高度な分析への対応はどうなっている?
セルフサービスBIの“落とし穴”、使って分かるその限界と対応策(2/2 ページ)
ベンダーの視点
上述のベンダーによると、それらの問題は片付いているという。Tableauの製品管理部門でバイスプレジデントを務めるダン・ジューエット氏は、「組織のIT部門から取引を始める『land and expand(上陸と拡張)』と比べ、事業単位で購入契約を結んでいた以前の戦略では、大半のパートナーにとって利益にはならなかった」と認めている。
一方、同氏は次のようにも主張している。「この数年間でTableauは以前の戦略から脱却し、2016年9月にはAmazon Web Servicesでバイスプレジデントを務めた経歴を持つアダム・セリプスキーをCEOに迎えて、エンタープライズにおける導入を非常に重視するようになっている。2011~2012年ごろ、上陸と拡張戦略によって事業部門に踏み込んだが、私たち経営陣はIT部門から疎まれていただろう。だが、今ではこの戦略が企業全体に浸透している」
クリスチャン・シャボー氏の後任者としてセリプスキー氏をCEOとして迎えたことは、Tableauが行った一連の運営改革の1つだ。それと同時に、もう1人の共同設立者の後任として、元製品部門のバイスプレジデントであるアンドリュー・ビールズ氏を開発責任者へと昇進させ、製品管理部門のバイスプレジデントを務めていたフランソア・アジェンスタット氏をCPO(最高製品責任者)に任命した。さらに、2017年2月には、Oracleで幹部社員として働いた経験のあるダン・ウッド氏を雇用し、全世界の営業とサポートの組織を任せている。
「高度な分析の分野において、Tableauは統計分析用の開発言語『R』と『Python』を統合しており、ユーザーの要望に応じて引き続き機能を追加していく予定だ」(ジューエット氏)
Qlikでグローバル製品マーケティング部門のバイスプレジデントを務めるジェームス・フィッシャー氏によれば、Qlikでも近いうちにRとPythonを統合するという。同社の処理エンジンは、自然言語の処理や高度な検索などに使用する多種多様な高性能ツールへのAPI接続もサポートしている。
それでも残る課題
過去にQlikとMicrosoftで幹部社員として働き、現在はコンサルティング会社のTreeHive Strategyで主席コンサルタントを務めるドナルド・ファーマー氏は、「TableauやQlikのようなベンダーは、複数の分野で苦境に立たされている」と語る。セルフサービス型のBIツールと分析ツールは、高度な分析機能に顧客の関心を向けるよう取り組み、ガバナンスの問題にも対処しなければならない。それから、低コストのクラウドBIシステムに向かう潮流とMicrosoftとの激しい競合を乗り越える必要もある。そして、「Qlikが大企業の価格攻勢に有利に対応できる体勢を整えた一方、Tableauは高度なBI機能に対するユーザーの要望を満たすという点でもQlikに後れを取っている」とファーマー氏は指摘する。
「Tableauはまだ問題を解決できていない。今でも、基本的には他の分析エンジンをフロントエンドで使用しているデータ可視化ツールだ。QlikやTableauは、企業の多分野化に向かって進まなければならない。このことから、TableauがOracleから幹部社員を引き抜き、営業やサービスの運営を任せている理由に説明が付く」(ファーマー氏)
Eckerson Groupの創設者で主席コンサルタントを務めるウェイン・エッカーソン氏は次のように語る。「Tableauには、このような機能を全て追加し、データの可視化について単なるMicrosoftの『Excel』の代替で終わらないようにするという重圧がのしかかっている。例えば、Tableauのソフトウェアは、ガバナンス、使用状況の監視、セキュリティ管理といった、“企業向けBIツールに求められる基本的な機能”が現在も不足している」
「その結果、独自のTableauシステムを運用する部門のエンドユーザーは、一元管理できない個別の抽出データを作成することになる。Tableauが組織的に使用されるようになると、データを統制し、セキュリティを確保し、一貫性を持たせることが難しくなる。だが、これは大半の企業で発生している事象だ。注意を怠ると、大変な状況に陥る可能性がある」(エッカーソン氏)
ファーマー氏はTableauの第4四半期の成績から、同社が問題を解決したとの確信は持てず、「危機を脱したかどうかは定かでない」と話している。
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