トラブルが起きる前に検討を始めたい
モバイルセキュリティはデバイス管理だけじゃない、IT担当者が知るべき8つの課題
モバイルセキュリティとは、モバイルデバイスの管理だけを指すのではない。今日のIT部門は、ID管理から分析に至るまで、各種セキュリティツールを自由に使いこなす必要がある。
モバイルセキュリティの課題は、長きにわたって企業を苦しめてきた。だが、今日のIT部門は、一般的な問題に対処する選択肢を以前より多く持っている。従来のモバイルデバイス管理システム以外にもモバイルセキュリティシステムは多数存在する。これらのシステムを使うことで、IT管理者はモバイルデバイスとデータを細かく制御してより適切に保護できる。
かつてのモバイル活用における最も一般的なセキュリティの懸念事項は、ワイヤレスネットワークと保管中のデータの暗号化だった。こうした懸念は今なお存続しているが、今日のモバイルセキュリティの課題はずっと複雑になっている。現在、モバイルコンピューティングには、あらゆるビジネスに計り知れない形で影響するセキュリティの課題が無数に存在している。以下に、その幾つかを紹介する。
- ビジネス情報とユーザーのプライバシー保護のバランス
- モバイルデータの保管と維持に関する法規制の順守
- 非暗号化通信セッション、入力確認の不備、フォレンジック調査結果の残存と他のアプリやユーザーへの露呈
- 法規制や契約要件を最低限満たすために必要な構成とセキュリティの評価。例えば、監査、ペネトレーションテスト、コード分析など
- マルウェアのリスク
- ファイルの共有とコラボレーション
- クラウドサービスとの統合
- パスワード、重要なソフトウェア更新、関連するポリシーと標準を複数のモバイルプラットフォームに適用すること
IT部門は、多くのモバイルセキュリティの課題についてかじ取りをしなければならない。大きな問題となるのは、その方法だ。IT部門は、従来のモバイルデバイス管理(MDM)システムからエンタープライズモビリティ管理(EMM)システムに移行すべきなのだろうか。それとも、さらに新しい統合エンドポイント管理(UEM)に移行してモバイルセキュリティシステム全体を強化すべきなのだろうか。
お勧めのセキュリティツール
企業の大小を問わず使える技術を以下に紹介する。どの技術も企業の全体的な情報セキュリティ戦略にモバイルコンピューティングを追加するのに役立つだろう。
IT部門はMDMを使用して物理資産を管理できる。ITのニーズとセキュリティのリスクは、デバイスを超えて進化しているが、今でもMDMがモバイル環境を管理する主要機能であることに変わりはない。一方、モバイルアプリケーション管理(MAM)では、アプリ間のやりとりやアプリによる企業データの操作を制御できる。個人向けのアプリとビジネス向けのアプリが増えるにつれて、攻撃対象領域は拡大し、脆弱(ぜいじゃく)性が露呈する可能性は高くなる。
それから、ユーザーの集約と管理にはIDとアクセス管理を使用できる。このプロセスは、企業が保有する従来のコンピュータとアプリケーションの場合と同じように行われる。具体的には、ユーザーとの雇用契約を締結する前、締結中、解消した後だ。また、一部のユーザーにとって、モバイルはコンピュータとシステムにアクセスする唯一の形態となる。そのため、IT部門は、ID管理プロセスを適切に監視なければならない。
スレットインテリジェンスと分析は、モバイルデバイスの中で起きていることについての洞察を提供する。これには、脅威を自動的に検出して軽減する人工知能(AI)技術が含まれる。AIはモバイルデバイスに直接インストールされる場合もあれば、既存のセキュリティ制御と併用されることもある。
IT部門は、システムを安定して実行し、サポートの対象となり、セキュアなバージョンのアプリケーションとOSを実行するようにパッチと更新をインストールすることもできる。モバイルデバイスのパッチに関するセキュリティリスクは、従来のデスクトップコンピュータほど一般的ではない。JavaやAdobe Systems製品などのサードパーティー製ソフトウェアを実行している場合は特にそうだろう。だが、リスクがなくもない。企業のモバイルプラットフォームへの依存度が高まるにつれて、そのリスクは拡大することが予想される。
さらに、ユーザー、モバイルデバイス、モバイルデバイス上の情報をオンラインの脅威から保護するセキュアなWebブラウジングも必要だ。これには、より適切なマルウェア保護、仕事と個人の領域を分離するコンテナ化ストレージを含む。
これに関連して、セキュアなコラボレーションとファイル共有は、このモバイルの主要機能をサポートして、企業のモバイルデバイスセキュリティポリシーと法規制の要件をユーザーが満たすようにするうえで重宝するだろう。IT部門は、企業のファイル共有と同期システムの一環として、UEM内またはEMMツールを介して、これらの機能を制御することができる。
ネットワーク関連の事象(インシデント)や確認された侵害をサポートするために、eディスカバリ(電子証拠開示手続き)やフォレンジック分析を導入することもできる。現在企業で行われている調査や訴訟ホールド(情報の保全)を伴う法的な活動は、特に大企業で一般的だ。
最新のモバイルセキュリティの選択肢の多くは、既存のテクノロジーと統合する。例えば、Microsoftの「Active Directory」、セキュリティ情報とイベント管理、仮想プライベートネットワークなどだ。中には、従来のモバイルデバイスを超えて、ウェアラブルデバイスやIoTデバイスに対応しているものもある。
モバイルコンピューティングの進化と管理は、複雑で難しい試みだ。スタンドアロンのモバイルセキュリティシステムは、長い年月を経てMDMやEMMへと進化し、現在はUEMへと姿を変えている。今日、従来のデスクトップコンピュータで生じているリスクや侵害の多くは、モバイルデバイスにも影響するようになるだろう。そのような事態が生じた場合、IT部門は最低でも既存のインシデントの対応手順に従わなければならない。
とは言うものの、あなたの勤務先では、今日のモバイルセキュリティの課題に対応する準備はできているだろうか。IT部門は、モバイルに関連するテクノロジーと手順について何を調整する必要があるのだろうか。次の妥当なステップは、モバイルセキュリティリスク分析を実施して、強化できる部分を特定することだろう。苦境に追い込まれてから行動に移すのではなく、今日から検討することをお勧めする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー