MSのSurface戦略とも意外な共通点
GoogleのApple化が進む HTCのPixelチーム買収で生まれる新スマホを予想(2/2 ページ)
“会話コンピューティング”の世界とは
米コンサルティング会社であるStarCIOの社長であり、元CIO(最高情報責任者)のアイザック・サコリック氏は、GoogleはHTCとの提携によりスマートフォンの先を見越している可能性が高いという。Googleは自社をこれまでのソフトウェアIoT基盤提供企業としてだけではなく、今後はハードウェアIoT基盤提供企業としても育てていきたいと考えており、これは各企業のCIOにとっても興味深いものだと言う。
「モバイルへの大掛かりな投資を計画しているCIOは、Googleがハードウェアおよびソフトウェア基盤を広く網羅している企業として見る必要がある。このソフトとハードを組み合わせで、モバイル製品開発時間の短縮、その他の戦略的な利益をGoogleが提供できるようになるかを判断する必要がある」とサコリック氏は言う。
GoogleはHTCとの提携を結ぶときに、同社のAI音声アシスタントであるGoogleアシスタントをさらに普及させることも考えていたとパーセル氏は言う。音声アシスタントは現在、GoogleのPixelやその他の家庭用デバイス、同社のメッセージアプリGoogle Alloにも組み込まれているが、AmazonのAlexaやAppleのSiriなどの音声アシスタントに比べてまだ普及していないとパーセル氏は言う。
「われわれはまだ会話の仕組み化、サービス化(ここでは仮に“会話コンピューティング”とする)の黎明(れいめい)期にいる。しかし、これから至るところで利用されるようになっていく」と彼は言い、「この競争の勝者となるのは、AlexaやSiriのような音声アシスタントを正確に訓練させるための音声データを最も多く用意できる企業だ。AppleとAmazonはこれまでSiriとAlexaを継続的に訓練しているが、Googleには類似のハードウェアがないため、このテーマに関してはひたすら沈黙を貫いてきた。Googleが会話を可能にする一連の新デバイスを開発すればこの状況は変わるだろう」
会話コンピューティング分野への進出というGoogleの目標は、同社が長年抱いてきた目標だとパーセル氏は言う。
「Googleは会話型の環境(会話によって人とシステムが相互につながる環境)を発展させ続けたいと考えている。もしその取り組みに失敗すればこれまでの成功はなかったこととなり、Googleが崩壊してしまうだろう。もっともGoogleが崩壊する可能性があるなら、他のほとんどの企業も崩壊してしまうといえる」
Googleがこの分野で成功を収めた場合、ほぼ確実に企業への影響が発生するとパーセル氏は付け加えた。「CIOやIT部門は現在の音声認識や自然言語処理を用いてどうやって自社ビジネスを成功させるかを検討しなければならない。具体的には自社の製品やサービスの提供をどのように進化させれば会話コンピューティング分野で成功を収められるかを考え始める必要があるということだ」
Android唯一の課題はシステム基盤の標準化
米市場調査企業Gartnerの主席リサーチアナリストのトゥオン・グエン氏は、GoogleとHTCの提携には別に議論すべき課題があると言う。それは、Googleのシステム基盤それ自体を推進、展開することだ。
「GoogleはSamsung ElectronicsまたはLenovo、LG Electronics、Appleなどのスマートフォンメーカーに直接対抗するつもりはないと思っている」と彼はGoogleとHTCの提携について述べた。「Googleはスマートフォンのハードウェア販売目標を伸ばすためではなく、基盤提供企業になるという目標を推し進めるための戦略的買収をした。Googleの目標は、販売台数ではなく、より多くの人にAndroidシステム基盤を使ってもらうことだ」
グエン氏はMicrosoft Surfaceデバイスを用いたMicrosoftの野望とGoogleのハードウェアの野望を比較した。Microsoft Surfaceに関しては、Microsoftは必ずしもグローバルに展開するハードウェアメーカー、例えばASUSやAcer、Dellなどを打ち負かそうとはしていないと彼は言う。ハードウェアを介して自社のシステム基盤利用を促進しようとしているだけだ。これはGoogleが現在行っているハードウェア事業の推進にも当てはまると彼は考えている。
「Androidに1つ課題があるとすれば、全ての人のAndroidシステム基盤を標準化できるか、という点だ」とグエン氏は言う。「現在、多種多様なOEM(自社製品を他社に製造依頼すること、またはその企業)先があり、それらはさまざまなバージョンのAndroidシステム基盤を採用している。そのエコシステムは、かなり断片化されている。ハードウェアやセキュリティ、プライバシーなどの面で一層優れた性能を見せるデバイスを提示できれば、Googleの提携企業にも影響を及ぼすはずだ」
言い換えれば、GoogleがAndroidシステム基盤の最適な利用法を説明できれば、ハードウェアのOEM先は注目し、うまくいけばこのシステム基盤を標準化するという求めに従うだろう。そうすることで、より良いAndroidの体験を提供することができる。これがGoogleの利益につながるとグエン氏は考える。
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