クラウドファースト時代にあえての決断
メルカリ、はてなは「物理サーバ」も使う、巨大サービスを支えるインフラ事情(2/2 ページ)
パネルディスカッション:メルカリ、はてな
ユーザー企業としてパネルディスカッションを行ったのは、メルカリでプリンシパルエンジニアを担当する長野雅広氏と、はてなのシステムプラットフォーム部長、渡辺 起氏。さくらインターネットからは先に紹介した加藤氏が登壇し、コミュニティマネージャーの法林浩之氏がモデレーターとして参加した。
――インフラの利用状況を教えてください。
メルカリ さくらの専用サーバを中心に、さくらのクラウドなどのサービスを相互接続して利用している。さくらの専用サーバでは、SanDiskのフラッシュストレージ「Fusion ioMemory」(以下、ioMemory)やIntelのSSD「Intel SSD DC P3700」といった比較的性能の高いストレージも利用。ただしグローバルのインフラは異なる。米国はAWSを利用し、英国は「Google Cloud Platform」を採用しようとしている。
はてな 約10年前からさくらインターネットのサービスを利用してきた。例えば「Hatelabo::AnonymousDiary」(はてな匿名ダイアリー)は、さくらの専用サーバ(石狩データセンター)で運用している。サービスごとに拠点を分けており、サービスをリニューアルしたり、OSをバージョンアップしたりするタイミングでインフラを変えることもある。最近は「はてなブックマーク」で利用しているさくらインターネットのハウジングサービス(東京データセンター)を、さくらの専用サーバ(石狩データセンター)へ移行している。「はてなブログ」に関しては2010年からAWSを利用している。
おわびと訂正(2017年4月13日10時)
「さくらの専用サーバ」と表記すべきところが、「はてなの専用サーバ」になっている箇所が1カ所ございました。おわびして訂正いたします。
――さくらの専用サーバを利用したきっかけを教えてください。
メルカリ 前任者がさくらのVPSを利用していてなじみがあったこともあり、データベースにioMemoryを搭載するさくらの専用サーバを使い始めた。その後、アプリケーションサーバを次々に移行した。
はてな ハウジングはハードウェア調達が大変だった。またデータセンターのネットワーク性能に限界を感じていた。ハウジングを見直す際に、さくらの専用サーバを検討した。
――さくらの専用サーバを選定したポイント、他社と比較してどうだったかを教えてください。
はてな 既に利用していたAWSと比較した。決め手はコストと移行しやすさ。専用サーバはハウジングと同じ物理サーバを動かせる。「ハイブリッド接続」(注)で、古いサーバを簡単にコピーできるのがメリットだった。バースト(一時的なリソースの大量利用)がそこまで大きくないので、パブリッククラウドよりも専用サーバの方が、コストメリットが得られた。
メルカリ 他社のパブリッククラウドも検討したが、結果的にコストとパフォーマンスでさくらインターネットに軍配が上がった。
注:異なるサービスや拠点のローカルネットワークをレイヤー2で接続するさくらインターネットのサービス。同一セグメントのLANとしてサーバ間を接続することで、物理サーバや仮想サーバのそれぞれのメリットを生かしたシステムを構築できる。
――さくらの専用サーバ、導入後の運用は楽ですか。
はてな 物理サーバの稼働状況が見えるのが安心。ハードウェア管理がなくなったことも大きい。コントロールパネルから再起動ができるし、ファームウェアのアップデートを追い掛ける必要もなくなった。
メルカリ 動き出してしまえば速いし楽。特にストレージI/Oが速い。ただし使い始めるまでのコンソール操作は使いにくい部分もある。一度に大量の物理サーバを発注するわけではないが、5~10台発注するときに、APIが無いので1台ずつボタンを押す作業が必要になる。
――カスタマイズ性能はいかがですか。
メルカリ 後からパーツ変更はできないので、変更が必要なパーツは発注時に依頼している。特注しているパーツも幾つかある。例えばioMemoryは標準メニューの容量が少ないため、大容量のものにしている。
――障害状況はいかがですか。
メルカリ 約3年動いているサーバがあるが、昔より圧倒的に安定している。石狩データセンターの設備が良いことの現れだと考えている。最近購入するハードウェアは全てSSDなので、HDDのようにディスクが壊れるといった心配が少なく、実際にストレージ関連の障害はない。
――クラウドとの使い分けはどうしていますか。
はてな さくらの専用サーバはストレージにioMemoryが選べるので安定してパフォーマンスが良い。物理サーバを使うメリットは、チューニングをしてリソースを最大限使い切れること。エンジニアとして腕の見せどころだ。一方サーバ台数を自動的に増減させるオートスケールが必要な場合は、パブリッククラウドが適している。
メルカリ バーストがあまりなく、平常トラフィックをさばく場合は物理サーバの方がよい。複数のIPアドレスを使う場合は、さくらのクラウドを利用している。
――さくらの専用サーバに期待することは何ですか。
はてな ハウジングの移行先として利用していく。ローカル回線に10GbEを採用した物理サーバ(「ローカル回線 10GbEモデル」)の納期を早めてほしい。ioMemoryのデバイスをチューニングできるのは楽しい。今後もハードウェアの進化についていけるサービスを期待している。
メルカリ ioMemoryの速度には満足しているが、CPUが足りずボトルネックになることがある。エンジニアの人数が少ないので、なるべくサーバ台数を抑えたい。より高速で大容量なストレージを希望する。
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