40億ものユーザーアクセスを処理するために
1秒当たり7500兆の処理でも不安、Facebookが熱望するフラッシュストレージ最新技術とは
Facebookのフラッシュストレージ技術に対する戦略は「NVMe(Non-Volatile Memory Express)」「QLC」「3D XPoint」といった分離、階層、新興技術の革新を中心に展開している。
フラッシュストレージの最大かつ革新的なユーザーの1社であるFacebookは、2016年8月8~11日に開催された「Flash Memory Summit」の初日に、同社のウィッシュリストを公開した。
Facebookでテクノロジーと戦略部門のディレクターを務めるジジャ・ラオ氏は、Flash Memory Summit2日目の基調講演で「フラッシュストレージ業界への要望が4つある」と語った。
Facebookのストレージに対する要望は、
- NVMe(Non-Volatile Memory Express)プロトコルの標準化
- より革新的な次世代のNVMe製品
- QLC方式のフラッシュメモリ
- M.2製品の拡充
の4つだ。これらは既にフラッシュメモリ業界が取り組んでいることだが、その幾つかについてはFacebookから過去に要望があったものだ。ラオ氏は、QLCに対する要望は初めてではないことと、2014年により小型のM.2 SSDを希望していることを指摘している。
QLCは、1つのメモリセルに4ビットのデータを格納する記録方式だ。一方で、まだ新しい記録方式であるTLC方式のフラッシュメモリは、1つのメモリセルに3ビットのデータを格納する。
2014年にFacebookはストレージに関して驚くべき要求をした。アクセス頻度の低い大量のデータを取り扱う「コールドストレージ」としてBlu-rayディスクを使用するというものだ。これは今でも同社のストレージ戦略の一部に残っているとラオ氏は語る。
「数年前にQLC方式のフラッシュメモリを要求したが、もう一度、その要求を伝えたい。当社では、もうすぐ生産される高密度なQLC方式のNANDフラッシュメモリを使うためにパートナー企業を支援している」とラオ氏は話す。
「当社ではインフラの効率化につながる拡張方法を絶えず模索している」(ラオ氏)
Facebookは、ベンダーが同社のウィッシュリストを商品化するまで手をこまねいているわけではない。ラオ氏は、Facebookがテスト用に自社開発・構築した幾つかのフラッシュストレージ製品について言及した。これは、休暇シーズンや大きなニュースがあったときに頻繁に発生するFacebookへのアクセスの急増に備えるための取り組みだ。ラオ氏によると、Facebookが1秒当たりに処理できる命令の数は約7500兆件だという。
「このアクセス急増は当社のインフラに大きな負荷を懸けている。だが、これこそがFacebookの醍醐味(だいごみ)でもある」(ラオ氏)
ラオ氏は、Facebookが自社開発したNVMe JBOF(Just a Bunch of Flash)である「Lightning」について詳しく説明した。Lightningとは、Facebookが2015年3月に「Open Compute Project Summit」で公開した、一連のフラッシュストレージで構成した装置だ。Lightningは幾つかのSSDのフォームファクターをサポートしている。これには、M.2ドライブと標準の2.5インチや3.5インチのドライブも含まれる。1つのトレイで4台のヘッドノードがサポートされるため、各種ストレージを使用して、処理能力とストレージの比率を調整することが可能だ。
ラオ氏はFacebookのストレージのうちLightningの部分を「分離されたラック(disaggregated rack)」と呼んでいる。Lightningにより、リソースを個別にスケールできるという。また、この戦略により、Facebookのストレージとサーバのパフォーマンスが40%向上したと同氏は語る。
ラオ氏はFacebookのAVAカードについても語った。データ密度を高めて消費電力を削減するため、このカードには4台のM.2 NVMeモジュールを搭載している。「Facebookは、次世代メモリ技術の『3D XPoint』も試している。3D XPointはNANDよりずっと高速だが、社内で大幅な調整が必要になる。当社の開発者は、3D XPoint SSDを採用した『Intel Optane』のパフォーマンスを3倍にして、待ち時間を以前の10分の1にした」(ラオ氏)
FacebookのストレージではWORM(write once read many)技術を搭載したフラッシュストレージも試している。WORM技術は、コールドストレージに100TBの容量と低耐久性(150回の書き込みサイクル)をもたらす。
「HDDのパフォーマンスでは低すぎて、フラッシュストレージのパフォーマンスでは高すぎるというアプリケーションにWORM型メディアを使用している。容量についてはBlu-rayに期待している」(ラオ氏)
もちろん、Facebookによるストレージの使い方は、一般企業とは異なると別の登壇者が指摘する。
コンサルティング会社DeepStorageの創設者であるハワード・マークス氏は、エンタープライズフラッシュテクノロジーのセッションで次のように語った。「Facebookと大半のデータセンターの違いはユーザー数だ。Facebookのホットデータにアクセスするユーザーは40億人、コールドデータにアクセスするユーザーは400万人にも上る」
「“コールドデータ”とは名ばかりで、Facebookのコールドデータへのアクセスはかなり多い」(マークス氏)
Flash Memory Summitに参加したストレージベンダーは、Facebookのストレージに対する要望に「喜んで対応する」と話している。「私はラオ氏の要求に答えることができる」と語るのは、Micron Technologyでストレージの統括責任者を務め、ラオ氏の次に基調講演を行ったダレン・トーマス氏だ。トーマス氏は、Micron Technologyが提供する3D XPointのブランド「QuantX」を基調講演で公開している。これは同社がIntelOptaneに対して出した答えだ。
Toshiba America Electronic ComponentsのエンタープライズSSDマーケティングの責任者を務めるスティーブ・ギャルソー氏によると、同社は2018年までに3D XPoint製品をリリースするという。
一方で、同社は384GBのDRAMと24個のフラッシュストレージドライブを1つの2U製品に同梱した「Flashmatrix」データ分析アレイを売り込んでいる。
容量を求める企業向けに、SeagateはMicron 3D NANDを使用する60TBの3.5インチSAS SSDを披露している。
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