足りない部分は、独自開発ツールで補完
ヤフーは「OpenStack on Kubernetes」で、クラウド運用の自動化をどう実現したのか(2/2 ページ)
Kubernetesによる自動復旧を前提にステートレスなサービスのみ運用自動化
OpenStack on Kubernetesだけでは実現できない機能を、ヤフーは「OpenStack Deploy Manager」として独自開発し、運用に組み込んだ。OpenStackの自動デプロイ、OpenStackコンポーネントの設定やパッケージの自動アップデートをするもので、それ自体もKubernetes環境で動作する。
具体的には、初回構築時にOpenStackの設定ファイル(以下、OpenStack.conf)とChart、Valuesを用意した上で、Helmを使ってOpenStack.confをKubernetesにデプロイする。OpenStack.confは、各クラスタ固有の設定ファイルを含んでいる。人手で準備するのはここまで。後はOpenStack Deploy Managerが残りのデプロイ作業を全て自動で処理する。
OpenStack Deploy Managerは各OpenStackコンポーネント用のWebデザイン用フレームワーク「Bootstrap」のスクリプトを自動で実行する。この段階で各OpenStackクラスタに必要なコンポーネントを読み込み、ネットワーク設定をする。デプロイに人手が介在するのは、この初回構築時だけだ。後はOpenStack Deploy ManagerとOpenStack on Kubernetesがアップデートを含めた全ての運用を自動的に行う。
例えばnova.confを一部変更したとしよう。書き換えが終わったら、OpenStackクラスタの定義書であるValuesを書き換えてGitHubにプッシュする。するとCI(継続的インテグレーション)ツールの「Jenkins」がValues更新を検知してOpenStack.confをアップデートし、各Podがマウントしている設定ファイルも自動的に更新する。稼働中のPodに新しい設定を反映するため、OpenStack Deploy ManagerがPodのローリングアップデートもする。
運用にヒューマンエラーが介在しないため、Kubernetesが健全に稼働していれば、その上で動いているOpenStackも100%健全に稼働していると判断できる。監視するのはKubernetesの動作だけでいい。
ただしワークフロー監視やRabbitMQのクラスタ監視まではできなかった。「コンポーネントとして正常に作動しているだけではなく、インスタンスを正常に起動できているか、ボリュームを正常にマウントできているかというレベルでチェックする必要があります」(北田氏)
ヤフーはここでも独自開発したツールを活用している。「OpenStack Monitor Manager」と「RabbitMQ Monitor Manager」がそれだ。前者は情報取得を目的とした参照系APIの返り値からPodの健全性を判断し、異常なものを強制終了する。Podを終了さえさせれば、KubernetesによってPodは自動的に再配置されるので、終了させるだけで健全性を確保できるというわけだ。後者のRabbitMQ Monitor ManagerはRabbitMQクラスタの状態やメッセージキューの正常性を自動監視する。異常なクラスタがあれば、こちらも強制終了し、Kubernetesによる再デプロイを促す。どちらも当然Kubernetes環境で動作するよう作られている。
北田氏は「足りない機能を独自開発することで、Kubernetesを使ったOpenStackの運用自動化および障害の自動復旧を実現できました」と振り返る。ヤフーのこうした取り組みは、OpenStackの導入を検討している企業、プライベートクラウドの運用に悩む企業にとって、数多くの知見をもたらすことだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー