タレントマネジメント製品紹介【第1回】
「JINS」も採用、シルクロードの人材管理は「ゲーミフィケーション」を実践
人材管理システム分野で新たに注目されている「タレントマネジメント」。本連載では、従業員の管理に新たな考えを持ち込むタレントマネジメントの主要製品を紹介する。第1回はシルクロード テクノロジー。
従来の人事管理や給与計算、業績評価を超える新しい人材管理製品のカテゴリーとして「タレントマネジメント」が注目されている。背景には世界各国の企業と戦っていかないと生き残れない日本企業を取り巻く労働環境の変化がある。グローバルで戦うにはそれに見合う人材が必要になるが、現在の人材管理システムでは従業員がどのようなスキルを持っているか、どういう教育が必要か、どのような人材を外部から獲得すればいいのかが不透明なのだ。タレントマネジメントは会社の成長のために人材面の戦略を提供し、その達成の道筋を示す仕組みといえるだろう。本連載では、主要なタレントマネジメント製品を紹介する。
従業員の忠誠心を維持
シルクロード テクノロジーはタレントマネジメントのスイート製品を、クラウドコンピューティングを使ったサービスとして提供するベンダーだ。2010年11月に米SilkRoad technologyとサンブリッジの合弁企業として国内でスタートした。提供するのは「SilkRoad Life Suite」と呼ぶスイート製品。スイートには採用や内定者管理、業績評価、研修管理など6製品が含まれる。
■SilkRoad Life Suiteの内容
| 製品名 | 内容 |
|---|---|
| OpenHire | 採用ページの作成、面接の進捗管理、候補者ポータルなどを提供。ソーシャルメディアに連係し、候補者を発掘する機能も |
| RedCarpet | 入社から異動、転勤、退社まで従業員の人事手続きを全て自動化できるWebベースのワークフロー |
| GreenLight | 社内外の研修コンテンツを管理する。オンライン研修、オフライン研修の両方をサポート |
| WingSpan | 人材データベースを構築し、目標管理や360度評価、後継者候補の管理などが可能 |
| 3Rings | 社内人材の見える化やスキルの把握、研修の管理などを提供 |
| HeartBeat | 基幹の人事管理システムを提供。セルフサービスによる福利厚生の利用や、人事異動の管理、組織管理を行うことができる |
米SilkRoadのグローバルマーケティング担当 上級副社長のウィリアム・エド・ヴァセリー氏(以下、エド氏)は同社スイート製品を「採用前から従業員を支援し、入社後は業績管理や研修を提供。そして従業員の引退まで支援する」と説明する。その上で、エド氏は従業員の会社に対するロイヤルティー(忠誠心)を維持し、安心して働いてもらうことが企業の競争力の強化に役立つと指摘した。
「日本企業では徒弟的な人事制度が機能してきたが、その効果は薄れている。従業員の30%が入社後3年で退職するといわれている中で、企業は採用した人材を短期間で生産性が上がる人材に育てて維持し、安心して働いてもらわないといけない」
世界的な人材獲得競争の激化もタレントマネジメントが注目を集める理由だ。日本企業が海外に拠点を設けて、生産や企画、販売をすることは一般的になりつつある。その際に問題となるのが優秀な人材の獲得だ。日本企業の伝統的な人材獲得手法や研修、業績評価の方法では従業員のロイヤルティーを維持することが難しいとエド氏は話す。
「例えば、本人に子どもがいるか、未婚かなども従業員のロイヤルティーに関係する。さらに従業員の年齢構成も考える必要がある。どういう国で事業をするかで労働環境は異なってくる。このような状況に対応するには技術しかない」
人材管理をゲーミフィケーション
企業を取り巻く労働環境の複雑化に対応するため、シルクロードは「エンゲージメント」という考えを訴えている。「満足して働くだけではなく、本来の潜在力を発揮してもらわないといけない。最高のパフォーマンスを出すのがエンゲージメントだ」。ポイントになるのは、従業員が自らの意思で行動し、良い結果を残すという仕組みを構築すること。シルクロードはユーザー企業に提供する最新製品の「Point」にソーシャル機能を搭載し、エンゲージメントを促進する考えだ。
Pointはその他のSilkRoad製品へのポータルになると同時に、従業員間のコミュニケーションを促進する機能を搭載している。助けてもらった同僚にバッジを贈ったり、影響力ランキングの掲載、ポイント獲得などが可能だ。このようなゲーム的な要素を業務システムに取り入れることで従業員の自律的な活動を促す。このような考えは「ゲーミフィケーション」ともいわれる。
「Pointではネットワークにつながった人たちの影響力スコアを出すことができる。どれだけコンテンツを発信したか、どれだけのフォロワーがいるかなどでポイント獲得が変わる。タレントマネジメントは今後、これまでの業績評価に加えてソーシャルレビュー機能なども搭載していくだろう。シルクロードは、伝統的なメンター制度をソーシャルネットワークの中で可能にする」
ERPのソーシャル機能についての記事
JINSは人材管理を「動物占い」に
このようなゲーミフィケーションの機能は既存製品にも生かしている。メガネブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌは、シルクロードの業績管理システム「WingSpan」を2011年10月に導入し、上司と同僚、部下による360度評価の仕組みを構築した。経営層からショップの店長まで利用するシステム。興味深いのは評価の結果を「動物占い」のように8つのタイプに分類し、フィードバックすることだ。
シルクロードの取締役副社長 小野 りちこ氏は「これによって従業員間のコミュニケーションが促進された」と話す。評価を受けることで従業員自らが自分のキャリアのために次に何をやればいいのかが明確になるという効果もあった。JINSは積極的に店舗の新設や海外展開に取り組んでいるが、クラウドで提供するWindSpanであれば新しいショップへの導入も容易。スマートフォンやタブレットでも利用できる。また海外のショップでも利用できるよう英語と中国語にも対応している。
その他では豊田通商もグローバルでSilkRoad Life Suiteを導入し、マネジャークラス以上の人事情報をグループ本社に集約している。人事部はこの情報をキャリア管理や後継者計画、研修などに活用しているという。米国の同社拠点ではマネジャークラスだけではなく、一般社員の情報もSilkRoad Life Suiteで管理している。
小野氏は「タレントマネジメントでは一般的に、全従業員の5~20%をデータベース化するのが一般的。しかし、シルクロードは全社員が使っているケースが多い」と説明する。これは、「全従業員で使えるような価格を設定している」ことが理由の1つ。これによって全社の従業員にタレントマネジメントを適用できるようになり、他社のタレントマネジメントと比べてより高い効果が期待できると訴えている。シルクロードの代表取締役社長 石橋 愼一郎氏は「経済環境は厳しいが、日本企業の経営層は人材の重要性、特にグローバル人材の重要性を理解している」と話し、日本企業のグローバル展開にタレントマネジメントは欠かせないことを強調した。
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