「Apple Pencil」もさらに使いやすく
「iPad Pro」が手放せないビジネスツールに変身、「iOS 11」新機能とは
「iOS 11」の登場によって「iPad」や「iPad Pro」に付加される新機能が、ビジネスの生産性向上に役立つかもしれない。注目すべきはマルチタスク、「Apple Pencil」、ユーザーインタフェースの機能強化だ。
ITの専門家は、2017年秋に公開が予定されているAppleの「iOS 11」の機能が、企業における「iPad」の生産性を後押しすると見ている。
同社の新モバイルOSであるiOS 11は、iPadと「iPad Pro」のユーザーインタフェース(UI)、マルチタスクの機能、iPad Proの「Apple Pencil」スタイラスに注力しているとAppleは2017年6月上旬に発表している。この対応により、生産的なビジネスツールとしてのiPadの魅力は増し、同社の「MacBook」に搭載されている「macOS」と同じような自然なインタフェースになるというのが専門家の見解だ。
Appleのパートナーでも顧客でもあるTSPの創設者で最高技術責任者(CTO)を務めるマイケル・オー氏は次のように語っている。「iPad向けのiOS 11は、実に大きく前進している。その結果、iPad ProとMacBookの差はかなり縮まってきている」
iOS 11のUIに関する改善点
全てのiPadには、強化されたドックが備わっている。これは、画面下部にあるバーで、macOSと同様に、ユーザーが頻繁に使用するアプリが表示される。以前のモデルよりもドックのサイズは大きくなっている。また、機械学習を使用して、ユーザーがアクセスするであろうアプリを推測するようにもなっている。
それから、iPadユーザーとiPad Proユーザーは、マルチタスクの新機能を活用できる。その機能は、ドックからアプリをドラッグして、開いている別のアプリの隣に表示させるというものだ。ユーザーが3つ目のアプリを開いた後、最初に開いていた2つのアプリのいずれかに戻ると、その2つのアプリは横並びで表示される状態が維持されている。現行バージョンの「iOS 10」にも同じような機能は用意されている。だが、ユーザーが3つ目のアプリに切り替えると、並べて表示したアプリの状態は解除される。また、ドックからアプリをドラッグすることもできない。
ITのコンサルティングサービスを提供するMCPcでエンドユーザーコンピューティングの最高技術責任者(CTO)を務めるアイラ・グロスマン氏は次のように語る。「生産性の向上とマルチタスクによって、iPadに搭載のiOSとmacOSの境界は曖昧になる。仕事をするために、デスクトップPCに縛られる必要はない」
さらにダイナミックなApple Pencil
iOS 11には、iPad Pro対応のApple Pencilに関する新機能も盛り込まれている。Apple Pencilでディスプレイをタップすると、最近使用したメモが表示される。ロック画面でも同じ動作になる。それからApple Pencilの待ち時間は20ミリ秒に短縮されている。これは、Microsoftの「Surfaceペン」の21ミリ秒を辛くも上回る結果となっている。
それから、iOS 11搭載のiPad Proでは、「メール」アプリと「メモ」アプリでApple Pencilによるインライン描画がサポートされる。この機能によって、メールやメモに直接手書きでメモを書き込むことができる。手書きのメモを書き込むスペースを作るために、周囲にあるテキストは移動する。また、書類の写真を撮ると、メモアプリによって写真はデジタル文書のスキャンまたはPDFに自動変換される。
「建設現場で作業をするときには、Apple Pencilが非常に役立つ。Apple Pencilはキーボードが使えないときに、メモを書き留めるのに優れている。より総合的なツールという印象で、タッチ操作を補完してくれる」(オー氏)
初代Apple Pencilがリリースされた2015年11月当時、Apple Pencilは物珍しいものという位置付けだったとグロスマン氏は振り返る。
「現在、AppleはApple Pencilにビジネスニーズがあることを認識している」(グロスマン氏)
Apple Pencilは、外出先で重宝するツールである。だが、従来のマウスの生産性には及ばない。そう語るのは、調査会社Moor Insights and Strategyで社長とプリンシパルアナリストを務めるパトリック・ムーアヘッド氏だ。
「Apple Pencilに関する新機能には良いものもある。このような機能は、MicrosoftやGoogleから発売されているものをほうふつとさせる。これらの機能によってペンの使用が促進されると私は確信している。ただし、スプレッドシート、プレゼンテーション、ドキュメントを作成する従来のビジネスワーカーは、今でもトラックパッドやマウスなどのポインティングデバイスを好むだろう」(ムーアヘッド氏)
AppleはiOS 11でiPad Proのソフトウェアを強化するだけでなく、ディスプレイ、カメラ、プロセッサにも改善を加えている。例えば、iPad Proのディスプレイサイズは、9.7インチから10.5インチに拡大されている。iPad Pro自体のサイズは据え置きで、ベゼルを狭めることによってサイズアップを実現している。
ビジネス向けの改善点
新しい「ARKit」によって、iOS開発者は、拡張現実(AR)テクノロジーを使用してアプリを作成できるようになる。ARテクノロジーは、実世界の環境を表示して、そこにデジタルな要素を追加するのに、デバイスのカメラを使用する。製造業などの業界では、モバイルワーカーが、このようなアプリを活用できるかもしれない。
最後に、Appleは「Business Chat」という名前の新しい「iMessage」サービスの展開を計画している。このサービスを使用すると、顧客は「Safari」「マップ」「Spotlight」「Siri」を使用して企業を特定し、サポートの要請やトランザクションの完了について、その企業にすぐメッセージを送信できるようになる。Appleは、自社のメッセージングアプリに「Apple Pay」を統合している。そのため、個人間の支払いも可能だ。
新しいサイズの10.5型iPad Proの最低価格は649ドル(税別69800円)で、2017年6月13日から販売している。なお、iOS 11は、iPadとiPhoneを対象に無料アップグレードとして2017年秋に配信される予定だ。
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