大原雄介の「最新ネットワークキーワード」【第4回】
無線LAN規格「11ac Wave 2」編──acが2.4GHz帯を捨てて得たもの(2/2 ページ)
2.4GHzを捨てて転送速度を取ったIEEE 802.11ac
現在も普及しているIEEE 802.11nの後継規格が「IEEE 802.11ac」だ。規格の策定は2014年に終了した。その後、無線LAN関連機器ベンダーが積極的に製品を展開している。
IEEE 802.11nと最も違うのは、2.4GHz帯の切り捨てだ。これは2.4GHz帯は既に高速通信には向かないという判断が影響している。2.4GHz帯は全世界的にISM(Industry Science Medical) Bandに割り当てている。この周波数帯は、一定の出力以下ならば免許不要で電波を出すことができるため、無線LANのみならずBluetoothやZigBee(センサーで使う近距離無線通信規格)などの通信規格をはじめとする多くの用途(電子レンジもその一例)で利用している。
利用するデバイスが多いと行き交う電波も多くなる。そのため、この周波数帯で通信すると、非常に多くの干渉が発生する。例えばネットワークを使っているとBluetooth接続のキーボードやマウスの反応が鈍くなるとか、電子レンジを使っているとネットワーク接続が切れるとか、深夜早朝はネットワークが快調なのに、昼間はやたら遅いとか、そうした現象の要因の大半は2.4GHz帯の過密にある。構内利用でも、特にフリーアドレス式のオフィスなどの大部屋で問題になる。
一般にアクセスポイント1台当たりの収容能力(そのアクセスポイントに接続して通信できる機器の台数)は、家庭用のもので10台程度。業務用は20台から多い場合で50台程度が可能だが、これは最大値であって、実際には20~30台程度に抑えないと使い勝手が悪くなる。
そこで接続機器が数百台もあるような環境では、アクセスポイントも適当に物理的な間隔を設けながら数十台用意するが、この結果として、過密気味の2.4GHz帯がさらに過密度を増すことになり、通信状況がすぐ悪化する。IEEE 802.11nではあらためて5GHz帯を利用可能にしたのも2.4GHz帯の電波過密を解決するためだ。
以上のような事情、特にIEEE 802.11nの5GHz帯サポートの結果として、多くの無線LAN関連機器が2.4GHz帯のみならず5GHz帯のRFトランシーバーも内蔵する方向になってきた。IEEE 802.11acにおける2.4GHz帯の切り捨ても、大きな影響は出ないと判断した結果だ。
2.4GHz帯を使う限り、通信の高速化はこれ以上難しいという技術的な制約もあった。IEEE 802.11acは理論値で最大6.9Gbpsもの通信が可能になっているが、これは5GHz帯に絞ったから可能になった、という側面もある。
次回はこのIEEE 802.11acについて、もう少し細かく解説する予定だ。
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