「iTeachersカンファレンス 2017」レポート【第4回】
「VR」(仮想現実)や「MR」(複合現実)は、教育をどう変えるのか?(2/2 ページ)
求められる「デザイン思考」の育成
これからのビジネスに求められる能力として、しばしば挙がるのが「デザイン思考」だ。デザイン思考は、優秀なデザイナーがイノベーションを生み出す思考法を一般化した考え方のことを指す。今まで気付かれなかった問題やその解決策を見つけ出し、新たな価値を生み出すのに役立つ。玉川大学准教授の小酒井 正和氏は、これからはそのようなデザイン思考を持った人材を育てることが大事になると語る。
デザイン思考で求められるのは「やるべきことを決めてやってみる、うまくいかなければ直す」というサイクルを続けることだ。こうした思考は、新たなビジネスを生み出すための基礎力になる。例えば製品開発の現場を例に取ると、観察を通じてユーザーのニーズを発見し、製品のアイデアを立案してプロトタイプを開発、テストによるユーザーからのフィードバックを得ながら改善を進めていく、といった具合だ。
学習者のデザイン思考育成に当たって、プログラミング教育が役立つ可能性があると小酒井氏は説明する。潜在的な問題を見いだし、その解決に向けてプロトタイプの開発を繰り返しながらプログラムを完成させる流れは、デザイン思考そのものだという考え方に基づく。
デザイン思考が重要になるのは学習者だけではなく、教員も同じだ。第一歩として、ロボットやドローン、VR/MRなどの新しい製品や技術を知ったら、まずは「『授業にどうやって使おうか』と考える癖を付けることが大切」だと小酒井氏は語る。
iTeachersカンファレンス 2017の中でiTeachersのメンバーが繰り返し口にしていたのは「IT教育を推進する上では、教員自身が学ばなくてはいけないことが多い」ということだ。iTeachersはこうした教員のニーズに応えるべく、特定非営利活動(NPO)法人「iTeachers Academy」を設立するとイベント内で発表。教員や、これから教員になる学生が共に学べる場にする考えだ。
小学校でのプログラミング教育必須化やタブレット1人1台環境実現の年であり、今回のカンファレンスのキーワードにもなった「2020年」まで、あと3年足らずしかない。こうした中、教育現場では何ができ、また何をすべきなのか。さまざまな環境の変化に対し、期待で胸を膨らませる学習者のためにも、教員自身が学び、試行錯誤して応えていかなくてはならないだろう。
執筆者紹介
栃尾江美(とちお・えみ)
大学卒業後、ITコンサルタントとして外資系IT企業に勤務し、クライアント向けに業務システム(SAP ERP在庫購買管理モジュール)の導入などを担当。2005年にライターとして活動をスタートし、雑誌、Webなどに記事を執筆。ジャンルは多岐にわたり、働き方(女性活用、時短、リモートワーク)、IT、デジタル、子育て、教育、採用関連、経営者インタビューなど。プライベートでは2児(♂)の母。Webサイトはemitochio.net。
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