ストレージ費用の最適化
Microsoft 365統一で「SharePoint」が1日2TB増 富士フイルムはどう管理した?
グループウェアとしてMicrosoft 365の導入・統一を進めた富士フイルムグループ。利用が進む一方、SharePointサイトの乱立やデータの急増に直面した。放置すればストレージ費用が肥大化する状態をどう解消したのか。
富士フイルムグループはグローバルでのコミュニケーション円滑化を目的に、グループウェアを「Microsoft 365」に統一した。そうした中で同グループの「Microsoft SharePoint」(以下、SharePoint)ストレージは約1.4P(ペタ)Bに上り、データ量は1日当たり約2TBのペースで増え続けていた。
標準機能のままSharePointを運用すると、従業員が自由にSharePointサイトを作成できるため、用途不明のサイトが乱立して統一感が失われ、かえって業務生産性の低下を招くリスクがある。利用頻度の低い不要なコンテンツが無尽蔵に蓄積されれば、クラウドストレージの追加費用がIT予算を圧迫することになる。
運用状況を把握するためのアクセスログ取得にシステム管理者の手作業が伴えば、各部門からの依頼が殺到し、情報システム部門の運用負荷が増す。こうした「データ爆発」と「管理不能」の連鎖を断ち切るため、富士フイルムグループはどのような管理ルールと自動化の手法を選択したのか。
SharePoint運用に潜む「サイト乱立」と「容量枯渇」のリスク
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Microsoft製品の活用
富士フイルムホールディングスを中心とする富士フイルムグループは、Microsoft 365の運用管理ツール「AvePoint Cloud Governance」と、データライフサイクル管理・アーカイブツール「AvePoint Opus」を採用した。2026年10月28日、両製品を提供するAvePoint Japanが発表した。同グループのSharePointストレージは約1.4PBに上り、データ量は1日当たり約2TBのペースで増え続けている。AvePoint Opusで利用頻度の低いデータを自動的にアーカイブすることで、2024年に保存したデータ量は導入前の2023年と比べて約4割減少し、ストレージの追加購入を抑えている。併せてSharePointサイトの作成を申請制にし、ガバナンスに基づくサイト管理も進めている。
富士フイルムグループは、持株会社の富士フイルムホールディングスの下に、富士フイルムや富士フイルムビジネスイノベーションをはじめとする事業会社を擁する企業グループだ。ヘルスケア、エレクトロニクス、ビジネスイノベーション、イメージングという幅広い4領域で事業を展開し、その拠点は世界各地に広がる。
富士フイルムグループでAvePoint製品を利用し始めたのは、2017年ごろにさかのぼる。当時、富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)は、SharePointの運用で2つの課題を抱えていた。一つは、標準のSharePointでは従業員が誰でも自由にサイトを作成できるため、サイトが乱立して統一感を欠き、生産性の低下を招いていたこと。もう一つは、コンテンツ改善の判断材料となるアクセスログの取得にシステム管理者の関与が必要で、各部門からの提出依頼が頻繁に発生していたことだ。こうした課題に対応するため、同社は「DocAve Online」(現・AvePoint Cloud Governance)を採用した。
その後、富士フイルムグループは国・地域や会社間のコミュニケーションを円滑にするため、グローバルのグループウェアをMicrosoft 365に統一。従業員の移行は2023年度に、特殊な利用ケースを含む移行は2024年度に完了した。SharePointを文書共有の中核とする方針が固まったことで、急増するデータ量に対応するため、不要なコンテンツを整理・アーカイブする仕組みづくりが急務となった。
こうした背景から、富士フイルムグループはAvePoint Cloud Governanceでサイト管理とログ取得を自動化するとともに、2024年2月からAvePoint Opusの本格運用を開始し、利用頻度の低い文書の自動アーカイブを全社に展開した。
AvePoint Opusの運用開始当初は、文書の全てのバージョンがアーカイブ対象となっていたため、アーカイブ先の容量が想定以上に膨らんでいた。そこでAvePointは富士フイルムグループの要望を受けて、AvePoint Opusが最新版のみを対象にする仕様に改修した。その結果、同グループが運用するSharePointのアーカイブ先のデータ量は10分の1に減った。この他にもAvePointは、アーカイブ内の不要なデータを削除する機能をAvePoint Opusに追加した。
運用面では、AvePoint Cloud GovernanceによってSharePointサイトの作成を申請制に変更し、アクセスログも自動で取得してエンドユーザーが見やすい形で提供するようにした。アーカイブしたデータはエンドユーザー自身で復元できるため、リストアのたびにシステム担当者が対応する必要がなくなり、運用負荷の軽減につながった。今後はストレージの追加購入が不要な状態を目指す考えだ。
富士フイルムホールディングスICT戦略部の萩原和哉氏は、「Microsoft 365のようなクラウドサービスは機能が次々と変わる。サードパーティー製の運用管理ツールがその変化に追随すれば、自社開発の改修工数を省けて安心して業務に取り組める。今後もAvePoint製品を活用し、運用の効率化とガバナンス強化の両立を進めたい」と話す。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「富士フイルムグループ、不要データの自動アーカイブでSharePoint保存データ4割減」(2026年10月29日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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