孤立無援なIT担当者でもできる無線LAN導入ガイド【第3回】
中小規模オフィスに適した802.11ac Wave 2準拠アクセスポイントを選ぶ(2/2 ページ)
パナソニック「EA-7HW03AP1」
「EA-7HW03AP1」は、パナソニックが業務用無線LAN基地局として提供している製品だ。802.11ac Wave 2準拠で4ストリームに対応する。他の製品にない特徴としては、IP42相当の防塵(じん)/防滴性能を備えており、医療現場や工場などでも利用可能なことと、USBに3GあるいはLTEによる通信が可能なドングルを接続すれば、イーサネットなどのLANを介さずに直接インターネットに接続可能だ(ただしドングルで利用できる通信回線の伝送速度の影響を受ける)。なお姉妹モデルの「EA-7HW03AP3」はLTEモジュールを搭載しているので、標準構成でLTEを利用したインターネット接続が可能だ。
データシートは1基のアクセスポイントで最大120台以上のクライアントが同時接続できると説明している。また以下の機能を備える。
- SSIDごとに仮想LANを分離する
- SSIDごとのQoS(サービス品質)を管理する
- 接続状態に応じて周波数を切り替える
- 接続状態に応じて接続を拒否する
- 自働で干渉を防止する
複数のアクセスポイントを利用する場合には、PCで動く監視サーバ/クライアントを別途用意している。これを利用して複数台のアクセスポイントあるいは複数拠点のアクセスポイントの集中管理が可能だ。
なお外部アンテナは接続できない。またPoEと外部電源の両対応だが、有線LANはギガビットイーサネットのみに対応する。壁面/天井マウント用金具も付属する。
ヤマハ「WLX402」
ヤマハの「WLX402」は、10万円を切る、業務用アクセスポイントとしては低く設定した価格が特徴だ。802.11ac Wave 2に対応し、4ストリームでの通信が可能だ。内蔵するアンテナは4本(5GHz用、2.4GHz用は2本)だが、外部アンテナを1本接続できる。
接続可能クライアント数は最大50台とヤマハは説明している。有線LANインタフェースはギガビットイーサネット準拠を2ポート搭載し、802.11 ac Wave 2の最大転送速度(1.7Gbps)に対応している。また簡易型RADIUS(Remote Authentication Dial In User Service)サーバを内蔵するが、同価格帯製品でこの機能を導入するモデルは少ない。その他の独自機能としては以下のようなものがある。
- ヤマハ製ルーターのLANマップ(LAN構成の可視化)機能に対応
- 周波数の混雑状況を可視化できるスナップショット機能(現在は自分自身のみだが、将来は同じフロアにある他のアクセスポイントの状況も確認できるようにする予定)
- 最大49台のアクセスポイントを管理できる無線LANコントローラー機能
動作温度は最大50度まで(競合製品の多くは40度まで)。オフィス以外の場所、例えば工場などの利用を考えている企業にとっては心強い。電源はPoEと外部電源の両対応で、壁面/天井マウント用金具も付属する。
実を言うとスイッチの選択が難しい
上に挙げた製品はどれもアクセスポイント「のみ」だが、実際にはこれを導入するときに、「スイッチ」も一緒に検討したい。今回の場合、全てのアクセスポイントがPoEに対応している。ならばPoE対応スイッチを導入すれば配線をネットワークケーブル1本に集約できる。規格でPoEに対応していれば、同一メーカーでそろえる必要はない。
PoEには「IEEE 802.3af」と「IEEE 802.3at」の2種類の規格がある。IEEE 802.3afでは最大15.4ワット(ケーブルでの損失を見込むと12.95ワット)、IEEE 802.3atでは25.5ワットの供給が可能だ。ただIEEE 802.3afの15.4ワット(12.95ワット)では、今回紹介しているアクセスポイントの駆動はギリギリだ。
- Aironet 1800シリーズ:16ワット(Aironet 1830)/20.9ワット(Aironet 1850)
- Aruba 330シリーズ:最大25.3ワット(IEEE 802.11at使用時)/13.2ワット(IEEE 802.11af使用時)
- EA-7HW03AP1:最大25.5ワット
- WLX402:最大18ワット
Aruba 330シリーズのみIEEE 802.11afでも動作するが、この場合は4ストリームの通信は不可能で、1ストリームのみの省エネモードで動作する。そのためPoEを利用して適切な性能を発揮するためには、IEEE 802.3at準拠のスイッチを用意したい。
またAironet 1800シリーズとWLX402は、ギガビットイーサネットインタフェースを2基搭載するが、これはIEEE 802.3adとして定義している、リンクアグリゲーションという機能で2基のポートを使って2Gbpsでの通信をするために使う。これを利用する場合、スイッチにもリンクアグリゲーションの機能が必要だ。
ここで取り上げたIEEE 802.11at準拠PoEとリンクアグリゲーションの両方が利用できる製品は、やや高めの価格帯になる(IEEE 802.11af準拠のPoEスイッチならばかなり安価)。例えばNETGEARの「GS510TP」(標準税別価格5万5800円)など、比較的購入しやすい製品もあるので、導入が全く不可能というわけではない(リンク先はNETGEARの製品紹介ページ)。
2.5GBASE-Tに対応しているスイッチを探すのは難しい。規格が標準化されたばかりなので製品数も少なく、どうしても高価になる。NETGEARでいえば「M4200」が2.5GBASE-TとIEEE 802.11atの両方に対応した製品だが標準価格で34万円(税別)になる。ただしAruba 330シリーズの場合は当面はギガビットイーサネットで運用して、将来2.5GBASE-T対応スイッチの価格が下がってきたら入れ替えるという運用も可能だ。
PoEもいらないし当面はギガビットイーサネットで問題ないという判断であれば、現在オフィスで利用しているギガビットイーサネットスイッチをそのまま利用できる。かえって802.11ac Wave 2を低予算で導入したいならば、そのような構成が現実的だろう。
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