場所としての)分散機能と分析機能によって、オブジェクトストレージは非常に有益で貴重なファイルストレージとなっている。
理由6:低価格でテープストレージより効率的
オブジェクトストレージはテープの次にコスト効率がいいデータストレージだ。ただし、ほとんどの分析処理、アクティブアーカイブ、バックアップからの高速な復元処理においてテープストレージの処理速度は遅すぎる。だが、オブジェクトストレージの処理速度なら十分対応できる。
オブジェクトストレージには他にもテープと異なる点がある。それは、地理的に離れた場所にいる担当者の間で非構造化データを共有したり、Hadoopインフラと連係したり、30年以上データを保持したりするのにも適していることだ。テープとオブジェクトストレージは、どちらもWORM(write once, read many)テクノロジーを実装できる。だが、オブジェクトやファイルへのアクセスを制限できるのはオブジェクトストレージだけだ。
理由7:即時一貫性の向上
オブジェクトストレージの欠点の1つは、データを異なる2つのノードや場所で更新するため、(最終的には整合性を維持できるものの)タイムラグによる問題を引き起こす可能性があることだ。ただし、幾つかのオブジェクトストレージプロバイダーは、オブジェクトストレージテクノロジーで即時一貫性を提供できるようになった。このようなプロバイダーには、Caringo、Cloudian、HGST、Joyent(2016年7月にSamsung Electronicsが買収)などがある。
理由8:SSDといったフラッシュストレージによる高速なパフォーマンス
オブジェクトストレージには、長い待ち時間と遅い応答時間による影響を受けやすいという特徴があった。個人向け製品で採用するMLCと3D TLCに基づいた比較的低価格でずっと高速で高密度かつ大容量なSSDの実装で、この欠点を回避できた。
理由9:標準化
オブジェクトストレージ導入が加速している最大の理由は、Amazonの「Amazon Web Services」(AWS)と「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)の台頭にあるかもしれない。
Amazon S3は、Amazonのオブジェクトストレージだ。Amazon S3のAPIは、オブジェクトストレージAPIの事実上の標準となっている。全てのオブジェクトストレージプロバイダーは、Amazon S3のAPIを導入して、同じくAmazon S3のAPIを使用している既存アプリケーションとの互換性を確保しようとしている。この動きはオープンソースのOpenStack SwiftやCephでも同様だ。その結果、ソフトウェアベンダーがプライベートオブジェクトストレージの実装と互換性のあるAmazon S3用に記述したアプリケーションを量産する動きに派生している。
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