オールフラッシュストレージの優位性
フラッシュとHDDの価格は今や同じ? 思わずうなずく3つの理由
フラッシュの価格が下がり、HDDに近づいている。だが、フラッシュの単価算出が非常に難しいため、購入担当者は頭を悩ませている。価格の優劣を容量当たりの単価で見ていたためだ。
オールフラッシュストレージシステム(またはオールフラッシュアレイ。以下、AFA)の価格はHDDストレージシステムの価格と変わらなくなった。少なくとも、AFA提供企業は顧客がそう考えることを望んでいる。AFAはHDDストレージシステムと同等になったという主張は、ほとんどの点で証明できる。ただし、値段が同等という主張は証明が難しい。なぜならばAFAのGB単位の正確な価格を決定するには、変更要素が無数に存在するためだ。
AFA提供企業はAFAがHDDストレージシステムと価格面においても同様だ、と主張をしている。理由は2つで、1つはNAND型フラッシュメモリの価格が下がり続けていること、2つ目は重複排除や圧縮などのデータ効率化テクノロジーが利用しやすくなったことを挙げている。
フラッシュの価格は下がっているが問題もある
フラッシュのGB当たりの原価は、生産量の増加とフラッシュセル(データを記憶する半導体)の高密度化によって急速に下落している。企業がフラッシュを採用し始めたころは、1つのセルに1ビットのデータを書き込むシングルレベルセルが標準だった。その後、1つのセルに2ビットを記録するマルチレベルセル(MLC)が一般的になり、現在ではほとんどのフラッシュアレイにMLC NANDが用いられている。エンタープライズクラスのAFAでは、ここ半年で、1つのセルあたり3ビットを記録するトリプルレベルセルの採用も始まっている。AFAの価格は、こうした高密度化により、HDDの価格に近づいている。
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容量が必要なのであればテープも選択肢に
高密度化にはフラッシュの耐久性が低下するというデメリットがある。基本的にはドライブのビット密度が増えるほど、フラッシュのモジュール寿命は短くなる。AFAはこの問題について幾つか対策を取っている。まずほとんどのAFAは冗長コンポーネントを用意しているため、フラッシュセルの一部が摩耗しても別の部品に置き換えることができる。次にAFA提供企業は耐久性を挙げるため、フラッシュ全体の容量を余分に設定している。中には容量の75%しかストレージシステムが使用できないようにしている提供企業もある。その理由は余分に容量を用意すれば、フラッシュセルへの書き込み回数を減らすことができるためだ。
極端な例えだが100のデータを10個のフラッシュセルに書き込む場合は、1フラッシュセル当たり10回書き込むことになる。これを100個のセルに書き込むことにすれば1フラッシュセル当たり1回の書き込みで済むようになる。結果として容量の一部は犠牲になるが、ドライブの見掛けの寿命は長くなる。
物理容量からフラッシュの価格を計算するのは比較的簡単だ。唯一の変動要素は、冗長性のために確保しているフラッシュの量だ。少なくともこの時点で問題になるのは、GB当たりの原価だけで比較すると、AFAはHDDと等価にはならないことだ。その結果として、価格が変わらないという主張を裏付けるために、ほぼ全てのAFAベンダーがデータ効率化テクノロジーを利用することになる。
データの効率性によって曖昧になる計算
シンプロビジョニング(仮想のディスク容量を割り当てる技術)、データ圧縮、重複排除といったデータ効率化テクノロジーは、現在ではほとんどのAFAの標準になっている。多くの場合、耐久性保護の目的で余分に用意したAFAの容量、パフォーマンスは、全体のパフォーマンスに目立った影響を及ぼすことなくデータの効率化というメリットをもたらす。
通常、企業はアプリケーションのニーズに基づいて上限を想定した容量を確保しておかなければならない。だがシンプロビジョニングにより、実際に必要になるまでストレージ容量を確保する必要が無くなる。特定のサーバや仮想マシンの容量をあらかじめ確保しないことで容量を節約できる。
圧縮により1つのファイル内の重複データが削除され、重複排除により複数のファイル内の重複データが削除される。これらの手法の効果は、企業の主要データ群に存在するデータの類似性に大きく左右される。類似性が高ければ高いほど効率的に重複データの判定することが可能だからだ。
大半のAFA提供企業は、重複排除と圧縮を併用することでデータ効率を5倍にすることができると主張する。つまり10TBのストレージ容量を持った企業であれば50TBのデータまで所有することができる、というものだ。だが企業ごとに取り扱うデータ群は異なる。高い効率を得られるデータ群もあれば、非常に効率性が低いデータ群もある。
一般的に、仮想デスクトップ環境や仮想サーバ環境では、重複排除の方が得られるメリットは大きく、データベース環境では圧縮で得られるメリットの方が大きい。だが正確なメリットを数値で計算するのは不可能ではないにしても非常に困難だ。結局、重複排除アルゴリズムの効率もベンダーごとに異なることになる。
購入する容量
データ効率の曖昧な計算に基づいてAFAを購入する場合の最大の問題点は、フラッシュの価格が明確ではないことだ。GB当たりの実際の価格を知る方法はない。そこで購入方法については3つの考え方が浮かぶ。
- 非常に慎重な検討方針を採用し、データ効率化による容量の増加はないと想定する方法。この方法では、ほとんどのデータセンターが容量を過剰に用意することになる。これは、今後も急激に価格が下落し、テクノロジーが進化しているフラッシュの世界においては特に問題である。
- データ効率が2.5倍になると考える方法。この方法でも、余分な容量を用意することになる可能性もあるが、前の方式よりも深刻にはならない。
- ベンダーの主張をうのみにする方法。普通は好ましい方法とはいえないが、AFAに関しては価値ある戦略かもしれない。複数のAFA提供企業が、自社システムのデータ効率を保証するようになっている。何らかの理由によりAFA提供企業が合意した効率比を達成できない場合、AFA提供企業は追加の容量を企業に提供することになる。
ベンダーが自社のシステムでデータの重複排除と圧縮を行っている場合、AFAのGB当たりの価格を事前に判断するのはほぼ不可能だ。IT部門の担当者は、同一条件で比較するために、ベンダー間でフラッシュの原価を比較するか、システム全体に共通の比率を適用する必要がある。また、容量の計算を完全かつ正確に行わなければならないというプレッシャーを取り除くためにも、システムのデータ効率を保証するベンダーを探すべきだ。
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