コラボレーションの未来は分析にある
Slack vs. Microsoft Teamsだけではない、コラボツール戦争の次の注目はAI活用(2/2 ページ)
コミュニケーションの混沌(こんとん)に秩序を
GlipやSlack、Teamsのようなクラウドベースアプリケーションは、会話や共同作業を1カ所に集約し、デスクトップやタブレット、スマートフォンからアクセスできる。大量の電子メールから目的のメールを探したり、複数のアプリケーションにログインしたり、ミーティングのために出張したりしないで済む。
こうしたコラボレーションアプリケーションの一般的な機能は、チームワークスペースやリアルタイムチャット、画面共有、ファイル共有、調査、ホワイトボード、ビデオ会議、タスク管理、グループカレンダーなどがある。
従来、アプリケーション利用時のストレスがワークプレースコラボレーションの障害になっていた。コラボレーションのため、多くのアプリケーションにログインしなければならず、そのせいでコラボレーションの過程において返って手間が増えてしまうからだ。さらにアプリケーション機能の複雑さや不要なアドオンの存在という問題もあった。
だが今は多くのベンダーが、自社製品の機能拡張を進めるのではなく、オープンAPIを提供し、自社製品と他のコラボレーションツールを統合できるようにしている。例えば、Slackと競合するRyverは、下記といった十数種類の製品と統合できる。
- Zendeskの顧客サービスアプリケーション「ZenDesk」
- GitHubのワークフローツール「GitHub」
- Wrikeのプロジェクト管理アプリケーション「Wrike」
- Boxのクラウドベースファイル共有アプリケーション「Box」
Slackも分析やファイル管理、人事、生産性、セキュリティなど17の分野でアプリケーションパートナーを擁している。
技術スタートアップのThingthingで最高マーケティング責任者を務めるアダム・デービス氏はSlackを、統合されている幾つかの機能とともに利用している。その中にはGoogleサービスや、Freshdeskの顧客サービスアプリケーション「Freshdesk」などが含まれる。Freshdeskの通知がSlackで表示するようになっている。
またシンプルなワークフローの統合や自動化に利用できるクラウドツールもある。Cloudpipesの「Cloudpipes」は、ユーザーは複数のクラウドアプリケーションを統合し、統合したアプリケーションによるタスクを自動化できる。デービス氏はZapierの自動化ツール「Zapier」を使って、アプリケーション間のアクションを自動化している。例えば、誰かがグローバルカレンダーにイベントを設定すると、それがSlackに投稿される。こうした統合によりスタンドアロンのチャットアプリケーションを、他のコミュニケーションチャンネルや業務アプリケーションと連係するハブとして利用できる。
チャットボットとデジタルアシスタント
特定業種に特化したツールの市場も盛り上がっていると、IDCのリサーチアナリストを務めるジョーダン・ジュウェル氏は指摘する。これは具体的には、一般的なチャットアプリケーションよりも高いセキュリティ機能を必要とする規制対象業種向けのツール市場だ。「例えば『HIPAA』(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996:医療保険の携行性と責任に関する法律)に準拠した医療業界向け製品といった特定業界向けの製品は増えるだろう」とジュウェル氏は語る。同氏はHIPAA準拠ツールの例として、TigerTextの医療業界向けメッセージングアプリ「TigerText」を挙げ、金融業界向けアプリの例としてSymphonyの「Symphony」を挙げている。「ニッチ分野に特化することで、ベンダーは大きな利益を得られるだろう」(同氏)
さらに「チャットボット」や「スマートボット」という形での分析の組み込みや作業の自動化という流れも進んでいる。単純なタスク(メッセージの複数メディアへの投稿やドキュメント更新の追跡、質問への回答など)を自動化するチャットボットやデジタルアシスタントは、既に利用可能になっている。Appleの「Siri」が最もよく知られた例の1つだ。
専門家は、「次のステップは、コラボレーションアプリケーションの人工知能(AI)エージェントが、ユーザーの日々届く大量のメッセージや情報の処理をサポートすることだろう」と予想している。AIエージェントが会話の分析や応答の自動化、ユーザーの優先順位に基づくミーティングのスケジューリングなど、もしわれわれのほとんどに人間のアシスタントがいたら、やってくれそうなことをできるようになる見通しだという。
「機械学習の統合が進むだろう。ボタン1つ押さなくても、アプリケーションがユーザーに代わってプロセスを完了させたり、過去のミーティングや議論などの記録から、情報を取り出したりするようになる」とジュウェル氏は見る。IBMは2016年10月、「Watson Workspace」アプリケーションのプレビュー版を発表した。このアプリケーションでは、APIを使って従業員の行動を学習させることで、優先順位の高いメッセージの特定や、他のメッセージの集約、日々のコミュニケーションタスクの自動化などが可能になる。
「コラボレーションの未来は分析にある。2017年はそれが見えてくるだろう」とルクレア氏は語り、コラボレーションアプリケーションの価値は、場当たり的な対応になりがちな職場に、インテリジェンスと秩序をもたらせることにあると指摘する。「それは情報を分類、ランク付けし、可視化できるということだ。これは、小グループでのテキストメッセージングでできることをはるかに超えている」(同氏)
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