大容量と拡張性は当然
「オブジェクトストレージ」主要製品の詳細過ぎる特性分析(3/3 ページ)
IBM
IBMの「IBM Cloud Object Store(以下、COS)」は、柔軟性が高く、拡張性の高いシンプルなクラウトストレージだ。IBMによれば、COSは総所有コストを低く抑え、適切に導入すれば99.99999%以上の可用性を実現するよう構成できるという。
COSは転送中のデータと保存したデータの暗号化を提供する。そのため、オブジェクトストレージの利用例としては新しいクラウドアプリケーションからアーカイブ(ここでは検索性の高いアクティブアーカイブという仕組みを想定)に、またはコンテンツ配信システムから配信のサービスとしてバックアップやストレージに利用を広げることができる。COSは、オンプレミス環境、クラウド、その両方にまたがるハイブリッドシナリオをサポートする。
COSはIBMが特許を所有する「SecureSlice」テクノロジーを使用して、データを複数のストレージデバイスに分散するときに標準AES-128/256bit暗号とSHA-256ハッシュを使って各オブジェクトを暗号化する。
プロトコルでは、COSはAmazon S3、REST規約、NFS、CIFSをサポートする。ただし、CIFSは現状第三者企業(サードパーティー)のソフトウェアを利用する必要がある。IBMは、2017年度にCIFSの自社サポートを追加する予定だ。
COSには複数の導入方法がある。1つはソフトウェアのみを導入する方法で、データが加工されない状態での1TB単位にライセンスが許可される。また、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた製品としても導入できる。他にもIBMの「IBM Bluemix」(同社が提供するクラウド環境)と統合されたクラウドライセンスとして導入する方法もある。COSストレージの管理ノードは、VMまたはDocker(コンテナ型仮想化)としても実行できる。だが、データストレージノードとNFS接続用ノードは仮想ではなく物理的な装置として実装しなければならない。
COSは分散型の消失データ復旧の仕組みを使用する。COSにデータを取り込む際にデータを変換し、そのデータを断片化する。断片化したデータは利用可能なノードに分散して格納する。複数のノードがそれぞれデータを保持するので単一のノードには一部分のデータしか残らない。これにより安全性が高まり、データ侵害の可能性は低くなる。だがユーザーが格納されたデータを全て取得するには、断片化されたデータの集まり(サブセット)にアクセスするしかない。
COSはクラウドでの実装を最小1GBからサポートする。拡張は1GB単位で可能。オンプレミスの最小導入は300TBだ。オンプレミス導入の拡張方法は構成によって異なるが、通常は12個のディスクを1ボリュームとして追加する。
オンプレミスソフトウェアはTB単位に価格が設定される。
Scality
本稿最後のオブジェクトストレージベンダーScalityは、企業のIT部門とクラウドサービスプロバイダーに重点を置く。
Scalityは、市販のハードウェアに導入するための「Scality RING」という分散オブジェクトストレージソフトウェアを作成している。Scality RINGは新しいクラウドアプリケーション向けにAmazon S3互換のオブジェクトストレージ環境を提供し、旧式アプリケーション(レガシアプリケーション)向けには標準のNFSとSMBのファイルストレージ環境を提供する。同ソフトウェアは、データセンターを分散データセンターへと変更、展開する場合のデータ格納と保護に役立つ。具体的にはデータ容量に応じた容量とパフォーマンスを拡張できる仕組みを提供する。RESTベースのAPIとCDMI(Cloud Data Management Interface)APIも適用可能だ。CDMI APIは、ストレージネットワーキングに関する各種の普及促進活動を行う非営利団体Storage Network Industry Associationが標準としている、異なるベンダー間のオブジェクトストレージとの統合効率を上げることを目的としたAPI規約である。
Scality RINGは、マルチテナントの安全性を確保するために、AWS Identity and Access Management(AWS利用者がユーザーの管理を行うための仕組み)を包括的にサポートするAmazon S3互換のAPIを提供する。また、オブジェクトストレージに対するCDMI REST API、REST API、NFS規約とSMB規約のインタフェースも含んでいる。
Scality RINGのAmazon S3インタフェースはオプションで外部キー管理システムを統合してAES-256bit暗号化を有効にする。また、HTTP/TLS経由の接続要求に対して、セキュアな接続でのデータ転送中の暗号化も実現する。さらに公的証明機関発行のSSL証明書とコンポーネント間の内部SSLセキュア接続のサポートを使用する。
Scality RINGは純粋なソフトウェアで、汎用物理x86ハードウェアと仮想マシンで実行される。このソフトウェアは、同社のパートナー企業のCisco SystemsとHewlett Packard Enterpriseが提供する製品で購入できる。1~6個の格納済みコピーを使った複製ベースのデータ保護と、冗長化に必要な可変数のストライプとパリティというデータを使った消失データ復旧機能を提供する。
同システムでは複製と消失データ復旧を同時に使用できる。一方または両方を導入するか選択することができる。いずれの場合も異なるアプリケーションの連携、データの種類などを最適化できる。複数のデータセンター間に導入することで複製データや地理的に分散したデータについてデータ保護が可能だ。
ライセンスは使用可能な容量に基づくため、使用しているデータ保護ポリシーとは無関係に、実際に格納しているデータのみに支払うことになる。例えば、データを3つ複製することができるが、ライセンス容量には計算されない。ライセンスは無期限とハードウェアの保守期限に関するものがある。
運用環境での最小構成は6台のサーバ構成だが、テストが目的ならこの台数を減らすことができる。例えば6台のサーバ構成では、4 + 2という最小方式を使用できる。この方式では、4台の分散データと2台のチェックデータを使用する。この場合、2個のディスク障害または2台のサーバ障害に耐え、データの可用性を維持できる。サーバは、最小構成4ユニットで6個のディスクドライブか90個のドライブ構成を構築することができる。
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