ハイパフォーマンスに磨きをかけ使い勝手向上
徹底レビュー:12.9インチiPad Pro、ノートPC時代を終わらせる完成形タブレットか(2/2 ページ)
パフォーマンス
12.9インチiPad Proはプロ仕様の製品を好むユーザーを対象にするため、そのようなユーザー層が求めるパフォーマンスが必要になる。そこで、Appleは「A10X Fusion」プロセッサを開発した。このプロセッサには6基のコアが搭載され、そのうち2.38GHzのコア3基はパフォーマンスが求められるタスクに使用される。一方、低速の省電力コア3基は負荷の低いアプリの実行時に使用される。
Primate Labsの「GeekBench 4」で処理能力のベンチマークテストを行ったところ、本稿のレビューに使用した12.9インチiPad Proは初代12.9インチiPad Proに比べて78%速度が上がっているという結果になった。
12.9インチiPad Proは全ての構成で4GBのRAMを内蔵する。これは初代12.9インチiPad Proと同じだ。iOSデバイスとしてはRAMの量が多く、2017年3月にリリースされた低価格iPadと比べると倍増している。iOS向けに作成されたアプリはそれほど多くのRAMを利用しないのが一般的なため、RAMが4GBというのは複数のアプリを同時実行するにしても十分過ぎる。「iOS 10」では3つのアプリを同時に表示する可能性があるため、複数のアプリを同時実行しても余裕があることは重要だ。さらに、「iOS 11」では4つのアプリを同じ画面に表示できるようになる。
基本構成の12.9インチiPad Proの場合、ストレージは64GBだ。同価格の初代12.9インチiPad Proと比べると容量は2倍になる。また、価格は高くなるが、256GBと512GBのストレージも提供されている。32GBという容量でも、多数のアプリを十分保持できた。そのため、上乗せされたストレージは、大量のドキュメント、写真、動画、音楽を持ち運ぶためだけに利用できる。また、フラッシュドライブなどをLightningコネクターに接続して使用することも可能だ。
本稿のレビューに使用した12.9インチiPad Proの仕様は以下の通りだ。
- A10X Fusion 64ビットプロセッサ(6コア、最大2.38GHz)
- M10コプロセッサ
- 「iOS 10.3.2」
- 12.9インチディスプレイ(2732×2048ピクセル、264ppi)
- LEDフラッシュを搭載した絞り値1.8の1200万画素背面カメラ
- 絞り値2.2の700万画素前面カメラ
- Touch ID指紋認証センサー
- 4個のスピーカー
- Lightningコネクター
- 41Whリチャージャブルリチウムポリマーバッテリー
- 寸法:305.7(高さ)×220.6(幅)×6.9(厚さ)ミリ
- 重量:677グラム
ソフトウェア
リリース当時の12.9インチiPad Proでは「iOS 10.3」が実行されている。だが、2017年6月上旬に開催されたAppleによる開発者向けカンファレンスでiOS 11が発表された。iOS 11には、iPadユーザー向けの新機能が多数搭載される予定だ。具体的には、ファイル管理者システム、サイドバイサイドマルチタスクの強化、ドラッグアンドロップ機能などだ。ただし、iOS 11はまだβ版のため、このような改善が全て実装されるのは数カ月先のことになるので注意が必要だ。
残念ながら、iOS 11では12.9インチiPad Proに明らかに不足している部分が解消されていない。つまり、マウスがサポートされていない。12.9インチiPad Proをタブレットとして使用するならタッチスクリーンがあれば問題ない。だが、キーボードを装着する場合はマウスやトラックパッドで操作できる方が望ましい。
iOS 11が提供されるのはまだしばらく先のことだ。とはいえ、既にiOS 10でも非常に機能的だと主張するユーザーは何百万人といる。Appleとサードパーティーのソフトウェア開発者によって提供されているアプリの数は膨大だ。ビジネスユーザーから教育熱心な親まで、あらゆるユーザーを対象にアプリが用意されている。例えば、Appleの「iWork」スイートや「iMovie」なども無料で利用できる。
