安物スマートスピーカーには要注意
「Amazon Echo」に未来を感じる人、拒絶する人 動き出す市場の今(2/2 ページ)
われわれは心配すべきか
利便性と価格設定が消費者を引き付ける一方で、その両者はスマートスピーカーのセキュリティに関する全ての懸念事項を目立たなくしているわけではない。特に「あなたの生活の全てに耳を傾ける」という新技術を自宅に持ち込むことに対する懸念は残る。ただし今日出回っている、人々を不安に陥れる「デマ」と誇大宣伝は、必ずしも実態を表してはいない。
人々を不安に陥れる「デマ」の典型的な例として、中国の開発者が、幾つかの主要な音声アシスタントの“恐ろしい”脆弱(ぜいじゃく)性を突く「ドルフィンアタック」というスマートスピーカーの攻撃手法を見つけた、という最近のニュースがある。人間には聞こえない周波数帯の音声を使ってスマートスピーカーを操作するドルフィンアタックは、Siriを実行するiPhoneとAppleの「MacBook」、Samsung Electronicsのスマートフォン「Galaxy」、Microsoftの「Windows 10」を実行するクライアントPC、Amazonの音声アシスタント「Amazon Alexa」に影響すると公表された。
ドルフィンアタックに関する記事を額面通りに読んだ消費者なら、もちろん誰しも脅威を感じただろう。だが記事を深く掘り下げてみると、特にスマートスピーカーの脅威に関しては、それほど衝撃的な話ではないのだ。
実際にはドルフィンアタックによるハッキングは、攻撃者がデバイスから数センチ単位のごく近くにいるときにのみ可能だった。この場合、例えば家庭内に設置する前提のAmazon Echoが、見知らぬ人にその方法でハッキングされる可能性を考えることは困難だ。攻撃者があなたの自宅内、それもデバイスの近くにいる場合はその限りではないが。
この種の遠隔操作によるハッキングへの懸念は、非接触型ICカードが普及し始めたときの消費者の懸念を想起させる。誰かがあなたの傍らにいて、誰にも気付かれずにNFC(近距離無線通信技術)の電波を傍受し、カードのIDをコピーできると広く考えられていた。今日では明確な情報と指針が広まったことで、物理的な距離を考慮すれば、こうしたシナリオは起こりそうもないことを消費者が理解するようになった。利用頻度と信頼が高まるにつれ、非接触式カードに関する懸念事項は次第に消えてなくなった。
ドルフィンアタックのような例から得られる知見は、潜在的な脅威への意識を高める上で重要だ。だが注意すべきポイントは、ドルフィンアタックが起こるためには、攻撃者が物理的に存在して、かつデバイスへ近接することが必要だ、ということである。
Amazon、Google、Appleなどの大手企業は、セキュリティに配慮したスマートスピーカーを市場に投入してきた。実際の脅威は、製品の背後に誰がいるのか、何があるのか分からないような、安価な製品が市場に投入されるときに発生する可能性が高い。2017年や2018年のクリスマスには、より安っぽい模倣製品が市場に投入されるだろう。これらの模倣製品が投入される時にこそ警笛を鳴らす必要がある。
遠隔地から目に見えない攻撃者によって会話が録音され、遠くから監視される……これは間違いなく大きな注目を浴びる脅威となる。こうした脅威が明るみに出た時点で、家庭内に設置するスマートスピーカーのセキュリティは、より厳しい監視の対象となるだろう。
少なくとも住宅のようなプライベートな空間内では、脅威をコントロールすることは可能だ。だが公共の空間でのスマートスピーカーの使用に関しては、遠隔操作によるハッキングの可能性が新たな不安を抱かせることになる。
空港のラウンジやショッピングモール、ホテル受付を想像してもらいたい。これらの場所はサイバー攻撃の真の温床となり得る。所有と責任について深刻な倫理的問題を提起する可能性がある。いずれ店頭の窓ガラスに監視カメラのように、スマートスピーカーが動作していることを警告する張り紙を見ることになるのだろうか。
未来の意味
攻撃者は、われわれの生活の中に混乱を生み出そうとし続ける。デバイスベンダーは常に、ますます圧迫される消費者の予算を勝ち取るために、何が何でも競争を勝ち抜こうとする。ただし消費者には、まだ良い話がある。それは今のところ、コントロールできる要素がまだ残っているということだ。
詳しく調査して相応の注意をすれば、消費者は自分自身やスマートスピーカー、そして自宅を守ることができる。消費者は模倣製品に注意を払い、広く知られているブランド製品に投資した方がよいだろう。最初に少しだけ多くのお金を払う場合でも、長期的には支払った金額以上に、消費者自身を守ることになる。
スマートスピーカーは既に進化の旅に入っている。その将来の形状や形式、機能は、エコシステムがどれだけ広範になるか、家庭の自動化がどの程度進むかに大きく依存している。製品の進化には数え切れない多くの可能性がある。テレビの視聴や動画配信サービス「Netflix」などのオンラインサービスを例に取ると、音声による制御が絶好の機会を創出する可能性がある。コネクテッドデバイスの数が増えれば、このような機会は増加の一途をひたすらたどることになるはずだ。
究極的には将来のスマートスピーカーは、消費者の住宅の頭脳となる可能性がある。スマートスピーカーの住宅へのリンク(つながり)が弱ければ、他の全てのコネクテッドデバイスとのリンクも弱いものになるだろう。
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