EC2上の既存アプリは「思い切って捨てた」
眼鏡の「JINS」、ウェアラブル端末のIoT基盤をAWSのサーバレスで“再”構築(2/2 ページ)
ECサイトは国産クラウドからAWSへ移行
同社はオンラインショッピングのECサイトもAWSに移行している。このECサイトは2013年10月から大手国産クラウドサービスの上で稼働していたものだ。Eコマースを事業展開している情報システム部門とは別の部署が運用を担っていた。「当時、別部署が利用していた国産のクラウドサービスは、データセンターに毛が生えた程度のもので、クラウドとは言い難かった」と澤田氏は話す。
この国産クラウドサービスでは運用コストの削減も試みたが、うまくできずにいたという。また、同社は米国や台湾といった海外で眼鏡を販売する事業計画があり、情報システム部門としては、国内データセンターのクラウドサービスを使っていてグローバル展開が可能なのかどうかも不安だったそうだ。
AWS移行のきっかけになった出来事がある。人気アニメーションとのコラボ商品の予約販売を実施した際に、大量アクセス数に耐え切れずサーバがダウンしたのだ。1分間に1万リクエストという大量アクセスだったが、アニメのファンからジンズのカスタマーサポートセンターへ、購入できなかったと嘆く電話が殺到したという。
パートナーと協議した結果、AWSへ移行することでコストを削減できることも見込めていたので、社内調整を経てAWSへ移行することになった。
AWSへ移行後は、サーバのスケールアウト/ダウンが柔軟にできるようになり、別のアニメでコラボ商品を予約販売した際も、1分間に1万2000リクエストがあったにもかかわらず、サービスを継続できた。またランニングコストは3分の1に下がったという。澤田氏は「真のクラウドが何かを実感できた出来事だった」と振り返る。
バッチ処理の仕組みをAWSで構築中
北米や台湾への海外展開に挑むジンズは、他にもERP(統合業務)パッケージや、BI(ビジネスインテリジェンス)/DWH(データウェアハウス)といった分析基盤もAWSへ移行している。「AWSなら海外リージョンを選択しても利用方法が同じで、国内パートナーに運用を委託できる。グローバルなインフラの運用監視が24時間365日、国内から可能なのは大きなメリット」と澤田氏は話す。
現在は、バッチ処理の次期運用管理ツールをAWSで構築することに取り組んでいる。具体的には、バッチ処理を実行する「AWS Batch」(原稿執筆時点では日本リージョンでの利用は不可能)、アプリケーションの処理の流れをビジュアル化する「AWS Step Functions」、監視サービスの「AWS CloudWatch」、大量データを処理する「Amazon EMR」、AWS Lambdaを利用。バッチ処理でエラーが起こった際には、スマホにアラートを通知し、電話と認証システムを使ってバッチ処理を再実行する仕組みだ。
澤田氏は「クラウドの新しい機能を取り入れることで、コストダウンを図りながら事業会社として新サービスをつくっていきたい」と意気込みを見せる。
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