孤立無援なIT担当者でもできる無線LAN導入ガイド【第3回】
中小規模オフィスに適した802.11ac Wave 2準拠アクセスポイントを選ぶ(1/2 ページ)
オフィスに無線LANを導入するこの連載。採用する無線LANの規格も決まった。購入する無線LANアクセスポイントのチェックポイントも分かった。では、具体的に購入するモデルを選んでみよう。
この連載は
業務におけるスマートフォンやタブレットの利用がごく当たり前となった現代では、「いやうちはまだ導入しない」と拒んできた企業でも無線LAN環境のオフィス導入を検討せざるを得ないだろう。この連載では、有線LANと同じ伝送能力を発揮する「802.11ac Wave2」をオフィスに導入するために必要なポイントを紹介する。
オフィスに無線LANを導入するために必要なことをチェックしていくこの連載では、第1回で導入すべき無線LANの規格をチェックし、第2回では無線LANを導入するに当たって最も重要となる、無線LANアクセスポイントの検討ポイントと設置場所のガイドラインを紹介した。
その中で、導入すべき無線LAN規格として「802.11ac Wave 2」(無線LAN「IEEE 802.11ac」のフルスペック実装)をお薦めした。802.11ac Wave 2は、理論性能で最大6.9Gbpsという有線LANにも匹敵する伝送速度を誇る。「MU-MIMO」(Multi User MIMO)を利用したビームフォーミングを採用して干渉を最小限に抑えて、転送速度の低下を少なくできる。またアクセスポイントの設置で注意したい点として、設置場所と合わせて電源供給のためのPoE(Power over Ethernet)準拠と、802.11ac Wave 2で実現した高速伝送を無駄にしない有線LAN規格「IEEE 802.3bz」準拠を挙げている。
では、以上の条件に合うアクセスポイントの具体的な製品選定に進もう。既に家庭用、ビジネス用共に802.11ac Wave 2に準拠した製品がそろっている。しかし前回でも解説したように、家庭用に関しては、同時接続数や複数のアクセスポイントを設置した場合の管理などに難がある。そこで今回はビジネス用に絞って紹介する。
併せて読みたいお薦め記事
802.11ac Wave対応モデルを選ぶには
連載:最新ネットワークキーワード「無線LAN規格 802.11ac Wave 2」編
Cisco Systems「Aironet 1800シリーズ」
Cisco Systems(以下、Cisco)は、早くから802.11acの対応製品をリリースしており、Wave 2についても「Aironet 3800」「Aironet 2800」「Aironet 1850」「Aironet 1830」「Aironet 1810 OfficeExtend」「Aironet 1810W」の6系統をリリースしている。この中で中小規模企業を対象にしているのがAironet 1850とAironet 1830の2系統だ(リンク先はCiscoの製品情報ページ)。Aironet 1850は4ストリーム(同時に4対)、Aironet 1830は2ストリーム(同時に2対の通信が可能)という違いがある。クライアント台数はどちらも1つのアクセスポイント当たり25台程度をCiscoは推奨しており、クライアント台数がこの上限に近いケースではAironet 1850にする方が賢明だろう(複数のアクセスポイントを管理する労力を許容できるなら、Aironet 1830を2台利用するという方法もある)。
2.4GHz帯と5GHz帯が利用可能なデュアルバンド対応、PoEによる給電と外部電源の両対応、壁面/天井マウント可能に加え、操作画面のGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)なども提供している。またAironet 1850/1830共にアンテナ内蔵タイプとアンテナ外付けタイプを用意している。通常はアンテナ内蔵タイプで十分だが、要件が厳しい環境(例えば部屋に障害物が多い、途中で折れ曲がっている、あるいは廊下のように極端に長いなど、電波にとって条件が厳しい環境)において、Ciscoはアンテナ外付けタイプを推奨している。
外部ネットワークインタフェースは1000BASE-Tのギガビットイーサネットだが、4ストリーム対応のAironet 1850ではネットワークインタフェースを2基搭載しているので、配線に注意する必要がある。
Ciscoのアクセスポイントは複数を設置するのが前提になっている。そのため「Mobility Express」と呼ぶ管理専用インタフェースを標準で搭載する。加えてAironet 1850/1830には仮想コントローラー機能を搭載するモデルもある。この機能を利用するとAironet 1850/1830だけで複数のアクセスポイントを集中して管理可能だ。
Aruba Networks「Aruba 330シリーズ」
富士通や沖電気工業などさまざまなベンダーが取り扱っているのが、Aruba Networksが販売する「Aruba 330シリーズ」だ。なおArubaでは「Aruba 300シリーズ」も802.11ac Wave 2に対応しているが、こちらはエントリー向けラインアップという位置付けになる。
ArubaはHewlett Packard Enterpriseの傘下にあるが、それ以前から長きにわたって企業向け無線LAN機器を開発してきた。Aruba 330シリーズは2.4GHz帯と5GHz帯が同時に利用できるデュアルラジオ、4ストリーム対応などスペック的には802.11ac Wave2の要件をフルでサポートしている。また「IEEE 802.3bz」ことマルチギガイーサネット「2.5GBASE-T」にも準拠しており、4ストリームMIMOでフル活用して通信をする場合でも、接続先の有線LANが伝送速度のボトルネックにならない。アンテナは内蔵タイプと外付けタイプの両方が選択できる。電源はPoE/外部電源の両対応で、壁面/天井マウント向けオプションも付属する。
Arubaの製品は、次のような機能も用意している。
- 「AppRF」機能:アプリケーションに応じて通信の優先度を調整する
- スペクトル分析機能:通信に問題があった場合、その原因を分析できる
- IPM(Intelligent Power Management)機能:消費電力の状況に応じて自動的に特定機能を無効化したり速度を落としたりする
BLE(Bluetooth Low Energy)にも準拠しているので、これを利用した位置情報サービスを利用できる。3G/4G携帯電話との干渉を防ぐ機能なども用意している。複数のアクセスポイントを利用する場合を想定して「コントローラー管理」「Aruba Instant」「Remote AP」「Air Monitor」「Secure Enterprise Mesh」といった動作モードも備えている。
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