「標準化された環境を採用する方が簡単だ。だが」
職員が使いたいIT環境をサポートするスウェーデン国立図書館
スウェーデン国立図書館は、職員のIT環境を統一した方が容易であるにもかかわらず、職員が使いたい環境をサポートすることにした。この決断を下したCIOは、他に数々の重要なプロジェクトを推進している。
スウェーデンの国立図書館(KB:Kungliga Biblioteket)でCIO(最高情報責任者)を務めるピーター・クランツ氏は常に自問している。“今の時代、どうすれば国の文化遺産を何十年後も利用できる形に保護しながら、より充実したサービスを国民に提供できるか”と。
Computer Weekly日本語版 4月5日号無料ダウンロード
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 4月5日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
クランツ氏がKB初のCIOに任命されたのは2013年。KBで大規模な再編成が行われ、KBのさまざまな部門のIT運用を1つのIT部門に統合した直後のことだった。以降、KBはデジタルサービスの相互運用性とユーザビリティの促進、データのオープン化推進に重点を置いてきた。
クランツ氏は次のように語る。「KBは長年にわたって無料で情報を提供し、社会知識の育成に取り組んできた。国民に多くの情報を提供する方法を見据えながら、国民が事実に基づく議論を社会の中でもっと集中して行えるような方向に向かえばよいと考えていた」
「KBは長い年月をかけて素晴らしい取り組みを行ってきた。オープンデータを取り扱い、ユーザビリティに関しても多くのことを成し遂げた。だが部門間やプロジェクト間のまとまりはなかった。それが今では、どのような目標をどのような方法で実現するというビジョンを共有できるようになっている」(同氏)
クランツ氏がKBの仕事に魅力を感じたのは、355年の歴史を持つ組織に最新のIT運用を導入するという挑戦だった。同氏が最初に手掛けたのは、KBでのIT使用を調和が取れたものにすることだった。そのために、同氏は中核を成す一連の原則を適用した。つまり、部門の垣根を越えたチームを編成し、ユーザビリティを重視して、サービスの機能ではなく、効果を重視したのだ。
この戦略の中で重要なのは、図書館の職員全員が標準化された同じ環境(端末やOSなど)で業務に取り組むという慣習を廃し、職員にとって柔軟性の高いIT環境を構築することにある。
「標準化された環境を採用する方が簡単だ。だが、ユーザーが環境を管理できれば、より満足感が得られると分かっていた。使用する環境にこだわりのないユーザーに環境を用意するのは当然だが、別のOSや端末を使いたいというユーザーの声にも対応しようとしている」(クランツ氏)
こうした取り組みは、ITシステムに負担を強いる。さまざまな環境の互換性を保つ必要があるためだ。だが、長い目で見ればシステムのユーザビリティを改善することになるとクランツ氏は言う。
「多くの組織がこの方向を目指すことになるだろう。ユーザーは自宅で独自のコンピューティング環境を拡大させている。ユーザーはその環境に慣れているため、職場でもサポートが必要になる。公共機関では標準化された環境の時代が終わりに近づいている」(クランツ氏)
スウェーデンの公共機関におけるITの展望をクランツ氏よりも把握している人はそれほど多くない。2007年以降、同氏はスウェーデンの電子政府代表団の一員として活動しており、国のIT担当大臣や国民フォーラムの議長に対し、ユーザビリティとアクセシビリティーについてアドバイスしてきた。同氏はデジタルサービスをもっと使いやすくすることに情熱を燃やしているのだ。
「スウェーデン政府は全体として、10年前よりもユーザビリティの領域に大幅な改善が見られる。KBでも、今やユーザーエクスペリエンスの専門家を何人か雇用している。こうした専門家は、望んでいることをユーザーにただ尋ねるのではなく、ユーザー調査を実施してユーザーが必要とするものを見つけ出す方法を知っている」(クランツ氏)
根底にあるニーズ
クランツ氏によると、ユーザーは自身が求めているものと、根底にある本当に必要なものをよく混同するという。
続きはComputer Weekly日本語版 4月5日号にて
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー
Computer Weekly日本語版 3月22日号 ムーアの法則との決別
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー