「IT Trend 2017」レポート
マルチクラウドにはご用心、ビジネス変革のためのクラウド活用とは(2/2 ページ)
マルチクラウド運用のリスクやデメリットにも目を向けるべし
クラウドのメリットを最大限に引き出すには、その上で稼働するアプリケーションも、当初からクラウド利用を前提に設計・開発された「クラウドネイティブ」なものであるのが理想的だ。では、クラウドネイティブではない、それまでオンプレミスで利用してきたアプリケーションをそのままIaaSに載せるだけでは、果たして意味がないのか。甲元氏は、「そうしたクラウド利用の形態にも大きな意味がある」と述べる。
「たとえクラウドネイティブではないアプリケーションであっても、それらを大量にクラウドへ移行することで、インフラ標準化や統合運用、グローバル展開といったさまざまなメリットが享受できる」(甲元氏)。従って、オンプレミスのアプリケーションを単純にIaaSに載せる「リフト&シフト」のアプローチも、企業にとって十分な価値があるとITRでは提唱している。
また近年では、適材適所で異なるクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」利用が一般化しており、ベンダーロックインのリスクを避ける意味からも、こうしたクラウド利用の形態が推奨されている。しかしこれにより、用途ごとに独立したクラウド環境が並立する「サイロ化」の問題が持ち上がり、また異なるクラウドを使いこなすためのスキルも新たに必要となる。そのためITRでは、「マルチクラウドのメリット/デメリットをいま一度見直して、単一のクラウドサービスに集約するシングルクラウドの方針も再考すべきでは」と提言しているという。
その上で同社では、パブリッククラウドやオンプレミス、プライベートクラウドを問わず、アプリケーションやミドルウェア、サーバ、ストレージ、ネットワークといった各コンポーネントがそれぞれ独立した上で、互いにAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて連携しながら全体としてシステムを構成するのが、現時点での理想的な企業システムのアーキテクチャであると説明する。
甲元氏は講演の最後に、こうした技術をうまく活用する上では、常に最新のクラウド技術の動向にキャッチアップをしていくことが不可欠だと述べた。
「クラウド関連のテクノロジーは進化スピードが極めて早く、新たなトレンドが次々と生まれると同時に、製品やサービスを提供するベンダーも新たなプレイヤーが続々と登場している。そうした動向に関する深い知識と理解を持つエンジニアを自社で抱えられるかどうかが、企業のクラウド活用の成否を分けることになるだろう」
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