SDSの定義とトレンド【後編】
徹底解説:ストレージ仮想化、オブジェクトストレージにおける「SDS」の仕組みとは(2/2 ページ)
スケールアウトオブジェクト/ファイルのSDS
最近では、スケールアウトオブジェクトのSDSが導入されるようになっている。オブジェクトストレージでは、データ、メタデータ、一意識別子を含むオブジェクトとしてデータが管理される。スケールアウトオブジェクトのSDSベンダーには、Caringo、Cloudian、Dell EMC、富士通、HDS、IBM、Lenovo、NetApp、Quantum、Samsung Electronics、Scality、Western Digitalなどがある。
さらに、OpenStackの「Swift」や「Ceph」では、オープンソースのオブジェクトストレージのバリエーションも見られる。オープンソースのSDSソフトウェアをベースとした分散型の製品は、Aquari、HUAWEI、Red Hat、SUSE、SwiftStackなどのベンダーが提供している。
スケールアウトファイルのSDSは、スケーラビリティが非常に高いNASで、オブジェクトストレージの復元性や一意のメタデータといった特性を備えていることが多い。スケールアウトファイルのSDSベンダーには、Caringo、Dell EMC、NetApp、OpenNAS、Qumoloなどがある。スケールアウトファイルのSDS製品には、オブジェクトストレージの頂点に立つ製品もあれば、実質的にIBMの「General Parallel File System」(GPFS)をクラスタ化したスケールアウト実装もある。具体的には、前者はExabloxの「Exablox」、後者はIBM「IBM Spectrum Scale」だ。 Cray、DataDirect Networks、HPE、Newisysなどでは、GPFSをベースにした製品を提供している。
スケールアウトオブジェクト/ファイルのSDSの長所
- 柔軟性
どちらのスケールアウトSDSのアーキテクチャも、x86サーバ用にゼロから設計されている。ベンダー認定のハードウェアにソフトウェアとして実装できるものもあれば、サーバハードウェアにバンドルされているものもある。ただし、仮想ストレージアプライアンスになるようには設計されておらず、通常は、予備のアプリケーションやミッションクリティカルでないアプリケーションでの使用が想定されている。
多くのスケールアウトオブジェクト/ファイルのSDS製品は、「Hadoop Distributed File System(HDFS)」のストレージとして機能する。これにより、必要なミラーリング用のコピーの数を減らし、NFSやSMBのデータに再度役割を持たせることができるため、HDFSのストレージコストを大幅に引き下げることが可能になる。
- スケーラビリティとパフォーマンス
柔軟性なスケーリングが可能だ。各ノードは個別に拡張可能で、クラスタ自体で容量やパフォーマンスを高めるためにノードを追加できるのが一般的だ。ただし、どちらのパフォーマンスも、ブロックストレージのパフォーマンスには決して及ばない。
- 使いやすさ
ハードウェアにバンドルしたスケールアウトオブジェクト/ファイルのSDSは、簡単に設定、構築、管理できる。ただし、ソフトウェアとして実装するには、自力でシステムを統合しなければならない。どちらもコモディティハードウェアを利用し、非常に高いスケーラビリティを備えている。なお、スケールアウトオブジェクトのSDSは、イレージャーコーディングによって他に類を見ないデータ回復性や持続性を誇っている。
- 総所有コスト(TCO)
どちらも低コストで運用できるように設計されており、拡張機能はごくわずかしか用意されていない。また、ライセンスは年間契約の形で販売されることが多い。イレージャーコーディングを使用するスケールアウトオブジェクトのSDSは、従来型のRAIDとレプリケーションによるデータ保護よりもオーバーヘッドが少ないため、GB当たりの全体コストを抑えることができる。
スケールアウトオブジェクト/ファイルのSDSの短所
- 柔軟性の問題
ソフトウェアとして提供されているものも、ハードウェアにバンドルされているものも、ハードウェアはベンダーが認定およびサポートしているものでなければならない。
- スケーラビリティとパフォーマンスの問題
通常、スケールアウトファイルのSDSのスケーラビリティは、スケールアウトオブジェクトのSDSほど高くないが、遅延は後者の方がやや大きい。スケールアウトオブジェクトのSDSでは、メタデータ機能やデータ冗長機能が原因で、深刻な遅延が発生する。そのため、どちらも高いパフォーマンスを必要としない予備のアプリケーションに適している。
- 使い勝手の悪さ
スケールアウトオブジェクト/ファイルのSDSをソフトウェアとして購入すると、購入側で作業が必要になるため、専門的なスキル、特殊なサービス、システムインテグレーターのサポートが必要になる場合がある。
それから、スケールアウトオブジェクト/ファイルのSDSをアーカイブなどの予備のアプリケーションに使用するときは、データを現在ある場所から移動しなければならない。一部のベンダーはそのための製品を提供しているが、大半の企業はサードパーティー製のソフトウェアを使用しているのが実情だ。
- TCOの問題
データ削減(重複排除や圧縮)は、スケールアウトオブジェクト/ファイルのSDSでは使用することがほとんどないため、TCOが増える要素となる。
SDS市場の要点
SDSは、独自の長所と短所を持つさまざまなSDSの実装から生まれた広義なマーケティング用語だ。
業務に適切なSDSを選択するには、アプリケーション、ストレージ容量、パフォーマンス要件、社内の専門技術、SDS市場が扱うことのできるものについて、正確に理解しなければならない。
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SDSの定義とトレンド
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