【連載】IT部門のためのアナリティクス入門 第4回
IoT時代のビッグデータアナリティクスは今までと何が違うのか?(3/3 ページ)
IoTアナリティクスはどこで実行する?
なるほどー。あれ、でもこれって必要なテクノロジーとしては従来のビッグデータアナリティクスと同じと思っていればいいんですか?
ちっちっちっ。おぬしは既にその質問についてのヒントを自分で言っておるぞ。
IoTデータならではの特徴は何か。それは、膨大な量のデータが発生し続けるということじゃ。センサーから得られる、ある特定時点でのデータだけでは大きな意味を持たなくても、分単位、秒単位、ミリ秒単位といった短い時間間隔で連続的に発生するデータを組み合わせて「ストリームデータ」として捉えることで、プロセスの状況や変化をリアルタイムで検知し、把握することが可能になるのじゃ。ちょうどこんな激流のように、絶え間なく発生しネットワークを流れ続けているわけじゃ。
流れ続けるデータ、つまりストリームデータを分析するにはどうすればよいと思う?
ああ! だから仙人、川の真ん中に立っていたんですね。相変わらず、残念なほどに分かりにくいヒントです。
えーと。まずは、どこかにデータをためますよね。それを分析して、何らかのパターンや法則を見つけ出して予測などに使う……って、これじゃ今までのアナリティクスと同じですね。ためる前に、ネットワークを流れている状態でアナリティクスを実行できちゃえばいいですけど……。
そう、そこじゃ! アナリティクスを実行する場所が変わるのじゃ。
データが蓄積される前の、ネットワークを流れている状態でデータ分析を実行する。あるいは、データが発生する「モノ」でアナリティクスを実行することを可能にする技術が、既に実現しておる。
分析モデルの開発には従来通り、データストレージに蓄積されたデータが使用される。今までと違うのは、分析モデルを実行するのが、データストレージだけではなく、データの発生源(エッジ)やネットワークでも可能になったということじゃ。分析モデルに従って、リアルタイムでアラートを上げて意思決定をするなど、現実世界を最適化する行動(Act)に結び付けることができるのじゃ。
工場の生産プロセスに設置されたセンサーを考えてみい。ある工程で温度が一定以上に上がると不具合製品の率が上昇するという分析モデルがあっても、リアルタイムでアラートや温度変更指示を出せなければ効果は出せんじゃろ。データの発生からアナリティクス実行までの時間をいかに短縮するかによって、その価値を最大化することが可能になるのじゃ。
時には、流れ続けるデータに対して機械学習アルゴリズムの学習プロセスを適用するケースもある。分析モデルを差分更新していくイメージじゃな。蓄積したデータを用いたモデル作成は、それはそれで時間というコストがかかるし、リアルタイムに定常状態が変わっていくようなケースでは、リアルタイムにモデルを更新していく方がいいケースもある。そうじゃな。IT部門のおぬしであれば、RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)のインデックスを例に思い浮かべると分かりやすいじゃろ。行が追加されたり更新、削除されたりするたびにインデックスが更新されていくじゃろ。じゃが、インデックスを差分更新していくと、だんだんインデックスツリーは汚くなっていくので、たまにはどーんと作り直す必要がある。あれじゃよ。
おお。これ、これ。ユーザー部門が、ストリーミング処理がうんぬん言ってたけど、これで実現できちゃいますね。IoTで価値を生むためには、アナリティクスライフサイクルの実践が大切な一方で、IoTならではの特性を理解することも重要だと、よく分かりました。
でも仙人、どうして最近、人工知能とか機械学習とかって新しい技術が注目されているんですか?
人工知能や機械学習といった考え方や技術自体は、実は数十年前から存在しているもので、新しいものではない。ただ、それを実ビジネスで応用するにはコンピュータ処理の高速化が不可欠だったのじゃ。ハイパフォーマンスなコンピュータ環境が安価に整備できるようになったことと、計算アルゴリズムがより効率化されたことにより、利用者が爆発的に増えておる。その1つにディープラーニングと呼ばれる計算方法があり、このブレークスルーが現在の人工知能ブームをけん引しているといっても過言ではない。もちろん、それによってできることの幅が格段に広がってはいるが、ビジネスにおけるデータ活用の考え方そのものが変わったわけではないのじゃ。
もう1つの要因は、IoTの普及により処理するデータ量が膨大になったことがある。データ量が増えることにより、より効率よく分析モデルを開発することが求められるようになったのじゃ。
って、おぬし、人工知能や機械学習については、ちゃんと勉強しているのか?
えっと。何かコンピュータが自動でアナリティクスをやってくれちゃうんですよね? あれ、仙人! 何ですか、その輝く笑顔でのシェイクハンド。今までになくオープンでフレンドリーな感じじゃないですか!
(次回、感動の最終回へ)
執筆者紹介
小林 泉、大島玲子
(小林)SAS Institute Japanでビッグデータ・アナリティクスのプロジェクト経験を踏まえ、Hadoopソリューションなどの新製品展開の担当を経て、現在は事業企画を担当。最近、仙人になろうと掃除機をインターネットに接続してみたりしている。
(大島)SAS Institute JapanでB2Bマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。最近、IT部門に興味津々。
イラスト
岡戸妃里
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT部門のためのアナリティクス入門
ビッグデータアナリティクスのビジネス活用において、IT部門が果たす役割とは何か。アナリティクスの本質と必要なツールについて、分かりやすく解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー