コストと管理性から考える
「サーバレス」でクラウド運用チームの仕事はどう変わるのか(2/2 ページ)
イベントドリブンアプリケーションの管理
サーバレスコンピューティングがクラウドオペレーションチームにもたらす大きな変化は、コストだけではない。サーバレスコンピューティングが台頭してきた第1の理由は、料金ではなく柔軟性だ。ほとんどのレガシーアプリケーションはトランザクション型で、特定のユーザーセットが特定の問い合わせや更新を行い、アプリケーションがそれを処理する。
クラウドにおけるサーバレスコンピューティングの利用は、イベントベースアプリケーションがけん引している。こうしたアプリケーションは、少数のユーザーだけでなく、数百万人のモバイルユーザーや、数十億台のIoT(モノのインターネット)デバイスと接続する可能性もある。これらのアプリケーションは、あるときはイベントが全くないかもしれない。だが、その一方で、大量のイベントが集中的に発生する可能性もある。
このアプリケーションモデルに対応するには、オンデマンドで処理リソースをスピンアップするのがベストだ。サーバレスコンピューティングがこのモデルに適しているのはそのためだ。
しかし、サーバレスコンピューティングの柔軟性や弾力性は、クラウドオペレーション上の問題ももたらす。
まず、全てのアプリケーションやそのコンポーネントをオンデマンドでスケーリングすることは不可能だ。同じアプリケーションの2つのコピーがデータベース更新で衝突することなく、並列で動作するようにしなければならない。また、ロードの増大に対応して多数のサーバレスコンポーネントをスピンアップしても、データベースシステムなど、基幹ビジネスアプリケーションのパフォーマンスが損なわれないようにする必要もある。
サーバレスアプリケーションはさまざまなコンポーネントの集合体であり、それらのスピンアップと消滅が絶えず行われている。クラウドオペレーションチームは仮想マシンの使用状況を測定しても、それらのコンポーネントの機能やコストをトータルに把握することができない。これは、サーバレスコンピューティングを最適に利用するためには、クラウド管理チームとオペレーションチーム、開発チームが、新たな協力関係を築かなければならないということだ。
サーバレスに対応した進化が必要
こうしたITチームがサーバレスコンピューティングでアプリケーションのデプロイとメンテナンスを成功させるには、新しいデータも必要になる。サーバレスクラウドでは、従来型の仮想マシンオペレーションデータは役に立たないか、あるいはそもそも手に入らない。代わりに、サーバレスアプリケーションに関するクラウドプロバイダー自体のツールや統計が、日々使用する重要なオペレーションリソースになる。サーバレスのためにクラウドプロバイダーを選択するときは、プロバイダーのオペレーションデータおよびツールが、料金と同じくらい重要なことを念頭に置きたい。
クラウドプロバイダーのデータを自前のデータで補完することも可能だ。ITチームは開発者との協力により、各アプリケーションのサーバレスコンポーネントに統計収集機能を組み込んでもらえる。アプリケーション自体も、エンドツーエンドの応答時間やQoE(エクスペリエンスの質)のデータを提供できる可能性がある。クラウドにおけるサーバレスコンピューティングのオペレーションの焦点は、仮想マシンのパフォーマンではなく、アプリケーションのパフォーマンスだ。そのため、この新しいデータに注目し、適切な管理を行う必要がある。
サーバレスコンピューティングはまだ初期の段階にある。サーバレス環境では、従来のITやクラウドオペレーションツールの有効性は限られる。デプロイに特化したDevOpsツールも、デプロイが完全に仮想的に行われる場合は、通常通りには機能しない。これではほとんどのユーザーは、アプリケーションをサーバレス用にカスタマイズする必要性を見過ごしてしまうだろう。そうなれば、サーバレスコンピューティングのメリットはほとんど、または全く得られない。サーバレス導入の各ステップを慎重に計画するとともに、QoEと費用対効果の維持が可能なことを検証する必要がある。
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