大原雄介の「最新ネットワークキーワード」【第4回】
無線LAN規格「11ac Wave 2」編──acが2.4GHz帯を捨てて得たもの(1/2 ページ)
この連載は「いきなりIT部門に転属したら用語が全然分からん!」という担当者を救済するネットワーク入門企画だ。今回は無線LAN規格「IEEE 802.11」シリーズ全般を解説する。
今では「無線LANがない!」というオフィスもだいぶ減ってきた。フリーアドレス式のレイアウトも増えてきたし、打ち合わせでノートPCを持って会議室に集まる風景も当たり前になった。モバイルOSを導入したスマートフォンやタブレットを使う企業も増えている。
こうした業務で使うクライアントPCやデバイスの変化、特にモバイルデバイスの業務利用が増えることを考えると、やはりこれからの企業に無線LANは必須だ。最近のオフィスなら無線LANアクセスポイントを設置しているはずだ。大きめの部屋ならば、複数の無線LANアクセスポイントを使っているだろう。
無線LANを指す名称として多くの人が使ってる「Wi-Fi」はWi-Fi Allianceという業界団体が制定した通称で、規格の名前は「IEEE 802.11xx」だ。これは幾つかのバージョンを経て進化している。最新無線LAN規格の特徴とその意味を知るには、まず、これまでに登場した規格についても把握しておきたい。
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最新規格「802.11ac Wave 2」とは
- 危ない“IEEE 802.11ac Wave 2”セールストークの見分け方
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オフィスに普及するギガビット無線LAN「11ac」
無線LAN規格「802.11」シリーズを整理する
無線LANの規格を定めているIEEE 802.11シリーズはこれまで、「IEEE 802.11」「IEEE 802.11a」「IEEE 802.11b」「IEEE 802.11g」「IEEE 802.11n」「IEEE 802.11ac」が主要な民生用として登場した。規格制定年と使用する周波数帯、転送速度、割り当て可能チャネル数、MIMO対応、互換性を整理すると次のようになる。
| 規格名 | 制定年 | 周波数帯(GHz) | 最大転送速度(Mbps) | チャネル数 | MIMO | 互換性 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| IEEE 802.11 | 1997 | 2.4 | 2 | 14 | 不可 | なし | - |
| IEEE 802.11a | 1999 | 5 | 54 | 19 | 不可 | なし | 日本では屋外利用不可 |
| IEEE 802.11b | 1999 | 2.4 | 11 | 14 | 不可 | 802.11 | - |
| IEEE 802.11g | 2003 | 2.4 | 54 | 13 | 不可 | b | - |
| IEEE 802.11n | 2009 | 2.4/5 | 600 | 13(2.4GHz帯)/19(5GHz帯) | 可 | a/b/g | 5GHz帯は日本で屋外利用不可 |
| IEEE 802.11ac | 2014 | 5 | 6900 | 19 | 可 | n(5GHz帯のみ) | 5GHz帯の一部(W56)は日本で屋外利用可 |
最初に登場したIEEE 802.11は数も少なかったから、今では使っているシステムを見ることすら難しい。IEEE 802.11bは広く普及した(2003年ごろ)最初の規格で、古いPCの中にはまだこれしか使えないものもある。ただし個々の機器はともかく、アクセスポイントは(少なくとも電源を入れて使っている限り)、さすがに製品寿命を迎えている計算になるので、現実問題としてはこちらも「過去の規格」といえる。
同じタイミングで登場したIEEE 802.11aは、日本では電波法との絡みで屋外で利用できない(欧米でこの制限はない)制約があった他、登場した当時は5GHz帯のRFトランシーバーが2.4GHz帯に比べると高価だったこともあって普及しなかった。
現在も稼働しているシステムが多い規格の中で最も古いのがIEEE 802.11gだろう。周波数帯は2.4GHzでIEEE 802.11bと同じだが、通信方式にIEEE 802.11aと同じ方式を採用して転送レートは最大54Mbpsに達する。加えてIEEE 802.11bとの互換性を確保しているのでそれまで使ってきた無線LAN環境に追加してそのまま利用できたことも普及した大きな理由の1つだった。
最初の製品が2003年には登場していた(IEEE 802.11gは規格確定前にフライングで製品が登場していたこともあり、規格制定のタイミングでは既に多数の製品が存在していた)が、2009年には次のIEEE 802.11nにトレンドが移ったこともあり、2010年からIEEE 802.11gのみ対応という製品は姿を消している。こちらはまだ「現役」という話を聞くが、そろそろそうした現役製品も寿命を迎える時期で、間もなく姿を消すだろう。
その次に登場したIEEE 802.11nが、現在最も普及している。この規格の特徴は以下の3点だ。
- 5GHz帯と2.4GHz帯の両方を利用できる
- 従来のIEEE 802.11a/b/gとの互換性もあるので、従来の機器もそのまま使える
- IEEE 802.11n専用モードでは、MIMO(Multi-Input、Multi-Output)という通信方式で転送レートを最大600Mbps(理論値)まで引き上げた
MIMOは、送受信用アンテナを複数搭載し、それぞれで通信を同時に行う方式だ。1台の機器で複数チャネルを使って同時に通信して転送速度を引き上げたり、通信の長距離化と安定化などに貢献したりする。この技術的な仕組みは、TechTargetジャパンに掲載している「無線LANアンテナを理解する PART3」に詳しい。
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