バッテリー持続時間
12.9インチiPad Proには41Whバッテリーが内蔵されており、1回の充電で10時間使用できるとされている。TechTargetでは、本稿のレビューに使用した12.9インチiPad Proを厳しく評価するために、明るさを100%に設定してWi-Fi接続で動画を連続ストリーミングするという耐久テストを実施した。その結果、5時間54分でバッテリー残量がゼロになった。誰が使っても、これだけの時間は確実にバッテリーが持続することを期待できるといえる。また、明るさの自動調節機能を有効にしてWebサーフィンと動画ストリーミングを組み合わせて行う一般的な使用条件でもテストしたところ、13時間39分間持続するという非常に印象的な記録を残した。
再充電には約5時間かかり、少し遅い印象だ。12.9インチiPad Proも含め、iOSデバイスは電源を切った状態で充電できるようになれば、充電時間がもっと短縮されることだろう。
発熱とノイズ
負荷の高いタスクを長時間実行した場合でさえ、A10X Fusionプロセッサが原因で本体が熱くなることはない。
A10X Fusionプロセッサはファンを必要としないため、ファン音が聞こえないのは当然だ。実際、12.9インチiPad Proはスピーカー以外から音が鳴ることはない。
結論
12.9インチiPad ProはAppleの主力タブレットで、美しいディスプレイ、十分なストレージ容量、最先端のパフォーマンスが備わっている。また、バッテリー持続時間も長く、利用できるアプリも豊富に用意されている。
ただし、本体がスリムなため、慎重に扱わないと損傷する恐れがある。また、業界標準のUSB Type-C端子も相変わらず採用されていない。
12.9インチiPad Proには、何年にもわたって実用性を維持する上で必要な全ての要素が備わっている。恐らくだが、少なくとも18カ月間以内に後継デバイスを提供することは予定されていないのだろう。そのため、長く活用できることが重要になる。
Appleの動向を読み解いていくと、長期計画としては、エントリー価格の「MacBook」ノートPCではなく、iPad Proを2-in-1ノートPCとして消費者が購入することを望んでいるように見える。12.9インチiPad Proはその実現に向けた大きな1歩になる。拡張キーボードと適切なアプリが用意されているため、ユーザーによってはこのデバイスをメインコンピュータとして使える可能性がある。ただし、Microsoftの「Windows」用やAppleの「macOS」用のソフトウェアで、iOSにまだ移植されていないソフトウェアを必要とするユーザーについては例外だ。また、USB端子の搭載が不可欠なユーザーもメインコンピュータとしては考えられない。
12.9インチiPad Proに優秀なノートPCに匹敵するほどのディスプレイとパフォーマンスが備わっているのは幸いだ。というのも、価格も匹敵するためだ。4GBのストレージが内蔵された4G LTE未対応の基本構成の場合799ドル。容量が512GBでLTEに対応した最上位構成の場合1229ドルがかかる。
12.9インチiPad Proを2-in-1ノートPCとして使うなら159ドルのSmart Keyboardを購入する必要がある。芸術的作業を行うユーザーの場合、さらに99ドルを支払ってApple Pencilも追加すべきだ。
比較として、Microsoftの2017年モデルのSurface Proは、128GBのストレージ構成が799ドルで販売されている。ただし、キーボードとスタイラスは付属していない。SamsungのGalaxy Bookの場合はこの2つのアクセサリーが両方同梱される。この点は価格にも表れており、128GBのストレージが搭載された基本構成で1129.99ドルになる。
長所
- 一般消費者向けノートPCの多くを上回るパフォーマンス
- 美しいディスプレイ
- 長時間持続するバッテリー
短所
- 幅広くスリムなデザインは壊れやすい恐れがある
- USB Type C、メモリカードスロット、組み込みのスタンドが非搭載
- マウス非対応
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