今理解すべき「CASB」の実力【第1回】
クラウドセキュリティの“熱い”キーワード「CASB」とは何か? 誕生の理由は?(2/2 ページ)
ポイント3:働く場所やデバイスの変化
クラウドサービスとモバイルデバイスの普及で、以前のようにオフィスの中でしか業務ができない状態ではなくなってきました。前述の通り、大半のクラウドサービスはインターネットの接続環境さえあれば利用できるので、基本的にデバイスの垣根はありません。
専用線接続の強制やアクセス制御製品を導入すれば、社外や個人デバイスからのサンクションITの利用を制限することは不可能ではありません。ただし過度な制限は、クラウドサービスの大きなメリットを損ねることになりかねません。企業のIT部門は、利便性とセキュリティとのバランスに悩むことになります。
クラウドサービスの利用制限は、オンプレミスのシステムのように統合脅威管理(UTM)やファイアウォールなどに代表される境界防御製品だけでは実現できません。インターネット経由でアクセスできるクラウドサービスにとって、アクセス元が社外なのか社内なのか、企業デバイスなのか個人デバイスなのかの間に明確な境界が存在しないからです。
守るべき範囲が社内だけでなくクラウドサービス側にまで広がってきた今、新たな対策が必要になってきています。具体的には各種クラウドサービスの手前に、企業におけるセキュリティのコントロールポイントが求められるようになりました(図)。そのコントロールポイントの役割を果たすのがCASBです。
クラウドサービスのセキュリティ担保に当たっては、認証やデバイス防御、データ保護などさまざまな手段があります。その中でCASBは、クラウドへのセキュアなアクセスを可能にする手段という位置付けです。CASBはもともとIT調査会社Gartnerが提唱した概念で、同社は2016年度における最も優れた情報セキュリティ技術としてCASBを位置付けています。
Gartnerは、CASBには以下の4機能が必要だと提言しています。
- 可視性
- シャドーITの利用状況の認識とクラウドサービス向けデータフローの確認
- 脅威からの防御
- 内部関係者(インサイダー)や特権ユーザーによるデータ流出の検知、防御
- コンプライアンス
- 業界標準、社内コンプライアンスの準拠
- データセキュリティ(データ保護)
- 未許可アクセスからのデータ保護、内部セキュリティポリシーの準拠
日本国内では、まだCASBの導入は進んでいないのが現状です。一方で北米では、既に大企業の多くが何かしらのCASB製品/サービスを導入済みであり、今や中堅・中小企業にも広がりを見せつつあります。Gartnerが「2020年までに大企業の85%がCASBを利用しているだろう」(出典:Market Guide for Cloud Access Security Brokers, 2016年10月24日)と予測しているほどです。
クラウドサービスは非常に便利な半面、危険性もはらんでいます。皆さんが安全だと思っているクラウドサービスも、さまざまな脅威にさらされている可能性はゼロではありません。CASBは、こうした世の中の流れや必然性があって出てきた技術であり、決してバズワードではないのです。
第2回では、今回のCASBの生まれてきた背景や問題提起を踏まえて、CASBの機能的・技術的な特徴やメリットを紹介します。
執筆者紹介
清水健雄(しみず・たけお) ネットワンシステムズ
ビジネス推進本部商品企画部に所属。企業の働き方改革やコラボレーションの担当を経て、現在はセキュリティ領域におけるマーケティングに従事。
三島千恵(みしま・ちえ) ネットワンシステムズ
ビジネス推進本部応用技術部に所属。クラウドセキュリティ領域を中心に、認証やCASBに関する製品の評価・検証業務に従事。
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今理解すべき「CASB」の実力
包括的なクラウドセキュリティ対策を可能にする「CASB」が登場し、近年選択肢が急速に充実し始めた。なぜCASBは生まれたのか。既存のセキュリティ対策と何がどう違うのか。どのような視点でCASBを選ぶべきなのか。詳しく説明する。
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