大容量と拡張性は当然
「オブジェクトストレージ」主要製品の詳細過ぎる特性分析(2/3 ページ)
Dell EMC
Dell EMCの「Elastic Cloud Storage(以下、ECS)」は、Swift、Amazon S3、NFS、Hadoop Distributed File System(分散ファイルシステム 以下、HDFS)の各プロトコルをサポートする汎用製品である。他にもDell EMCの「Atmos」プロトコルや「EMC Centera」プロトコルをサポートする。Atmosは同社が提供するオブジェクトストレージ、EMC Centeraは同社が提供するディスクベースのアーカイブストレージだ。SMBやCIFSのサポートを必要とする場合は、Amazon S3を使用するWindowsサーバでDell EMC提供のゲートウェイを使用しなければならない。
HDFSは、データを直接ストレージにコピー、複製する処理ホストを必要としないためストレージに保管中のデータの直接分析(インプレース分析)を可能にする。インプレース分析は分析プロセス全体の効率を向上し、ECSをHadoop環境に適したものにしている。
ECSでは、保存したデータと転送中データの両方の暗号化をサポートする。ただし、転送中データの暗号化には追加ライセンスが必要になる。保存したデータの暗号化には標準AES-256アルゴリズムを使用する。この暗号化は名前空間レベルまたはバケットレベルで実装できる。
ECSをソフトウェアとして入手する方法は幾つかある。1つはDell EMCから製品購入する方法だ。Virtustream、Iron Mountain、Danube IT Services、Vodafone Cloud and Hostingなどパブリッククラウドプロバイダーから入手する方法もある。また、ECS Dedicated Cloud(以下、ECS DC)というハイブリッドクラウド管理型のサービスからも手に入る。ECS DCはDell EMCが管理するオンデマンドECSストレージで、Virtustreamが提供する同社のデータセンターでホストした専用サーバで実行する。
消失データ復旧は、ディスクまたはノードの障害からデータを保護する。ECSでは複製処理もサポートし、データの3つのコピーを異なる場所に書き込む。ECSには、サイトの追加に応じてストレージ効率を向上する仕組みも含まれている。
複数のサイトを備え、地理的に離れた場所に複製する環境では、ECSは高可用性を実現するためにプライマリーサイトの分散コピーをリモートサイト(遠隔地のサーバなど)に複製する。ただし、これはディスク領域の大きなオーバーヘッド(負荷超過)につながる可能性がある。
これを避けるため、ECSは高可用性を維持しながらオーバーヘッドを減らす技法を使用する。接続される遠隔地サーバの数が増えるにつれて、このECSアルゴリズムはオーバーヘッドの削減をより効率的に行うようになる。ECSには地理的に分散する複数のサイトを使った保護も提供し、サイト全体の障害や一時的なネットワーク障害からの復旧を可能にする。
ECSでは、単一ラック構成で360TBから7.8P(ペタ)Bの範囲で容量を変更できる。この容量はHDDのみで提供しており、フラッシュメディアをサポートしていない。これは、長期間高いIOPSスループット(ディスクが1秒当たりに処理できるI/Oアクセスの数またはその処理能力)を必要とするIT組織には望ましくないが、一般にこの種のシステムはオブジェクトストレージシステムには不向きだ。
ECSソフトウェアの価格は容量に基づいて決定する。
Hitachi Data Systems
Hitachi Data Systems(以下、HDS)の「Hitachi Content Platform(以下、HCP)」は汎用オブジェクトストレージシステムで、IT企業やクラウドサービスプロバイダーが単一システムのファイルデータを格納、共有、同期、保護、保存、分析、取得できるようにする。HCPはNFS、CIFS、Amazon S3、REST規約、HTTP接続、HTTPS接続、WebDAV機能、SMTP(簡易メール転送プロトコル)、NDMP(ネットワークデータ管理プロトコル)などのプロトコルをサポートする。
「Hitachi Data Instance Director」(同社が販売するデータ保護システム)はHCPと連携し、Microsoftのメールソフトウェア「Microsoft Exchange」環境向けに高度な電子メールアーカイブ機能を提供する。これは、主要オブジェクトストレージベンダーの製品の中でも独特の機能だ。
HCPは、市販のハードウェアを使ってストレージシステムに接続されるノードを含む完全統合型製品として利用できるし、ソフトウェアのみのオプションとしても入手できる。このオプションは、パブリッククラウドから実行できる管理サービスとして使うか仮想マシンとして使う。HCPの仮想マシンの場合、各ノードは仮想化ソフトウェアを提供するVMwareの「VMware vSphere」(仮想マシン基盤)の仮想マシン内で実行する。基盤となるハードウェアの機能によっては、複数のHCPの仮想マシンノードを単一のvSphereホスト上で実行できる。VMwareの「VMware Infrastructure」(仮想マシン基盤ソフト群)を利用することで可用性の高いフォールトトレラント※3なストレージを構築することができる。
HCPは転送中のデータと保存したデータの両方の暗号化を提供し、転送先がクラウドの場合も含め、全てのオブジェクトとメタデータを保護する。
ただし、使用するストレージの種類によって機能に微妙な違いがある。暗号化されたオブジェクトの圧縮と重複排除はローカルディスクまたはSAN(Storage Area Network)ディスクによって提供されるバルクストレージでのみ機能する。バルクストレージとは高速な読み書き用途ではなく、低速で大量の容量を持つデータストレージのこと。コンテンツをHCPストレージノードまたはパブリッククラウドストレージに送信しているときは機能しない。転送中データの暗号化の場合、HCPノードはSSL(Secure Sockets Layer)/TLS(Transport Layer Security)を使用して安全性の高い転送を確立する。なおデフォルトで自己署名証明書が付属する。
HCPのデータ保護機能には、RAID 6、消失データ復旧、複製処理などがある。RAID 6構成にすることで2台のディスクで同時に障害が発生してもノードは動作する。さらに消失データ復旧にて、6台以上のディスクで同時に障害が発生しても動作を維持できる。複製処理では、整合性と可用性を確保するためにオブジェクトを1つから4つにコピーできる。このコピー数はストレージノードの数に応じて変わる。
HCPは、オンプレミスでは最大800PBの容量をサポートする。ただし、パブリッククラウドなどでの容量は事実上無制限だ。6カ所のサイトに地理的に分散された消失データ復旧の仕組みでは、最大4.8E(エクサ)Bまでサポートする。最小構成運用導入は、合計容量4TBの4つの仮想ノード構成になる。
HCPのソフトウェアライセンスは、ストレージの種類(直接接続、消失データ復旧対応のストレージ、クラウドストレージ)と容量が基準になる。
※3 フォールトトレラント。不具合発生時に一部機能を縮小してもシステム全体の稼働を続けるようにする設定方針
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