EvernoteがDropboxより進化している理由
「データを認識できるストレージ」が企業システムを“勝手に”最適化する(2/2 ページ)
ストレージがデータを認識するために必要なこと
eディスカバリーを担当する企業弁護士とセキュリティの調査担当者には、セキュリティ侵害の可能性を早期に警告するために異常な行動を積極的に特定するオンラインシステムが必要だ。スマートなデータ認識ストレージシステムは、監査系の情報を取り入れて、ファイル、データ、メタデータを「イベント」のパターンと関連付ける。イベントには、アプリケーションのクラッシュ、ファイルシステムの容量不足、新しいユーザーへのルートアクセスの許可、キーディレクトリの共有または非表示などを含む。
Digital Equipment Corporation (DEC)の「VAX」(1970年台後半から1980~90年代に普及し2000年まで生産していた独自アーキテクチャ採用のワークステーションシリーズ)で、あからさまにストレージが不適切に使われているケースに遭遇したことがある。アクセス頻度が低いファイルシステムにいかがわしいコンテンツを大量に保存していた。よりコンテンツ認識型である最新のスマートストレージシステムは、こうしたセキュリティ違反を通知し、ユーザーが解雇に至るような不適切な使い方をしないよう警告したり防止したりする。
ガバナンスとセキュリティ保護以外の観点で見ると、“フラット”で巨大なファイルの集合体が、多くの有益な情報を隠す傾向にある。この情報は、キーワードや用語、そしてフレーズでコンテンツを検索するのに役立つだけでなく、関連する概念についての資料をドメイン固有の「分類」によって探すのにも役立つ。例えば、ユーザーが野菜について検索すると、トマトやキュウリに関するドキュメントを見つけることができる。また、データを作成した「人物」や、コピーと共有を行った人物、その回数と閲覧の長さを調べることも可能だ。それから、特定のデータセットを最も多く使用しているグループ、一連のドキュメントで共同作業したユーザー、何らかの関心を持っているユーザー、同じ関心を持っているユーザーなどを見つけ出すこともできる。
データ認識ストレージの中には、データ単位という細かい粒度で、自身の読み出し書き込みサービスの使用状況と品質に関するメタデータを追跡するものもある。このようなスマートストレージシステムは、それぞれのデータが論理的に使用する方法を把握するだけでなく、ユーザーやアプリケーションによる読み出し書き込みのアクセスパターンや時間ごとのパフォーマンスの記録も可能だ。アクセスパターンとパフォーマンス、それに各データの格納に必要な容量を把握できる時系列順のメタデータがあれば、スマートストレージシステムは、より広範囲にQoSを保証するべくレポートや最適化ができる。また、最適化の自動や後押しする方法の把握も可能だ。
新たなるデータ認識時代の到来
現在は、スマートなデータ認識アレイの黎明(れいめい)期にある。自作を好むユーザーは以前からオープンソースのApache「Lucene/Solr」を使ってきた。eディスカバリーに携わるユーザーたちもLucene/Solrを長きにわたって使用してきたが、横断的なスタックを処理するために検索エンジンを全面的に統合する大手分散ストレージベンダーも登場している。Tarminの「Tarmin GridBank」には、ID、セキュリティ、アプリケーションストレージ調整のアクティビティーを提供する完全な分散型のメタデータサービスを搭載している。また、Hewlett Packard Enterpriseは、同社の「IDOL」コンテンツ活用テクノロジーをストレージにそのまま統合している。現在、このストレージは新型の高速採集と検索データベースの「Express Query」と共に「StoreAll」オブジェクトストアにアタッチしている。他にもData Gravityは、組み込みのテキスト検索とソーシャルの使用パターン検出のためにデュアルコントローラーの受動側でコンテンツを自動インデックス化するミッドレンジアレイを2014年にリリースしている。
Qumuloの「Qumulo Core」も優れたデータ認識ストレージの1つだ。ユーザー、アプリケーション、データオブジェクトのパフォーマンスと容量の定量化(メトリクス)を追跡する。これによりQumuloは、データレベルでQoSポリシーを適用および施行し、ストレージを使用している人物や物をさまざまな方法で正確に把握できる。Qumulo Coreを使用すると、管理者はストレージシステムで現在起こっていることをファイルレベルで可視化する。その結果、特定のファイルとディレクトリを頻繁にアクセスするタイミングやアクセスしたタイミング、そしてどのクライアントがファイル構造のどのセクションにアクセスしているかが分かりやすくなる。Qumuloは数十億個のオブジェクトを格納するように拡張できるので、これは特に便利だ。外部の管理ツールは、ここまでオブジェクトが多くなると機能しないだろう。
他にもデータ認識分野で成長を遂げているのが、データを最適にキャッシュしたり格納したり仮想的に提供したりする方法を、想定できる使用状況に基づいて改善する製品だ。例えば、Riverbedの「SteelFusion」は、リモートオフィスやブランチオフィスでアプリケーションと仮想マシンを実行するためにローカルで必要なデータについて十分な情報を把握している。このためRiverbedのWAN最適化テクノロジーを使用してエッジロケーションで必要なものを予想しながら、データセンターの全データを永続化と保護が可能になっている。この種の末端における「仮想化」を実現するストレージインテリジェンスでは、データコンテンツ、データサービスの要件、必要なデータ保護レベルに関する知識が必要になる。
アプリケーション認識
ストレージは、アプリケーション認識度を高めることでストレージクライアントと共にアプリケーションの高速化と運用コストの削減を実現するデータサービスを提供できる。ストレージは、LUN(SCSI接続におけるデバイス識別番号)、バイナリオブジェクト、ファイルを分配するのではなく仮想マシンイメージやデータベーステーブル(データベースレコードの「チャンク」)などアプリケーションレベルのデータ構造体を提供する。そうすれば、データ保護、可用性、パフォーマンスに関するストレージの設定は、アプリケーションの観点から管理できる。
ハイパーバイザーに仮想マシンを提供し、仮想マシンの観点から管理できるストレージを早い段階で開発したのがTintriだ。一方、VMwareは、このアプローチを従来のアレイベンダーに広めるAPI(VAAIなど)を持ち、仮想マシンレベルで機能するVirtual SAN(VSAN) Software Defined Storageも提供している。
その一方で、一部のアプリケーションはストレージ関連情報の対応を高めている。これは基本的にカスタマイズしたストレージをアプリケーションレベルで本質的に集約するというHadoopとビッグデータの主要な設計理念だ。例えばHadoopの分散ファイルシステム「HDFS」は、必要なデータパーティションを格納している特定の「ストレージ」ノードに演算ジョブを送信するために、主なジョブスケジュールサービスと連係する。
今後のデータインテリジェンス
近い将来、不揮発性メモリの「Express Flash」や「Persistent Memory」(MRAMなど)の価格が下がることで、ストレージはコンピュータにさらに近づき、データをより詳しく把握するようになる。そして、IoT(モノのインターネット)が普及するにつれて扱うデータが爆発的に増え、インテリジェントなコンバージドストレージとコンピューティング機能がさらに増加するのは間違いない。
データには必ず何らかの価値がある。だが、その価値は、誰かが発掘して活用し、他からアクセスしやすくしなければならない。今やストレージアーキテクチャは、各種データに最初から備わっている価値を認識するために一層スマートになった。これから高い競争力を実現したい企業は、最もスマートなストレージシステムを導入するようになるだろう。
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