Microsoft CEOが戦略発表
デジタルトランスフォーメーション成功の鍵は? ITの巨人が支援を語る
“デジタルトランスフォーメーション”はMicrosoftでマジックワードのように唱えられている言葉だ。同社から企業のCIOは何を期待できるだろうか?
Microsoftは、デジタルトランスフォーメーションを社内の重要テーマとして取り上げている。Microsoftはその結果、業種別の取り組みにさらに重点を置き、パートナー企業に応じたGo To Market戦略を推進していくことになるだろう。
デジタルトランスフォーメーションへの重点的な取り組みはトップから始まった。同社のパートナーが集まる年次総会のMicrosoft Inspireにおいて、CEOのサトヤ・ナデラ氏がデジタルトランスフォーメーションには推定4兆5000億ドルの市場機会が開かれていると指摘した。
「われわれの社会、経済全体を根本的に変化させたデジタル化が進むに従い、商機はかつてないほど大きくなる」とナデラ氏は述べた。「あらゆる製品やサービスに『デジタルの歯車』がどのように組み込まれていくか考えてほしい。もはや、製品やサービスを追跡するための情報システムではなく、製品やサービスそのものがデジタルになっていく」
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デジタルトランスフォーメーションの事例
Microsoftのデジタルトランスフォーメーションのビジョンはナデラ氏が4つの「デジタルトランスフォーメーションの成果」と述べる要素を中心に展開している。その4つとは、「顧客とつながる」「社員にパワーを」「業務を最適化」「製品を変革」であり、これらは、表面上は850億ドルのソフトウェア企業に直接結び付くものではない。
確かに、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営学大学院の情報システム研究センターの主席科学研究員であるジニー・ロス氏によると、デジタルトランスフォーメーションは「技術に絞ったものではない」という。2017年に開催されたシンポジウム「MIT Sloan CIO Symposium」で同氏は、デジタルトランスフォーメーションを組織の顧客価値提案と再定義し、究極的には組織そのものの再構築と特徴付けている。
このようなタイプの変革にはコンサルティングスキル、ビジネスプロセスリエンジニアリングの専門知識、豊富な変革管理が求められる。さらに、業界特有の専門知識も必要だ。 競合他社からの脅威、法規上の義務、顧客の購買傾向など顧客がおかれているビジネス環境の深い理解なくして、顧客のビジネスの変革を推進していくことはできないだろう。
Microsoft社内には、これらに関連するサービスが幾つかある。 同社は1990年に新設したコンサルティング部門のトップとしてアーンスト・アンド・ヤングからコンサルティングパートナーを招き入れた。今日でも、Microsoft Servicesはコンサルタントとデジタルアドバイザーの雇用を行っている。またMicrosoftは2000年にアクセンチュアと共同設立したプロフェッショナルサービスを提供する会社であるアバナードのコンサルティングリソースを活用することも可能だ。
しかし、Microsoftのデジタルトランスフォーメーションに対する取り組みは専門のコンサルティング部門だけに限定しているわけではない。デジタルへの追求は会社全体にわたる包括的な取り組みである。 例えば、Microsoftは、金融サービスや小売り、製造、政府、教育、ヘルスケアの業界を対象として、セールス部隊を再編している。ゴールは顧客のビジネスを深く理解することだ。業界志向の考え方は、ユーザー数による顧客のセグメンテーション(細分化)から著しくシフトしていることを示唆している。この新たなセールスアプローチでは、顧客に対してライセンス販売を行うことに焦点を合わせるのとは対照的に、ある業界内で顧客をどのようにして変革させるかということに焦点を合わせている。
デジタルトランスフォーメーションプロジェクトを推進するためにMicrosoftは本体とアバナードを合わせて数千人ものコンサルタントを擁している。一方で、同社パートナー企業のエコシステムは、はるかに大きな規模である。同社は全世界のパートナー企業が計1700万人の人材を雇用していると推定している。Microsoftは遠隔地やニッチ市場、中小企業にサービスを提供するためにパートナー企業が必要である。
パートナーが独自サービスを提供
パートナー企業は、デジタルトランスフォーメーションプロジェクトに貢献するための独自の知的財産と、複数ベンダーが関係するプロジェクトを遂行する能力を持っている。Microsoft Inspireの技術デモンストレーションでは、Microsoftとそのパートナー企業が、推進するトランスフォーメーションプロジェクトを示した。このデモでは高級化粧品専門店のSephoraが、Microsoftのパートナー企業であるSapientRazorfishのマーケティングインテリジェンス分析製品とMicrosoft製品、Adobe製品を組み合わせて、どのようにキャンペーンを実施したかについて説明した。
SapientRazorfishのシニアバイスプレジデント兼リージョナルリーダーのアリッサ・アルトマン氏によると、「Cosmos」と呼ぶ同社のマーケティング分析製品は、「Microsoft Azure」の機械学習と、分析サービスである「Cortana Intelligence Suite」を利用している。これによってSephoraは、顧客の購買履歴や顧客別プロフィール(肌のトーンや髪の毛のタイプなど)、そして購入時期を考慮してスコアを生成することができる。そのスコアはマーケティングを自動化する「Adobe Campaign」へ送る。Adobe Campaignでは、このスコアをターゲット顧客へ推奨製品に関するメッセージを送るタイミングとその詳細内容を判断するのに使用する。
「これは私たちにとって本当の意味の差別化だ」とSephoraのCIO サビオ・タチリ氏は語った。「以前の私たちではできないことがいろいろあった。まして自動化なんてなおさらだ」
幸先の良いスタートではあるが、Microsoftにおけるデジタルトランスフォーメーション成功の鍵は、組織と遂行力だ。組織に関しては、Microsoftが業界目線で見るためにセールス部隊を再編成し、顧客にトランスフォーメーションを説得できるかにかかっている。遂行力に関して、マッキンゼー・アンド・カンパニーは70%のデジタルトランスフォーメーションのプロジェクトは失敗すると指摘している。フォーブス誌のレポートはさらに悲観的な評価を下している。Microsoftはパートナー企業やサードパーティー製品ベンダーと提携して顧客が満足する製品やサービスを提供できるか? その答えは、顧客ごとに異なるだろう。
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